[メイン] : x5 3d6 #1 (3D6) > 9[4,1,4] > 9 #2 (3D6) > 17[5,6,6] > 17 #3 (3D6) > 13[5,2,6] > 13 #4 (3D6) > 5[2,1,2] > 5 #5 (3D6) > 10[5,4,1] > 10

[メイン] : x5 3d6 #1 (3D6) > 18[6,6,6] > 18 #2 (3D6) > 15[6,5,4] > 15 #3 (3D6) > 8[3,2,3] > 8 #4 (3D6) > 9[2,4,3] > 9 #5 (3D6) > 13[2,6,5] > 13

[メイン] GM : 準備がいいか教えろ

[メイン] 鏡音 レン : 教えるよ!

[メイン] エマ・ヴェルデ : 教えるよ~!

[メイン] 紺野 純子 : 教えます…!

[メイン] スピレ : 教えるわ!

[メイン] GM : では
出航だ~~~!!!!!

[メイン] 鏡音 レン : 出航だぁ~~~~~~~!!

[メイン] エマ・ヴェルデ : 出航だよ~~~~~~!!

[メイン] 紺野 純子 : 出港、です…………!!!

[メイン] スピレ : 出航だァ~~~~~!!

[メイン] GM :  

[メイン] GM :  

[メイン] GM :  

[メイン] GM : シャンクトゥルフ
「うたい ひびく そこで」

[メイン] GM : 開幕します

[メイン] GM :  

[メイン] GM :  

[メイン] GM : 1.起:あなたたちのステージ

[メイン] GM : 揺れる海面に目を向ければ、潮風がはしり白い波が黒い海に模様を描いていた。

[メイン] GM : きっと外の風は冷たい。しかし、その寒さは暖房が効いた車内までは届かない。

[メイン] GM : 海沿いの道路を走る一台の車。あなたたちはその後部座席に座している。

[メイン] GM : 目的地は、本日の仕事場である[緑深市]だ。

[メイン] GM : カーナビが目的地までの距離を告げた。

[メイン] GM : 思い出したように、ハンドルを握るマネージャーがバックミラー越しにあなたたちを見ながら口を開いた。

[メイン] 加藤 : 「あー、すまねえ。連絡あったの思い出した」

[メイン] 加藤 : このどう見てもヤクザにしか見えないような男が君たちのマネージャーの加藤だ。

[メイン] 加藤 : 「今日の仕事……[緑深市うたい☆フェスティバル]だな。
 昼のステージの後は市街散策後に一晩ゆっくり宿泊……って計画だったんだが、予定変更。
 夜の神事でも歌を披露して欲しいって連絡があったから、それに参加してもらう。
 伝えんの忘れてた。ゴメンな♡」

[メイン] 鏡音 レン : 「えっ?歌?」
後部座席で頭の後ろに腕を回し、席に凭れ掛かりながら
リラックスした雰囲気を醸し出す、金髪碧眼の少年は、バックミラー越しに
加藤の方を見て。瞬きを幾つかし。

[メイン] 鏡音 レン : 「全然いいよ!加藤さんも最近忙しいし!
 伝え忘れくらいなんてことないよ!
 それに、歌うのは好きだし!みんなもそうだよね!」

[メイン] 鏡音 レン : にへへ~!と人懐っこい笑顔を浮かべながら
隣に座り、3人の少女達へと視線を移すと。

[メイン] エマ・ヴェルデ : レンの目線に、三つ編みのヘアスタイルの少女が振り向く。

[メイン] エマ・ヴェルデ : しかし彼女の手元口元には携帯できるお菓子のチーズが握られており。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「ボーノ~! あっ、お仕事のこと?
 それならもちろん、大丈夫だよ~!
 もっとたっくさんの人にお歌を聞いてもらえるってことだもんね!」

[メイン] エマ・ヴェルデ : ほんわかとした雰囲気を醸し出しながら、レンと加藤に笑いかける。

[メイン] 鏡音 レン : あ、それ美味しそう~!という、少年らしいキラキラとした目を
エマの持っているお菓子に向けられながら。

[メイン] 紺野 純子 : 「はい。皆に歌で夢と笑顔を届けるために、私たちはアイドルをしているんですから。……それに」

[メイン] 鏡音 レン : エマの言葉にも、うんうん!と子犬のように頷きながら
ピースサインを一つ。

[メイン] 紺野 純子 : そう言って微笑んでおいてから、今度は車酔い覚ましに潮風を浴びながら、はぁ……と伏目がちに溜息をつく少女。

[メイン] 紺野 純子 : 「……アクシデントは毎度のことですし、流石にもう慣れました」

[メイン] エマ・ヴェルデ : 食べかけでよければ~、と、特段気にしないようすでチーズを半分こし。
レンへと手渡しながら。

[メイン] スピレ : 「え~~……。納得しちゃうの~~~?」

[メイン] 鏡音 レン : わ~い!と喜び、そのお菓子を一口で食べる。

[メイン] エマ・ヴェルデ : あはは、確かにそうかも~、と純子にも笑みを浮かべつつ。

[メイン] 鏡音 レン : 「ムシャムシャ……ん?どったのスピレちゃん、ムシャムシャ
 歌、ムシャムシャ、好きでしょ?ムシャムシャ」

[メイン] スピレ : 態度が悪いことにスマホをポチってた、
薄紫髪の少女がわざとらしく声を出す。

[メイン] スピレ : 「そうじゃなくて!」

[メイン] 鏡音 レン : 「あ、わかった、お腹空いたんでしょ!」

[メイン] スピレ : 「ちがわい!」

[メイン] 鏡音 レン : にへへ~!と、スピレの言葉の意図を察していないような能天気な顔で。

[メイン] スピレ : 「観光!おいしい食べ物!お土産!」

[メイン] 紺野 純子 : びくっ。

[メイン] 鏡音 レン : ほらエマさんエマさん!お菓子お菓子~!と、目線を向ける。

[メイン] スピレ : 「私の楽しい旅行は~~!?」

[メイン] エマ・ヴェルデ : 全く見当がついていない顔で、きょとんと首を傾げつつ。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「まあまあ落ち着いて~」
スピレの口元に、チーズをぱっくん!と口に運ばせようとしつつも。

[メイン] 紺野 純子 : 「……あ、あの……皆さん、もう少し落ち着いて……」

[メイン] 加藤 : 「その辺は大丈夫だ。
 スケジュールでは、昼にステージを披露したあとは夜の神事までフリーだからな」

[メイン] スピレ : むぐっ。
食べさせられてサクサクしてる。

[メイン] 鏡音 レン : レンの態度としては、この中で唯一身長が下であるスピレのことを
妹のように思っているらしく
双子の妹がいるレンにとっても、そんな感じの雰囲気で接している。

[メイン] スピレ : 「むっ」
加藤の言葉をサクりながら聞いて。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「ほら!加藤さんもこう言ってるし~!
 ただ、ちょっと急ぎ足になっちゃうのは残念かも……
 みんなとの美味しい料理……」

[メイン] 紺野 純子 : 「…………そ、その……加藤さん。」
「さっきから気になってはいたのですが、その、神事……って?」

[メイン] スピレ : 「まぁ、それなら許してあげなくもないけど……」

[メイン] 鏡音 レン : 「お!さっすが加藤さん~!ありがと~!
 ほ~ら良かったね~スピレちゃ~ん」
にへへ~!と、見ての通りの子どもの扱いを。

[メイン] 加藤 : 「あーそれなぁ…」
純子の言葉に反応して

[メイン] 加藤 : 「おれも詳しくは知らされてねーんだよなぁ……」

[メイン] 加藤 : 「ほんとに直前の連絡で、詳しい情報はまだきてなくてなぁ……」

[メイン] スピレ : 「子供扱いするなって言ってるでしょ!私はあんたの妹じゃないんだから……」

[メイン] 加藤 : 「といってもそんな練習だのなんだのが必要な大仰なものでもないらしい。
 『舞台で歌を披露する』、ってことらしいから、お前らの本業だろう? だったら心配いらんだろうさ」

[メイン] 紺野 純子 : ……にしても皆さん、落ち着いているというか、楽観的すぎるというか……
私がしっかりしないと……

[メイン] 加藤 : 「詳細は現地で関係者が教えてくれるらしいから、そこで聞いたらいい」

[メイン] 鏡音 レン : あはは~!とけらけら笑いながら、エマのお菓子をムシャムシャと食べ。
そして純子と加藤の会話に、分かっているのか分かっていないのか
きょとんとした顔で、小首を傾げながら。

[メイン] 鏡音 レン : 目を閉じ、固まっているような顔立ちの純子に。

[メイン] 鏡音 レン : 「純子ちゃんもお腹空いちゃった?」

[メイン] 鏡音 レン : 的外れな言葉を投げちゃうレンであった。

[メイン] 紺野 純子 : 「そ、そうですか……ううん……」
いきなり神事で歌を披露する……って、私たち……別にそういった雰囲気に合う曲を練習してきたわけでもないのに……

[メイン] 紺野 純子 : 「……へっ?」

[メイン] エマ・ヴェルデ : 話を聞き、なんだか不思議なこともあるものなんだな、と。
加藤の話には不信感は覚えなかった。
エマはあまり人を疑う事もなかった。

[メイン] 紺野 純子 : 「い、いやいやいやレンさん、そんなことは……」

[メイン] 鏡音 レン : じ~~~~。と、何も分かって無さそうな無垢の瞳で見つめ続ける。

[メイン] 紺野 純子 : 「う……で、では……私もひとつ、いいでしょうか……エマさん」

[メイン] スピレ : 「まったく……女の子はアンタみたいにおいしいもの食べれば全部解決する生き物じゃないのよ……」
言いながらサクサクしてる。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「もっちろん~!」
と、純子に快くチーズのお菓子を手渡しつつも。

[メイン] 鏡音 レン : そうかな?リンとかお菓子あげると、すぐに機嫌直るよ?
と、天然な発言をスピレに。
お菓子をハムハム食べながら、小首を傾げ、きょとんとしながら。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「それに、きっと何とかなるよ~!
 私たちはみんな新人アイドルで、まだまだ名無しの駆け出しだけど……
 それでもこうして、勧誘されるまでに至ったもん~!」

[メイン] エマ・ヴェルデ : と、励ましになっているかなっていないかのラインの言葉を送りつつ。

[メイン] スピレ : 「……まぁ……。一応、こうしてユニットにされちゃったわけだし。
 悩み事があるなら聞いてあげるくらいはいいわよ」

[メイン] エマ・ヴェルデ : エマたちが所属しているアイドルユニットは、まだ駆け出しだ。
ソロで活動していた4人をひょんなことからグループに集めて仕事を始めた。
まだ名前もないこのユニットは、マネージャーである加藤のお陰かいくつか続けられているわけで。

[メイン] 紺野 純子 : ありがとうございます、なんて言いつつぺこんと頭を下げ、両手で口に挟みながらエマにうんうんと頷く。

[メイン] スピレ : 「それより、目的地はまだなの~?
 そろそろ飽きてきちゃったんだけど」

[メイン] スピレ : 恥ずかしい言葉を言ってしまった分、もう話す気はないというように座席に深く座って、スマホをまた弄り始めた。

[メイン] 加藤 : 「もうちょいだな。だからガマンしていてくれ」

[メイン] 鏡音 レン : 「ふんふ~ん♪楽しみだな~」
鼻歌を歌いながら、楽しそうにしながら。

[メイン] 鏡音 レン : 「……ねぇねぇ、そういえばなんだけどさ!」

[メイン] 鏡音 レン : 仲間達の方を見て、真剣な表情をしたかと思えば。

[メイン] 鏡音 レン : 「………」

[メイン] 紺野 純子 : 「?」

[メイン] 鏡音 レン : 「緑深市うたい☆フェスティバルって、なんだっけ?」
てへぺろ☆

[メイン] エマ・ヴェルデ : 同じく首を傾げたが。

[メイン] 紺野 純子 : 「…………」

[メイン] 紺野 純子 : ……一昨日の加藤さんの話を聞いていなかったのでしょうか、と言いそうになるのを堪えつつ。

[メイン] 紺野 純子 : ccb<=70 図書館 (1D100<=70) > 12 > スペシャル

[メイン] 鏡音 レン : そう、レンは、聞いたのだが………忘れてしまったのだった!
運動は得意な彼ではあるものの、頭を動かすことに関しては
この会話で、お察ししてほしい。

[メイン] GM : [緑深市うたい☆フェスティバル]について 
伝統的な行事。毎年この時期に執り行われている。
もとは[緑深市歌唱祭]というのど自慢大会が中心のとくに盛り上がりもない祭りだった。
ここ数年、祭りの執行に関わる音楽好きが熱心に改革に取り組んでいる。
その働きかけの結果、名称がリニューアルされ、外部からのゲストを招く賑やかな祭りになった。

[メイン] 紺野 純子 : 「……ということです。私たちはそのゲストに選ばれた、と……近年でも有名な歌手の方がたくさん招かれているから、地域の盛り上げもさることながら、私たちがアイドルとして上を目指すために大切な機会でもあります」

[メイン] 鏡音 レン : 「ほへ~~……そうなんだ!じゃあオレ達、結構大事な役目なんだね!
 ありがとう純子ちゃん!オレ、もっとやる気湧いてきたよ!」
にへへ!と、子犬のように笑いながら。

[メイン] 紺野 純子 : そこまで言って息を継ぐ。生憎スマホなんて最先端のものは扱いに困るため、自ら事前に調べていた補足事項をさらりと乗せる。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 純子の言葉にぱちぱち〜!と拍手をしながら。
エマもあんまり覚えていなかったので、純子の知識に素直に驚きながらも。

[メイン] 紺野 純子 : その笑顔に応えつつ。
「はい。絶対に成功させましょう」

[メイン] 紺野 純子 : 「わ……え、えっと……」
突然の拍手に少し戸惑う

[メイン] 紺野 純子 : 「……とにかく、あと15分ほどで到着するはずです」

[メイン] 加藤 : 後部座席から聞こえる担当アイドル達の話に軽く笑顔を見せながら目的地へと車を急がせた。

[メイン] GM :  

[メイン] GM : 車はほどなくして緑深市の市街へと辿りつく。冬の空には重苦しい灰色の雲が横たわっている。

[メイン] GM : 車外へ降り立てば、長時間の移動で強張った身体を冷気が包んだ。

[メイン] GM : 海辺の街らしく、風に混じった潮の香りがほのかに鼻をくすぐる。

[メイン] GM : あなたたちは騒ぎにならないよう姿を隠しながら、控室へ向かうだろう。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「う〜ん、コーモド〜!
 さっきまで車の中だったから新鮮だよ〜!」

[メイン] エマ・ヴェルデ : そこは控え室。
先程まで隠れていたので、ここでようやく体を伸ばせる、とぐぐっと背伸びをしながら。

[メイン] 紺野 純子 : ……トカゲの名前か何かでしょうか?と首を傾げつつ。

[メイン] 紺野 純子 : 「予報通り、外も少し冷えてきました。喉の筋肉が強張らないよう、エマさんに続いて早めにウォーミングアップを済ませておいた方がいいかもしれません」

[メイン] スピレ : 「むっ。い、言われなくても……そのくらいやるわよ。私だってプロだし」
言われなかったら忘れてた。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「それに海の風も新鮮!スイスには海がないからなぁ〜
 あっ、だねー!準備はしっかり済ませないと!ありがとう純子ちゃん!」

[メイン] エマ・ヴェルデ : 背伸びとかも特に意識してなかったので、しっかり者の純子に頭が上がらなくなりながら。

[メイン] GM : 空調の効いた室内を、あたたかなオレンジ色の照明が満たしている。
大きな鏡のついた部屋には、あなたたちのステージ衣装が運び込まれているが……それはどう見ても水着だ。それもヒモのような水着。

[メイン] スピレ : 「衣装くらいはあったかい奴ならいいんだけど~」
目をつむって息を吐きながら。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「可愛い衣装なら大歓迎だけど〜……あ、これかな?」

[メイン] エマ・ヴェルデ : ゴソゴソと、備品が注ぎ込まれた箱を探りながら。
やがて手が布のようなものに当たり。

[メイン] 紺野 純子 : 「ですね……うん?」
スピレに同意しつつ、エマの後ろから覗き込むようにして。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 引き出せば────

[メイン] エマ・ヴェルデ : それは、ほぼ紐で構成された水着。
大事なところだけしか隠しておらずそれ以外の全てを削ぎ落とした、攻撃力全振りの水着。

[メイン] エマ・ヴェルデ : マイクロビキニだった。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「……えっ、えっ?」

[メイン] エマ・ヴェルデ : 自分に当ててみながら、少しの間ポカンとして。

[メイン] スピレ : 「私に着られる幸運な衣装は~?」

[メイン] スピレ : 「何それ、紐?
 ステージ用の備品か何かかしら」
エマの持つ紐を見て。服とは認めない。

[メイン] 紺野 純子 : 「…………?」

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「ええええええぇ〜〜〜〜!!?」
目を点にして水着と箱を見比べて。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「う、ううん……!これが多分衣装……なのかな」

[メイン] スピレ : 「HA?」

[メイン] エマ・ヴェルデ : スピレの言葉に半信半疑となり、箱をがさごそと探すも。そこから出てきたのは化粧品や飾り。
他には寒さに耐えるためかカイロが入っていた。心配する所がおかしい……!

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「……こ……これ以外にないみたい……」

[メイン] 紺野 純子 : 「……。」
「最近の世は、このような紐をつけて泳ぐのがブーム……なのでしょうか?」

[メイン] 紺野 純子 : ……マイクロビキニ。着用する者の身体の最小限のプライベートゾーンだけを覆うよう、大胆にデザインされた水着であり、ビキニの一種。
マイクロビキニはヌーディズムと旧来の水着の中間に位置するものであり、法的な制約の枠内で最大限に挑発的な水着として発展した。
1990年代以降、世界において何十ものメーカーが男女のためにマイクロビキニを生産している。

[メイン] 紺野 純子 : すなわち、昭和の時代においてもついぞお目にかかることはなかった。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「えっと……これが日本のブーム……?」

[メイン] スピレ : 「そんなわけないでしょ!?」

[メイン] エマ・ヴェルデ : 国と世代に責任を押し付け合いながら。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「でも……ここにあるってことは、これを着て踊ってみて、ってことじゃないのかな……?」
とはいえ、まだ迷い気味ではある。言葉の強さが薄い。

[メイン] 紺野 純子 : 「…………」
「……え……エマさん、その。もしこの衣装について詳しいなら、少しお聞きしたいのですが……」

[メイン] エマ・ヴェルデ : 詳しくないよ!?とは突っ込みながらも、純子の言葉におずおずと頷き、質問を待つ。

[メイン] 紺野 純子 : それを確認して。
もちろん、自分がこのような破廉恥な衣装を見に纏うことへの戸惑いは当然であったが……それよりも。

[メイン] 紺野 純子 : 「……この水着って、男女兼用……なのでしょうか?」

[メイン] 紺野 純子 : ……そうして、先ほどから言葉を発していないもう一人の方を振り返る。

[メイン] 鏡音 レン : ─────そこには、レンの荷物があるだけであった。

[メイン] 鏡音 レン : そして、レンにも支給されていた、謎の衣装。
いや、衣装とも呼べない冒涜的な存在も無くなっており。

[メイン]   : そして、控え室のドアノブが、ガチャりと開き……。

[メイン] 鏡音 レン : 「………………………」

[メイン] 鏡音 レン : 顔を真っ赤に染め、涙目の彼がいた。

[メイン] 鏡音 レン : 「………ど、どう……かな……?変じゃ……ない、よね………?
 そう、だよね……?ねぇ………?」

[メイン] 鏡音 レン : そこには活発な男の子の姿は無く、猫背気味で
まるで道に捨てられた子犬のような目を、3人へと向ける。

[メイン] 鏡音 レン : ─────というのも、そのはず。

[メイン] 鏡音 レン : 彼は、着てしまっているのだ。
女性用の水着、それも、マイクロなビキニを。
あまり焼けていない真っ白な肌が、これでもかと主張している。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「レッ…………レンくん!?」

[メイン] 鏡音 レン : ※ここでレンに集中線。

[メイン] 紺野 純子 : 「な……なっ、なななっ……!?!?!?」
改めてそれを目の当たりにし……慌てて腕で顔を覆い隠す。

[メイン] スピレ : 「 」

[メイン] エマ・ヴェルデ : 純子の言葉通りか、あるいは村の趣味なのか。
それはともかく。

[メイン] 鏡音 レン : 「………あ、あは、あははっ……!で、でも……!
 これも、アイドルの仕事、だもんね……?
 ……う、うん!きっと、そうだ……!うん……!」
涙目で、目をぐるぐるとさせながら自己暗示中のレン。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「さっ、寒くないの!?大丈夫っ……!?」
顔を真っ赤にしながらも、わたわたと慌てた様子で。

[メイン] 鏡音 レン : ずびっ。当然鼻水は出ちゃってる。
季節は冬、当たり前のことながら……。

[メイン] スピレ : 「目を覚ましなさい!」

[メイン] エマ・ヴェルデ : レンをちらりと見ては、目を逸らして。またちらりと。
失礼とは思いながらもその繰り返しながら。

[メイン] 鏡音 レン : 「……ち、ちょっと……」
寒いらしい。体温の高い彼であっても、ちょっと堪えてるらしい。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「あわわわ……! ……スピレちゃん!?」

[メイン] 紺野 純子 : 「え、えっと……とりあえず、身に纏うもの……身に纏うもの……!!」
慌てて上着をレンに被せながら。

[メイン] スピレ : 「こっ……こんなのが!アイドルなわけ……!」
だが、この姿のレンがこの場にいることそれ自体が絶望的な事実を意味している。

[メイン] エマ・ヴェルデ : レンの手に触れれば、ひんやりと冷たい。
先程忍ばされていたカイロを、凍るようなレンの手の中に握りしめながら。

[メイン] 鏡音 レン : 「わっ……!……え、えへへ、二人とも、ありがとう……」
へにゃりとした笑みを、純子とエマに向けながら。

[メイン] スピレ : レンは今まで別室にいて着替えてきたのだろう。
そこまでの道筋には少なからず人目があったに違いない。
だが、それらすべてに呼び止められることなくレンは控室までたどり着いた。

[メイン] 鏡音 レン : 「……………オレ……この仕事は、オレ一人で、受けるよっ……
 やっぱり、ヘン、だもん、この衣装……
 ………みんなに着せるわけには、オレも……いかないし……」

[メイン] 紺野 純子 : 「……う……れ、レンさんの心意気は立派ですが……スピレさんの言う通りです! 私、今からでも抗議して……っ」

[メイン] 鏡音 レン : 「加藤さんにも、そう言っておくからっ……!」

[メイン] 紺野 純子 : 「……!」

[メイン] スピレ : つまり、この場は今マイクロビキニで闊歩しても何のお咎めもない魔境になっていることは容易に推測できた。なんの誤解もなかったのだ……。

[メイン] 鏡音 レン : そう言い、バッ!と踵を返し、控え室を出て行こうとする。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「……っ……レンくん……」

[メイン] 紺野 純子 : 「ま、待ってください……っ!!」

[メイン] 鏡音 レン : 「……………!」

[メイン] 鏡音 レン : ドアノブを握り、3人に哀れな背を向けたまま、止まり。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「………………!」

[メイン] エマ・ヴェルデ : すう、と息を吸って。
手にしていたMBを片手に、近くの更衣室へと入っていく。

[メイン] スピレ : 「!?」

[メイン] 紺野 純子 : 「………………。」

[メイン] 紺野 純子 : 「…………わ、私たちも……一緒、ですから。」

[メイン] エマ・ヴェルデ : がたがた、バタンバタンと慌てて揺れるような音が更衣室の中へと響く。
そして────

[メイン] 紺野 純子 : ……えっ。
……何を言ってるんですか、私!?

[メイン] 鏡音 レン : 「………!!……エマさん……純子ちゃん………」

[メイン] スピレ : 「!!??」

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「……純子ちゃんの言う通りだよっ!!」

[メイン] 鏡音 レン : 眉をハの字にして、今にも泣き出しそうな顔で、ゆっくりと振り向き。

[メイン] エマ・ヴェルデ : その言葉と共に、シャッ!と、カーテンが開かれる。

[メイン] 紺野 純子 : 紐を一枚おずおずと持ち、更衣室に続く。

[メイン] スピレ : 「!!!???」

[メイン] エマ・ヴェルデ : そう、エマが防御力0の水着────すなわち、マイクロビキニを身につけながら。

[メイン] 鏡音 レン : 「……………!!!!?」
そこに現れた、ダイナミックなボディの塊に、レンは……。
目を白黒とさせた。レンは、確かにアホかもしれない、バカかもしれない。
でも、男の子でも、あるのだ。

[メイン] 鏡音 レン : 「あっ……!う……ぁ………!」
顔を真っ赤にさせ、口をパクパクとさせながら。

[メイン] スピレ : 「ちょっ、ええ…… え~!?」

[メイン] エマ・ヴェルデ : そして、扉を背にしたレンの道に立ちはだかるように胸を張り。
猫背になったレンとは対照に、ぐっと背を伸ばして。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「私たちはいつでも同じなんだから……!
 これを着ない時は、私たちがこの仕事を降りた時だけ!」

[メイン] 鏡音 レン : 「……………!!!!」

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「レンくんに嫌な思いはさせたくない……
 その気持ちは、みんな思ってることなのに……!
 ひとりで抱え込んじゃダメだよ!」

[メイン] 鏡音 レン : その言葉に、目を大きく開いて、エマを真っ直ぐと見て。

[メイン] エマ・ヴェルデ : と、尤もらしい言葉を言うエマだったが。

[メイン] スピレ : 「何やってんのよ……エマ……!
 こんな仕事、受ける義理もないでしょ……!」

[メイン] 鏡音 レン : 「エ、エマさん………!」
感極まり、涙が零れそうになりながら。

[メイン] エマ・ヴェルデ : ……ううぅ、は、恥ずかしい……!!
思ってたよりもだいぶスースーするしっ……!それに、水着なんて着慣れてないもん……こんなの、下着と一緒だよっ……!
…………ううううっ……!

[メイン] エマ・ヴェルデ : だいぶゆでダコみたいに顔を真っ赤にしながらも。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「……それが一番……かもしれないけど!
 でもこの仕事を持ってきた加藤さんは……きっと、いろんな人に謝らなきゃいけなくなる……」

[メイン] : 「…………その通りです、エマさん。」
「……私たちは、私たちのできることを全力でやる。……私たち全員で、ひとつのアイドルなんですから。」

[メイン] : そう言って──

[メイン] 鏡音 レン : 「………!!」

[メイン] スピレ : 「加藤、ね……」
そういえば、一昨日も熱を入れて下調べしてたのを話してたっけ……

[メイン] スピレ : 「……!?」

[メイン] : …………そう言って……

[メイン] 紺野 純子 : …………。
エマの3倍ほどの時間をかけて、ゆっくり、ゆっくりと……カーテンの隙間から顔を覗かせる。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「……! 純子ちゃん…………!!!」

[メイン] 鏡音 レン : 「っ…………!純子、ちゃん………!」
大人の魅力のような、色気のようなものを醸し出す純子に
思わず、目を逸らしてしまい、顔を赤らめながらも。

[メイン] スピレ : 「…………。元気のいい口上はどこに行ったの?」
一番無理してるじゃない。

[メイン] 紺野 純子 : 「……………………。」

[メイン] : 閉じる。

[メイン] エマ・ヴェルデ : まるで太陽を浴びなかったような真っ白な肌に、白の水着がよく似合っている。
そんな姿に、かわいい……!と思ってしまいながらも。

[メイン] スピレ : 「……………」

[メイン] 鏡音 レン : 「………オ、オレ!出て行くから!そ、それと、なるべく!
 その……見ないように、するから!!
 ………ありがとう、エマさん……純子ちゃん……」

[メイン] スピレ : 開ける。

[メイン] 紺野 純子 : 「ひゃああああ!?!?!??」

[メイン] 鏡音 レン : 眉をハの字にしながらも、へにゃりと笑いつつ。
そして、開けられた更衣室から、宣言通り、ぶん!と顔を背け。

[メイン] 紺野 純子 : 「…………いっ、いえ……!……」
「……私こそ……最初に着てくれた、レンさん、の、おかげです……」

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「う、ううんっ……!! レンくんが気づかせてくれたわけだし…………っ……!」

[メイン] スピレ : 「……恥ずかしいことはしてないし、堂々としてもいいんじゃない」
恥ずかしい恰好はしている。

[メイン] 鏡音 レン : 「………二人とも……」
冬の季節、当たり前のことながら、部屋にいてもクソ寒い。
今も超寒いのだが、それでも。

[メイン] 鏡音 レン : こうしてユニットとして集まったみんな、仲間の絆のようなものを感じ
じんわりと、胸の奥が、心が温かくなっていき。

[メイン] スピレ : 「あと、ほら……
 早く出てもらわないと、私が入れなくなるじゃん」
純子を追い出すようにジェスチャーして。

[メイン] 紺野 純子 : 「…………!」

[メイン] エマ・ヴェルデ : 最後に、ちらりとレンを見る。
純子を見た後だからか、余計に差が広がって見える。
……普段女の子みたいなのに、でもぜんぜん筋肉もムキムキだし……肌も白いけれど、どこか力強い白のようで……
…………って、違う違うっ……!

[メイン] 紺野 純子 : 「す、スピレ……さん……!」

[メイン] エマ・ヴェルデ : ぶんぶんと首を振れば、スピレの言葉に。

[メイン] 鏡音 レン : 「………!ス、スピレちゃん……!?
 スピレちゃんは、無理、しなくてもいいんだよ……!?」

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「えっ……でも、いいの……? スピレちゃんが嫌なら、私たちだけでも……」

[メイン] スピレ : 「同じような言葉を自分もさっき言われてたんじゃない?
 自分がなんて言い返したか……思い出せばいいんじゃないの…………」

[メイン] スピレ : 仲間なんでしょ、ぼそぼそ付け加えて。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「あ……それは……うぅ………… ……!」

[メイン] エマ・ヴェルデ : 自分の間違いに気づき、しょぼくれた顔で頭を下がったが。
ぼそぼそとつぶやく言葉に、ぱぁっと顔を輝かせて。

[メイン] スピレ : 純子と入れ替わりで(半ば無理やり追い出して)更衣室に入る。
幕が閉まっていた時間は短く、すぐにまた開く。

[メイン] 紺野 純子 : 「ぷへっ……」
……す、スピレさん……さっきまで、あんなに嫌そうにしてたのに……!

[メイン] スピレ : 「……あんまり見ないでよね!
 特に、レンは!」

[メイン] 鏡音 レン : 「あっ………!!ご、ごめんっ!」

[メイン] 紺野 純子 : 「だっ、大丈夫です……!私が隠しますから!」
ばっ。

[メイン] スピレ : 「それ純子が隠れなくない!?」

[メイン] 鏡音 レン : 「!?!?」
目を白黒させる。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「え、ええっと……!それじゃあそれじゃあ……!」

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「お、おしくらまんじゅう〜とか!」

[メイン] スピレ : 「エマ……レンもそうだと思ってたけど。
 アンタも大概ね……」

[メイン] 鏡音 レン : 「あ、あわわわわわわわわわわわ……」
あたふたとしながらも。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「えっ、えええぇっ!?寒いから丁度いいかなぁ……って……!
 それが日本文化なんじゃないのっ!?」

[メイン] 鏡音 レン : 「……と、とにかく!え、えっと!……みんな、ありがとう!
 ……このお仕事を大成功させて、それで、それで……
 す、すぐに、着替えよう!!」

[メイン] 紺野 純子 : 「う……なるようになれ、といいますか……」

[メイン] 紺野 純子 : 「はっ、はい!!」

[メイン] 鏡音 レン : 「……そ、それにしても……こんな格好させるだなんて……
 緑深市って……その、どんな街、なんだろう……」

[メイン] スピレ : 「はいはい。こんな……バカみたいな水着まで着たんだからね、失敗してたれるもんですか……!」

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「そ……そうだね……!仕事をテキパキこなせば……
 あ、えっと……前に聞いてた話だと────」

[メイン] エマ・ヴェルデ : レンのつぶやきに、思い出したかのように口を開いて。

[メイン] エマ・ヴェルデ : CCB<=75 スイス人の女の子は緑深市にも詳しい (1D100<=75) > 61 > 成功

[メイン] GM : [緑深市]について
海辺の地方都市。町村合併を経て今の市のかたちになった。
このあたりの地域では歌に関する伝承が残っており、歌のまちとして町おこしを行っている。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「────で、歌の所以はあるみたいだけど……
 ぬ、布の水着とは関係は無いみたいだね……」

[メイン] エマ・ヴェルデ : あはは……と微笑みながらも。
マイクロビキニの名前はなんというか、名前に出すのもなんだか恥ずかしく、顔を赤らめつつ。

[メイン] 紺野 純子 : 「う、海が近いのに緑深市だなんて、なんだかあべこべな感じですね……何か由来があったりしたのでしょうか」
自分の置かれた状況を誤魔化そうと、少々早口に。

[メイン] 鏡音 レン : 「ふ、ふむふむ…… ……で、でも、そうなんだね!
 歌に関する伝承かぁ……オレ達が呼ばれたのも、納得ある!
 ………水着は…………………うん」

[メイン] 鏡音 レン : 顔を赤らめたまま、みんなの姿をなるべく視界に入れないように
配慮をしながらも、エマさんありがとう……!とお礼を告げつつ。

[メイン] スピレ : 「歌の町かぁ……」
ちゃんと旅行したかった……という呟きを飲み込んで。

[メイン] GM : 用意されていた衣装に困惑し、それぞれが様々なことを考えていた。
そんな折、コン、コン。とノックの音が聞こえた。

[メイン]   : 「運営の者です。今、中に失礼してもよろしいでしょうか?」

[メイン] 鏡音 レン : 「!」
音の方へと顔を向け、猫背からなんとか姿勢を直立へと戻し。

[メイン] 紺野 純子 : こ、この姿で……!?と思ったが、よく考えるとこの後はそれどころではないことを思い直して。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「あっ……ど、どうぞ……」
……うぅ、平常心平常心……!この後もライブなんだから、ちゃんと慣れておかないと……!

[メイン] 紺野 純子 : 「……な、なんでしょうか」
取り次ごうと前に出つつ、一応あまり中を見せないようにする。

[メイン] 紫藤社 : あなたたちが了承すると、ドアが開かれた。そこに立っていたのは30代ほどの青年だった。

[メイン] 紫藤社 : 彼は折り目正しい、整った礼をしたあと、微笑んだ。
「はじめまして。私は[緑深市うたい☆フェスティバル]の実行委員会の会長、[紫藤社]と申します。
 あなた方ににお会いできて光栄です」

[メイン] GM : この青年の顔を見て、あなた達はピンときたかもしれない。
アイデアを振れます。

[メイン] 鏡音 レン : CCB<=60 アイデア (1D100<=60) > 81 > 失敗

[メイン] 紺野 純子 : ccb<=60 アイデア (1D100<=60) > 58 > 成功

[メイン] 鏡音 レン : 「あ、初めまして!レンです!今回はよろしくお願いします!」
頭をシャキッと下げ、挨拶。
心の中で、彼の着ている服を見ながら、あったかそう……と思いながら。

[メイン] エマ・ヴェルデ : CCB<=35 (1D100<=35) > 63 > 失敗

[メイン] GM : では純子はこの男のことを知っている。目にしたことがある。彼はあなたたちのファンだ。
一度握手会に訪れて、熱心に歌やステージへの感想を述べられたことを覚えている。

[メイン] 紺野 純子 : 「はい、こちらこそ……」
至近距離で見て、確信する。……私たちは、この人を知っている。

[メイン] 紫藤社 : 「はい。これはご丁寧に。よろしくお願いしますね」

[メイン] 鏡音 レン : ? と純子の反応を見つつ、小声で「どうしたの?」と聞きながら。
紫藤社の方を向き直し、アイドルらしく、溌剌とした笑顔で。
「はい!」と元気よく答えた。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「は、はい……!今回はよろしくお願いします……!
 昼のステージでのライブ……でしたよね!」
ぺこり!と頭を下げながらも、純子の様子に首を傾げて。

[メイン] 鏡音 レン : こんな格好ながらも、レンはアイドルのスイッチがオンとなった。

[メイン] 紫藤社 : 元気なレンの返事にニコニコと笑顔を見せる。

[メイン] 紫藤社 : 「はい。あと30分ほどで、机の上に置いてあったスケジュール表通りになります」
「何か気になることはございませんか? 必要なものなどありましたらご用命ください」

[メイン] 紺野 純子 : ……あとで説明します、とレンに小声で返し。

[メイン] 鏡音 レン : ? う、うんっ!わかったよ!
と、小声で返しながらも。アイドル活動を普段してきているような
笑顔にさせたい相手を笑顔にさせるために、自分も明るい顔で
紫藤社をじっと見つめながら!………質問系は、他のみんなに任せるのだった。

[メイン] 紺野 純子 : 「そ、それでは……挨拶の参考に、会長さんのこのイベントに掛ける想いなどを聞かせていただいてもいいでしょうか? どうも、最初は[緑深市歌唱祭]という小規模な大会だったのが、ここ数年で大きくなったとか……」

[メイン] 紺野 純子 : ……それと、この衣装とはどういう関係が……?と言いかけた言葉を飲み込む。

[メイン] 紫藤社 : 「なるほど。あなた方自らお調べになられているのですね。素晴らしいです」
純子に笑顔を向けて言葉を続ける。

[メイン] 紫藤社 : 「そうですね。数年前まではご存じの通り、[緑深市歌唱祭]でした。
 元々の[緑深市うたい☆フェスティバル]の名称ですね」

[メイン] 鏡音 レン : 純子ちゃんはオレ達の知恵袋ですから!と
紫藤社に仲間を自慢するように、にへへ!と人懐っこい笑顔を向け。

[メイン] 紺野 純子 : ……え、えっへん…?

[メイン] エマ・ヴェルデ : うんうん!純子ちゃんはまとめ役だから〜!と、紫藤社の言葉に頷きながらも。

[メイン] 紫藤社 : 「そしてこの緑深市のあった場所ではかつて[うたいの祀り]という神事が行われていたという伝承が残っていまして
 「歌の町」というかたちの町おこしを行うに際して、名前を[うたいの祀り]から受け継いだとされています。
 名前のみを継いでいて、現在は儀式のようなものは行われていません」

[メイン] 鏡音 レン : 「……うたいの……?」
きょとん、とした顔で、小首を傾げ。

[メイン] 紫藤社 : 「私もそこまで詳しくはないので、もっと詳しく知りたいのなら、[地域資料館]に行ってみるといいかもしれません。
 このまちの歴史についての資料がたくさん置いてありますので」

[メイン] 紺野 純子 : 「はい、丁寧なお答えありがとうございました」
丁重に頭を下げつつ、頭の中では別の考えを巡らせる。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「地域資料館……」
そんな所もあるんだ、と内心思いながらも。

[メイン] 鏡音 レン : ふむふむ!と頷いてる。

[メイン] 紺野 純子 : ……『神事が行われていたという伝承が残っていまして……』
『現在は儀式のようなものは行われていません』?

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「あっ、私からも……いいですか?
 どうしてこの歌唱祭りに私たち4人を呼んでくださったんですか? もちろん嬉しいんですけど〜……!」

[メイン] エマ・ヴェルデ : はい!と挙手の姿勢を取りながらも。

[メイン] 紺野 純子 : あ、とエマに正面を譲る。

[メイン] 鏡音 レン : エマから少し視線を逸らす、顔を赤らめながら。

[メイン] 紫藤社 : 「それはですね。神事に参加する歌い手は、『一番歌が上手い人間』が良いそうなのです。
 その場合、歌い手に相応しいのはあなたたちをおいてほかにはいないでしょうという私の一任です」

[メイン] 鏡音 レン : 「!!! ……一番歌が、上手い!?」
目をキラキラとさせながら、紫藤社を見上げ。

[メイン] 鏡音 レン : 「オレ達のこと……そう思ってくれてたんですね!!」

[メイン] 鏡音 レン : 「えへへへ!ありがとうございます!!」

[メイン] 紫藤社 : 「はい。もちろんです」
ニコニコとレンに笑顔を向ける。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 前を譲ってもらった純子に、感謝を述べていれば。
紫藤社の言葉に、ぱぁっと顔を明るくするる。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「そ……そうだったんですかっ!?
 あっ、はいはい!もしかして私たちのファンだったり……!?」

[メイン] エマ・ヴェルデ : 嬉しさが勝ったのか、先程よりもぴょんぴょんと元気よく挙手する。
それに応じてマイクロビキニが支えている部分も元気に跳ねながら。

[メイン] 紫藤社 : 「……!」
エマのその発言にはっとした顔になり

[メイン] 紫藤社 : 「私事なので言わないでおこうと思っていたのですが……。はい。かねてよりあなたたちのファンなんです」
彼は少し照れたように、はにかみながらそういった。ついでに目線はエマから外していた。

[メイン] 鏡音 レン : 「!!!!!!!!!!!!!!!」

[メイン] 鏡音 レン : その言葉に、唇を結びながらも、嬉しさがこれでもかというくらいに
顔に現れ、ぷるぷると震えながら。

[メイン] 鏡音 レン : 「……じゃあ!!!紫藤社さん!!せっかくなので!!」

[メイン] 紫藤社 : 「なので、あなた方をこの街にお招きすることができて大変喜ばしく思っています」

[メイン] 紫藤社 : 「はい?」

[メイン] 鏡音 レン : 「オレ達のサイン!あげます!!!
 ……こういうの、やってみたかったんだよねー!!」

[メイン] 紺野 純子 : 「はい……覚えています、この間のコンサートで熱烈に感想を語っていただいていましたよね。ありがとうございます」

[メイン] 鏡音 レン : 嬉しそうに、頭の後ろで腕を組みながら、にへへと笑い。

[メイン] 鏡音 レン : 「ね!みんなもそれでいいよね!」
と、仲間達へと視線を送ると。

[メイン] 鏡音 レン : 「………?……あれ?スピレちゃんは?」

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「わぁ……!!!」
感極まったように、にっこりと笑顔で。
それを共有しようと振り向き、純子、スピレに笑顔を向けようとしたが────。

[メイン] 鏡音 レン : きょとん、とした顔で、キョロキョロと辺りを見渡し。

[メイン] 紫藤社 : 「…!それは、ありがとうございます」
レンに丁寧にお辞儀をしたあと、純子の発言に目を丸くして

[メイン] 紫藤社 : 「覚えていてくれていたんですね…とてもうれしいです」

[メイン] 紺野 純子 : 「は、はい……その、お仕事中ですので、こう……私情を交えない方がよいかと思いお伝えするか悩んでいたのですが……うん?」

[メイン] 紺野 純子 : 「どうしました?」
振り返って

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「……あれ、ほんとだ…… えっとね、スピレちゃんがいなくって……」
きょろきょろと辺りを見渡せば。

[メイン] 紺野 純子 : 「気付きませんでした……あまり遠くへは行っていないと思いますが、少し探してきましょうか……」
「……ええと、会長さん。そういうわけなので……」

[メイン] 鏡音 レン : 「わっ!?スピレちゃん、迷子になっちゃったの!?大変だ!!」
あたふたとしながら。

[メイン] 紺野 純子 : ……それも、場合によってはこんな姿で。

[メイン] 紫藤社 : 「……!?迷子!?それは大変ですね。放送で探してもらいましょうか?」

[メイン] : とかやってると、控室のドアが開く

[メイン] スピレ : 「あれー……」

[メイン] 紫藤社 : 開かれた背後の扉に視線を向ける。

[メイン] 紺野 純子 : 「……スピレさん!? どちらに……」

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「ま、迷子……!?あのスピレちゃんが……?でも……」
と、心配そうな顔つきで当たりを見渡していると、そちらに目がむく。

[メイン] 鏡音 レン : 「!」

[メイン] スピレ : 「あ、お客さん!? やだなー、私ったら挨拶も出来なくって!」
素の顔で入ってきたが、紫藤を見ると即座に笑顔に。

[メイン] 紫藤社 : 「ああ良かった。取り越し苦労でしたね」
「はじめまして。私は──」
3人に行ったようにスピレに対しても挨拶を済ませる。

[メイン] スピレ : 「みんな寒いから飲み物でもどうかなーって☆」
ホットの飲み物を抱えつつ。カイロじゃ体の中は……温まらない。

[メイン] スピレ : 「どうもっ☆」
☆が出るような自己紹介を返す。

[メイン] 紺野 純子 : 「わぁ……! ありがとうございます!」

[メイン] 紫藤社 : 「これはご丁寧に」
スピレの自己紹介にニコニコと笑顔で応える。

[メイン] スピレ : 「でも、ちょっと迷子になっちゃってー。
 えとえっと、まだ遅れてないよねー?」
と、各々好きそうな飲み物を配りつつ。机の上のスケジュール表に目が行く。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「えへへ!ありがとうスピレちゃん!」
と、暖かな飲み物を受け取りつつ、ほっぺに当てて暖房アリでも肌寒い温度を調節しながら。

[メイン] 鏡音 レン : 「わっ!ありがとー!」
にへらと笑いながら、ホットなドリンクを受け取って
かじかむ手先を温める。

[メイン] GM : 控室の机の上に、プリントアウトされたスケジュール用紙が置かれている。
時計と見比べれば、自分たちのステージはあと30分ほど後のようだった。
現在ステージでは一般市民によるのど自慢大会が開かれている。
その舞台を飾るトリとして、探索者たちが歌唱を披露する……という構成のようだった。

[メイン] スピレ : 「わわっ、もうちょっとで遅刻になるところだった!
 あっぶなかったぁ☆」
こつん☆

[メイン] 紫藤社 : スピレの可愛らしい笑顔を見て微笑む。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 私たちといる時と全然違う……!
スピレちゃんのファンサービスには相変わらず驚かされちゃうなぁ……!と、内心素直に思いながらも。

[メイン] スピレ : 「あっそうだ。紫藤さんもよかったらどーぞ☆」
言いながらホット飲料を差し出して。
さようなら、元々自分の分に買ってた苺ラテ……お客さんが来てたとは知らなかったよ……。

[メイン] 紫藤社 : 「これはこれは。ありがとうございます」
スピレから飲料を受け取ると丁寧にお辞儀をする。

[メイン] スピレ : 「いえいえ☆こんなに寒いのにお疲れ様です~!」
ウィンク☆

[メイン] 鏡音 レン : 「おっ!見てみて純子ちゃん!スピレちゃんも
 アイドルのスイッチが完全にオンになってる!」

[メイン] 鏡音 レン : 「これはオレ達も……負けてられないんじゃない?」
ニッ!とはにかみながら。

[メイン] 紺野 純子 : 「……! はい!」
レンからの呼び声に、紫藤の方へ向き直って

[メイン] 紺野 純子 : 「私たちを呼んでいただけて、これだけ最高の舞台を整えてもらって……!」
「必ず会長さん、皆さんの思い出に残るライブにしてみせますので!」

[メイン] 紫藤社 : 「……!はい。みなさんならきっとそれができることを私は確信しています!」
純子に真剣なまなざしを向けて熱く語る。

[メイン] 紺野 純子 : 「はい、ぜひ。今日は会長としても……そして、一人のファンとしても。最後まで楽しんでくださいね」
その眼差しを真っ直ぐに見つめ返して……その後ろ姿を見送る。

[メイン] 紫藤社 : 「遠くまで。いや、海の底までも響き渡るような歌声をおねがいしますね」
彼は一礼し、ドアノブに手を掛けて少し微笑んでから去っていった。

[メイン] 紺野 純子 : ……バタン、という音を聞いて、小さく息をつく。
……こんな、今すぐにでも海の底まで逃げ出してしまいたいくらいの恥ずかしい姿だけれど……それでも。
……逃げません。私たちを呼んで、私たちのために集まってくれた……私たちに夢を預けてくれた、ファンの方たちがいますから。

[メイン] 紺野 純子 : そして。

[メイン] 紺野 純子 : 「…………その。半分でよければ、どうですか。温かいですよ」

[メイン] 紺野 純子 : ことん、と。
ひと仕事を終えたスピレの隣に、それを置く。

[メイン] スピレ : 「なっ」

[メイン] スピレ : 「……な、何のつもり?」

[メイン] 紺野 純子 : 「……要らないんですか?」

[メイン] スピレ : 「…………」

[メイン] スピレ : 「……要る!」

[メイン] 紺野 純子 : ……ふふっ。

[メイン] スピレ : むすっとした顔で、半分残ったそれをぐびぐびと飲んで。

[メイン] スピレ : 「……あったかい」

[メイン] 紺野 純子 : それを見て、笑顔で満足そうに頷く。

[メイン] 紺野 純子 : ──そして、レンさんにエマさん、スピレさん、もちろん……加藤さんも。
どんな時も一緒にいてくれる、仲間がいますから。

[メイン] 紺野 純子 :

[メイン] 紺野 純子 :

[メイン] GM : ほどなくして、スタッフジャンパーを着た男があなたたちを舞台袖へ誘導する。
冷えた廊下を通り抜け、あなたたちは人のざわめきを聞きながら、舞台袖に立つ。

[メイン]   : 「……ではいよいよ本日のメイン! まだ駆け出しながらちまたを揺るがすアイドル4人によるステージです!」
司会のアナウンスが響く。

[メイン] GM : あなたたちは目を合わせ、ステージ目掛けて駆け出す。
広々とした舞台の中央に立ち、あなたたちはマイクを構え息を吸い込んだ。

[メイン] GM : 〈芸術:歌唱〉及びその他パフォーマンス関連の技能 等

[メイン] 鏡音 レン : CCB<=95 芸術(歌唱) (1D100<=95) > 61 > 成功

[メイン] エマ・ヴェルデ : CCB<=95 芸術:歌唱 (1D100<=95) > 42 > 成功

[メイン] 紺野 純子 : ccb<=95 芸術(歌唱) (1D100<=95) > 5 > 決定的成功/スペシャル

[メイン] スピレ : ccb<=90 芸術(歌唱)  (1D100<=90) > 80 > 成功

[メイン] GM : 何故か、ふと海に気が取られた。
背筋に悪寒が走る。怖気が身体を縛る。何かが自分を見つめている気がする。
得体の知れない怯えが立ち上がるが、ふと隣に立つ仲間達と視線が交差し、はっと気づいて首を振る。

[メイン] GM : あなたはステージから観客席を見渡す。観客たちはきらきらと輝く瞳であなたを見つめている。
胸に誇りと自信が満ちる。
恐怖はいつの間にか、どこかへ消えていた。

[メイン] GM : ここは、自分たちのためのステージだ。何も恐れる必要はない。
あなたたちは華やかに声を張り、最後の一節まで途切れることなく歌い上げた。

[メイン] 鏡音 レン : 「………………っ……!?…………」
……今の、一体何だったんだろう……。

何か、嫌な予感を感じ取りながらもレンは、それでも。

[メイン] 鏡音 レン : 目の前にいる、笑顔を届けたい人達のために
精一杯の元気で、歌を歌う、そして踊った。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「……………っ、は………!!!!」

[メイン] エマ・ヴェルデ : 体中に、ぞわりとねめつけるような視線。
水着を着ていることで刺さる視線とは別の、まるで撫でられるような恐怖。

[メイン] エマ・ヴェルデ : けれど────こくり。
仲間同士、ユニットのみんなと視線を合わせて。
暗い恐怖を、光で塗りつぶすように断ち切る。

[メイン] 紺野 純子 : ……ぎゅいいいい、と寒空を破るギターをかき鳴らし──声を響かせる。
恐怖から逃れるように……乗り越えられるように。

[メイン] 紺野 純子 : そして────こくり。
目の前の皆に、夢だけを……私たちだけを、見てもらえるように!

[メイン] スピレ : 震えそうになるのを抑えて、声を奮わせる。
だってファンを笑顔にするために立ってるから自分が一番笑顔じゃないと意味がない。

[メイン] スピレ : だから────こくり。
心に響くように心の底から笑顔で歌う!

[メイン] GM : 歌が止む。あなたたちの頬から汗が一粒滑り落ちた。観客席から割れんばかりの拍手が沸き起こった。

[メイン] GM : あなたたちは手を振りながら、舞台を後にするだろう。
舞台の袖に下がり、控室へと足を向ける。
通路を曲がろうとした矢先、その向こうから声が聞こえた。

[メイン]   : 「先生、どうしてあたしはステージに立っちゃダメだったの?! どうして……!」
悲痛な子どもの声が耳に届く。思わず、あなたたちは足をとめるだろう。

[メイン]   : 「今日に向けて、ずっと練習してきたのに。それなのにどうして……。
 どうして……あたしは歌っちゃダメなの」

[メイン] 鏡音 レン : 「………………ん……?」
その悲痛な声に、顔を向けないわけがなかった。
子どもの声が聞こえる方へと、目を向け。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「……えっ、今の声は……?」
汗はだらだらと流し、疲れ切った状態でも、その声は耳に届いた。
不思議がる顔になりながらも、目をそちらへと。

[メイン] 鏡音 レン : 「………」
こくりと、エマに頷きながら。

[メイン] 鏡音 レン : その子どもの方へと、歩いていってみる。
これは、好奇心なのかもしれないし、あるいは憐憫によるものかもしれない。

[メイン]   : 「あなたがそこに立つべき人間ではないからです。彼女たちこそがあのステージに相応しく……。
 ナツキ、きみは相応しい存在ではない」
問いかけに対して、冷たげな男の声が返された。その声は、先ほど控室でやり取りをした紫藤社のものだ。

[メイン] スピレ : 気分よく額の汗を拭っていたが、レンが足の向きを変えたのを見て、
どこ行くの!?と続く。

[メイン] 鏡音 レン : ……!……紫藤社さんの、声……?それに……ナツキ……?
……相応しい存在じゃないって……それって、どういう……?

[メイン] 紺野 純子 : ちょっと……と、同じく続こうとしてあわてて足を止める。

[メイン] 鏡音 レン : コンサートの激しい運動により、大量に発汗し、胸で呼吸しながらも
声を押し殺しつつ、ゆっくりと、歩を進めていき。

[メイン] エマ・ヴェルデ : レンの後に続きながらも、その顔は不安げになっている。
……さっきは私たちによくしてくれた紫藤社さんだけど……なんだか、声が厳しいような……

[メイン] 鏡音 レン : 「……紫藤社さん?」

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「……あの、何かあったんですか……?」
と、廊下の先、声が聞こえた場所へと顔を出すと。

[メイン]   : 「……」
息をのむ音が聞こえた。沈黙が場を満たしたが、それは駆け出した誰かの足音によって破られた。

[メイン] GM : 一番近づいてるPCは回避かDEX*5

[メイン] 鏡音 レン : CCB<=24 回避 (1D100<=24) > 35 > 失敗

[メイン] GM : 角を曲がって飛び出してきた小さな人影を躱しきることができず、あなたたちはぶつかり合って床に倒れた。

[メイン] GM : レンはHP-1

[メイン] system : [ 鏡音 レン ] HP : 13 → 12

[メイン] 鏡音 レン : 「─────うわぁっ!?……あ、あいたたた……!」

[メイン] GM : あなたはぶつけた手をさすりながら、同じく身を起こした相手を見るだろう。

[メイン] 紺野 純子 : 「だっ、大丈夫ですか…!?」
レンの方を見、次いで相手の方を……

[メイン] 鏡音 レン : 頭のたんこぶを抑えながら、ゆっくりと顔を上げると……。

[メイン] 奥戸ナツキ : 10代前半の子どもだ。彼女は目を見開いた後、怒りに満ちた目であなたたちを睨みつけて走り去った。

[メイン] 鏡音 レン : 「あ………!………行っちゃった………」
頭のたんこぶをまだ、すりすりと撫でながら、少し涙目で。

[メイン] 鏡音 レン : 「……うん!大丈夫!ありがとう純子ちゃん!
 でもオレ、頑丈だし!」

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「あ……!大丈夫?レンくん……って、たんこぶできちゃってるよ~!」

[メイン] 鏡音 レン : にしし!と笑いながら、力こぶしを見せるように腕を曲げつつ立ち上がり
そして次は─────紫藤社さんの声が聞こえた方へと視線を移して。

[メイン] 紺野 純子 : 「う……な、ならいいのですが……って、駄目じゃないですか…!?」

[メイン] エマ・ヴェルデ : レン、そして────ぶつかった相手。
彼女も相応に痛かったはずだというのに、それを堪えるような顔で……
…………まるで、恨んでるみたいな……

[メイン] スピレ : 「ま、明日には治ってるでしょ」

[メイン] エマ・ヴェルデ : もやもやとしたしこりが残りながらも。
無理やり絆創膏をたんこぶに張り付けながら。

[メイン] 紺野 純子 : ccb<=60 応急手当
「アイドルは顔も命なんですよ…」 (1D100<=60) > 97 > 致命的失敗

[メイン] 鏡音 レン : あははは!そうそう!いっぱいお肉食べればなんとかなーる!と
けらけらと笑いながらも、エマと純子の手当てに。

[メイン] GM : さっきクリ出したから打ち消します

[メイン] 紺野 純子 : ふぅ…………

[メイン] 鏡音 レン : 「あいだーーーーー!!?!?」
ぴょい~ん!と頭を抑えながら、飛び出してしまう。
たんこぶの変なところに当たってしまい。

[メイン] 鏡音 レン : そのまま……紫藤社さんがいたところに着地!

[メイン] 紺野 純子 : 「あっ……!? すっ、すみません……?!」

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「あわわわ……!? …………!?」
漫画みたいな飛び方……!

[メイン] スピレ : (すごい飛び方したわね)

[メイン] 紫藤社 : あなたたちそんなことをしていると、 角を曲がり、紫藤​​​​​​が姿​​を現す​​
「ああ、みなさん……。お疲れさまでした。素晴らしいパフォーマンスでしたね」

[メイン] 鏡音 レン : 「…………!あ、お、お疲れ様です!……へへ!どうでした!
 いいライブだったですよね!?どや!」
頭のたんこぶをまだ抑え、若干の涙目ながらも、にへへ!と笑いながら。

[メイン] 鏡音 レン : 純子には、大丈夫大丈夫!平気!と手をひらひらさせつつ。

[メイン] 紫藤社 : 「はい。今日のステージ、素晴らしかったです。観客の一人として楽しませていただきました」

[メイン] 紺野 純子 : 「ありがとうございます、楽しんでいただけたなら何よりです……すみません、舞台でカッコつけておいて恥ずかしいところを見られてしまいましたね」
すぐに笑顔を作り直す。

[メイン] 鏡音 レン : 「へへへへへ!!」
すごい嬉しそうな顔で、ザ・少年の笑顔で笑いながら。

[メイン] 鏡音 レン : 「………あのー、さっきオレにぶつかった、ナツキちゃんって子は……?」
ナツキが駆けていった方向を見やりながら。

[メイン] 紫藤社 : 「いえいえ、そんなことはありませんよ」
微笑みながら純子へそう告げる。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 紫藤社にありがとうございます~!と嬉しげに笑いながらも。
少し”トラブル”……はあったけど、お客さんは気づいてない……みたいかな?

[メイン] スピレ : 「も~!レンくんったらライブが終わってハシャいじゃって☆
 女の子にごめんなさいしに行かないといけないね☆」

[メイン] 紫藤社 : 「ああ…あの子は私の教え子です。休日に歌唱の指導をしておりまして。……聞き分けの悪い子です。本当に……」

[メイン] 鏡音 レン : あ、あははは……と、スピレに困ったように笑いながらも。

[メイン] 紫藤社 : 「こちらの思いというものは、中々伝わらないものですね。困ったものです」
お茶を濁す。困ったと口でいいながらも、慈しみが籠った眼差しである。

[メイン] 鏡音 レン : 「……教え子……ふむふむ、そうなんだ……」

[メイン] 鏡音 レン : 「……さっきぶつかっちゃお詫びもしなくちゃだし
 それに、紫藤社さんにはこうして、アイドルの舞台を作ってくれたし
 教え子ということなら、オレも……何かしてあげたいっていうか
 あとで、また暇があれば会いたいな……なんて」

[メイン] 紫藤社 : 「…あの子は少し家庭に問題がありまして、会うのは難しいかもしれません」

[メイン] 鏡音 レン : 駆け出して行った方向を見ながら、そう答える。
……あの子は、なんだか……放っておけない気がした。

レンには、リンという双子の妹がいるということも相まって、少し感じるものもあり。

[メイン] 鏡音 レン : 「…………!……家庭の、問題……そっか……」

[メイン] 紫藤社 : 「はい。私の指導の時になら会えますが、本日は神事があるのでお休みでして」

[メイン] 紺野 純子 : 「……はい。……先ほど、舞台を作ってくれた、と……もう全部終わったような口ぶりでしたが、レンさん。
……夜にその神事でもう一仕事あること、忘れてませんよね?」

[メイン] 鏡音 レン : 「うぎっ!?も、もちろんだよ純子ちゃん!!」
その視線に、だらだらと、コンサート後の汗ではなく、冷や汗を垂らしながら

[メイン] 紺野 純子 : ……頭を打って記憶まで飛んだりしていなければいいんですが……と、少し本気混じりに心配しつつ。

[メイン] 鏡音 レン : オボエテルヨー、と答える。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「あはは、まあまあ~
 レンくんはあの子のこと、心配になっちゃっただけだもんね~」
レンの肩にポンと手を置きつつも、その後ろから紫藤社へと目を送り。

[メイン] 鏡音 レン : う、うぅぅ……。と、エマの言葉に、少し俯きつつ、こくりと頷き。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「……教え子って仰られてましたが、もしかして……さっきのショーも、本来なら私たちじゃなくてあの子が歌う予定じゃなかったんですか?
 ……なんだか、ちょっと悪いことしちゃった気分だね」

[メイン] 紫藤社 : 「いえ、彼女はのど自慢大会に出たがっていただけですね」

[メイン] 鏡音 レン : 目をキョロキョロとさせながら、落ち着かない、余裕のない様子で
純子の耳元に、こーっそりと顔を近づけ。

[メイン] 鏡音 レン : 「………し、神事って………ナニスルンダッケ………」

[メイン] 紺野 純子 : 「のど自慢……というと、この大会の前身がそうでしたっけ」

[メイン] 紺野 純子 : (あとで言います!)

[メイン] 鏡音 レン : (ハイッ!)

[メイン] 紫藤社 : 「はい。[緑深市歌唱祭]がそうですね」

[メイン] スピレ : 「そうなんですね~! 紫藤さんのお弟子さんの歌なら聞きたかったな☆」

[メイン] 紫藤社 : 「彼女はまだまだですよ。あなた達にはとうてい及びません」

[メイン] スピレ : 「そんなそんな~!」
にこにこと…営業スマイルだけど褒められるのは本当に嬉しい。

[メイン] 紫藤社 : スピレの笑顔に微笑みを返す。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「えへへへへ~!」
紫藤社からも褒められて、スピレと同じく素で笑顔になりながら。
……うん、こういうのって……やっぱり、楽しい……!

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「……あ、でも……一つ気になったことがあって」

[メイン] 紫藤社 : 「気になったこと?なんでしょうか」

[メイン] エマ・ヴェルデ : と、紫藤社に目を向ける。
歌唱パフォーマンスに問題はなかったかもしれないが、その歌唱中の出来事で、違和感があったのを思い出す。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「実はさっき、歌ってる最中変な視線があって……
 聞いてくれた皆さんのきらきらとした目線じゃなくて、もっとぞわぞわする感じっていうか……」

[メイン] 鏡音 レン : …………!! ……そ、それって……!
オレだけじゃなくて……エマさんも、感じたんだ……!?

[メイン] 鏡音 レン : エマの言葉に続くように、レンもこくこくと頷き、紫藤社を見やった。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「うーん、わかんない!
 それのお陰で、パフォーマンスはベネになったかもしれないけど……」
途中、メンバーと目を合わせ、普段よりも息があった事を思い出しながら。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「ともかく、何か心当たりとかって……そう思ったんです!」

[メイン] 紫藤社 : エマのその言葉にはっとした顔を見せて
「…それは本当ですか?」

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「…………!」

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「何か……ご存じ、なんですか?」
ごくりと息を呑んで、紫藤社に顔を見上げる。

[メイン] 紫藤社 : 「この地にはうたいぼうずと呼ばれる妖怪の伝承があるのですが…」
こんこんと伝承について語り出す。

[メイン] GM : この地域に伝わる、特徴的な要素を持つ海坊主のような存在の怪談。内容は以下のようなものである。
『海で泳いだり、漁をしたりしているとどこからともなく歌が聞こえる。
その歌を聞いてはいけない。耳をふさいですぐ逃げなければならない。
その歌に魅入られてしまうと、うたいぼうずに海の底まで連れていかれてしまう。
『うたいぼうずは歌い、ひとを海の底へ誘う』
『歌はずっと聞いていたくなるほど魅力的で、この世のものとは思えないものだと言われている』
『海の底から帰ってきた人間は、人間ではなくなってしまう』

[メイン] 紫藤社 : 「ここのところ、海での事故が増えているんです。それについて一個人として気に揉んでいて」

[メイン] 鏡音 レン : 「………………!!!」
その伝承を聞き、冷や汗を浮かべながら、ごくりっ、と唾を飲み込む。

[メイン] 紫藤社 : 「そこで、かつてあった儀式を再現することで、安全祈願をしてみるのも良いのでは、とふと思い立ちまして。
 無理を言ってあなた達にお願いさせていただきました」

[メイン] 紺野 純子 : 「…………!」
「今晩の"神事"というのは……それのこと、ですか」

[メイン] 鏡音 レン : 「儀式………あっ、それが……!!」
こくこく!と純子に続いて、頷きながら。

[メイン] 紫藤社 : 「その通りです。非科学的ですし、くだらないことかもしれません。
 ですが、そうした歌や祈りというものが、人にもたらすものがあると思うんです」

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「…………!!!」
その伝承に、ぞわりと背筋が。
スイスは自然と接して生活することが多く、そういった伝承と人は身近にある。
故に、それを簡単にくだらない、と足蹴することはできず。

[メイン] 紫藤社 : 「あなた達が感じた視線がそのうたいぼうずによるものなら、神事でおさまると良いのですが…」

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「いえ……!それならなおさらお手伝いさせてください……!
 ……ぅ、も、もう一度この服装で踊るのは恥ずかしいですけど……
 でも、私たちの歌が、みんなの平和を願えるのなら……!」

[メイン] 鏡音 レン : 「……!!……うん……オレも……!」
拳を握り固め、エマに続きながら。

[メイン] 鏡音 レン : 「それにオレ、科学とかよく分からないし!
 だから、オレにできることで、みんなが笑顔になるんだったら!
 オレは、そのやり方を貫きたい!」

[メイン] スピレ : 「紫藤さんのお気持ちがあればきっと神様にも届きますよ!
 ……この服、いつまで着ていればいいんでしょうねぇ~?」

[メイン] 紺野 純子 : 「………………」
……それに触発されるように。いくら完璧たれとはいえ、聞かずにいるのはそろそろ限界だった。

[メイン] 紺野 純子 : 「…………こ、この……服装も、儀式の一環……なのでしょうか?」

[メイン] 紫藤社 : 「はい。恥ずかしい格好させてしまって申し訳ないのですが、神事を行う歌い巫女は裸に近い姿で歌ったと伝承に残っていまして」

[メイン] 鏡音 レン : 「なるほど……」←高速理解、脳無しで理解したともいえる。

[メイン] 紺野 純子 : 「………………」
……。……えっと……私たち、危うく裸で歌うところだった……ということでいいのでしょうか。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「そ、そういうもの……なんだ……」
故郷スイスにも似たような話があったかもしれない。
これを着なくてはいけない、という理由はあったので一応納得……しつつも。

[メイン] 紺野 純子 : 「…………アリガトウゴザイマス」

[メイン] スピレ : 「恥ずかしいですけど~……ファンの皆さんのためなら大丈夫ですよっ☆」

[メイン] スピレ : 嘘。本当はマイクロビキニを着せる理性があるならもう少し布地増やしてほしかった。

[メイン] 鏡音 レン : 「……あ、ちなみに!神事まで時間ってどのくらい余ってますか?」

[メイン] 紫藤社 : 「ああ。そういえば、神事についての詳しい説明がまだでしたね」

[メイン] 鏡音 レン : こくこくこく!と頷く。

[メイン] 紫藤社 : 「私やその他のスタッフは設営などの準備があるため同行できませんので、みなさんは直接お越しください。
 タクシーを手配しておきます。
 深夜一時半ごろホテルに配車を頼んでおきますので、それに乗ってお越しください」

[メイン] 紺野 純子 : 「…………。」

[メイン] 紺野 純子 : 「深夜一時半?」

[メイン] 鏡音 レン : 「わかりました!!!!」
困惑する純子をよそに、元気溌剌と返事するレン。

[メイン] 紫藤社 : 「はい。その時間に執り行われます」

[メイン] 鏡音 レン : 「頑張ろうね!」
ニッ!と屈託の無い笑顔を向ける。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「そ、それは……ええ~!?……い、いいの?」
元気たっぷりに返事するレンに、目を丸くしながらも。

[メイン] 鏡音 レン : 「へへ!オレは丈夫だから!」
力こぶしを見せるように腕を曲げ、白い歯を見せて笑う。
丈夫だからというのが理由になっているかどうかは定かではない。

[メイン] 鏡音 レン : 「………それに、まだ時間は余っていると……よしっ!」
小さく、気合を入れるように拳を固め。

[メイン] 鏡音 レン : 「それじゃあ紫藤社さん!お疲れ様でした!
 ……オレ、少し用事があるので!この辺で!!」
バタバタバタバタッ!と駆け出していく。

[メイン] 紺野 純子 : レンの笑顔に追いつけず、ぱちぱちと瞬きを返したところで。
「ちょ……ちゃんと体力配分考えてくださいね……!?」

[メイン] 鏡音 レン : ……と思いきやUターンしてきて。
これどうぞ!と、サインが書いてある色紙を紫藤社に渡して
また、走り去っていった。

[メイン] スピレ : 「ちょっ……」
「どこ行っちゃうの~!?」

[メイン] 紫藤社 : サインを受け取り、去っていくレンを笑顔で見送る。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「れ、レンく~ん!?……すみません紫藤社さん!
 途中で失礼してしまって~!」

[メイン] エマ・ヴェルデ : そして、去っていく背中に向けて体を向けて。

[メイン] 紫藤社 : 「いえいえ、元気があって素晴らしいです」

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「アリデヴェルチ~!」
笑顔で手を振りながら、紫藤社に向ける。
そして、スピレ、純子にウィンク。……レンくんの様子、見てくるから!と。

[メイン] 紺野 純子 : 「あ……はい、お願いします……エマさん!」
手を振り返す。私より彼女の方が動けるでしょうし、ここは適任でしょう。

[メイン] 紫藤社 : 小さく手を振ってエマを見送る。

[メイン] スピレ : 「う、うん! レンくんのことお願い~!」

[メイン] スピレ : 「あはは……バタバタしててごめんなさい紫藤さん!
 レンくんったら、いつもこうなんですよ~……」

[メイン] 紺野 純子 : 「す、すみません……お騒がせしてしまって……」

[メイン] 紫藤社 : 「いえいえ、彼の元気なところが私は好きなので」

[メイン] スピレ : 「レンくんに聞かせてあげたらジャンプして喜びそう☆」

[メイン] 紺野 純子 : 「ですね……私からあとで伝えておきますね」

[メイン] 紫藤社 : 「あはは。少し恥ずかしいですが、よろしくお願いします」

[メイン] 紫藤社 : そう言った後、紫藤は微笑みながら一歩、貴方たちに近づく。

[メイン] 紫藤社 : 「あなたがたは本当に、私が見込んだ通り最高の歌い手です。
 あの場でもっとも輝いていた人間はと問いかけて、あなたたち以外の名前を出す人はいないでしょう」

[メイン] 紫藤社 : 「それでいい、そうでなければならない」

[メイン] 紺野 純子 : 「…………」
「……紫藤、さん……?」

[メイン] 紫藤社 : 「素晴らしい歌声でした。本当にあなたたちがきて下さってよかった。あなたたちが居て下さるなら、きっと」
紫藤はそんな風に捲し立てながら手を取る。身を乗り出し、目をのぞき込みながら口角を吊り上げる。

[メイン] 紫藤社 : 「絶対、来て、ください、ね」

[メイン] 紺野 純子 : 「…………っ」

[メイン] スピレ : 「ちょ、ちょっと……あはは、気にいってもらえたのは嬉しいですけど~……」
体を引いて縮こませながら。

[メイン] 紺野 純子 : 反射的にぱん、と手を払いのけ……後ずさってしまう。

[メイン] 紫藤社 : 「え、あ……はは。すみません。少し興奮していたようです」

[メイン] 紺野 純子 : 「…………え、え、あ……す、すみません……こんな……」

[メイン] 紺野 純子 : 言いながら、腰は少し引け気味に……スピレの少し前に。

[メイン] スピレ : 「ああ~……ごめんなさい! 
 ライブ終わって純子ちゃん疲れてちゃってるのかも……! 頑張り屋さんだからなー!」
後ろから純子の手首を握って。

[メイン] スピレ : 「ちょ、ちょっと休憩できるところに行こ? ね!」

[メイン] 紺野 純子 : 「……!」
「は、はい……すみません、私はこれで……」

[メイン] 紫藤社 : 「ああ……こんな時間だ。私も用がありますので、これで失礼」

[メイン] 紫藤社 : 「お二人もステージでお疲れでしょうし、ごゆっくりなさってください。
 ああでも、気分転換に街を歩いていただくのもよいかもしれませんね。
 ぜひ、素敵な時間をお楽しみください」​
​​​彼は微笑みを浮かべ​立ち去っていった​。​

[メイン] GM : 聞き耳振れまっせ

[メイン] スピレ : 「はい、また夜に!」
ひらひら手を振って。

[メイン] 紺野 純子 : ぺこ、と少し急ぎ気味な礼のあとで、スピレのもう一方の手に引かれるままにその場を離れる。

[メイン] スピレ : ccb<=70 振りまっせ (1D100<=70) > 12 > スペシャル

[メイン] 紺野 純子 : ccb<=25 初期値なの忘れてました (1D100<=25) > 39 > 失敗

[メイン]   : 声が、聞こえた。それは微かな声だった。細く、絞り出すような声。
「行か、ないで……。そこへ、行っては……いけません」

[メイン] GM : その声は、間違いなく先ほどまで会話していた紫藤社のものだった。

[メイン] スピレ : 「…………?」

[メイン] GM : あなたたちが振り返ると、紫藤社は角の手前で頭痛を堪えるかのようにこめかみを押さえていた。
あなたたちの視線に気づき、彼は戸惑ったように首を傾げた。

[メイン] 紫藤社 : 「……? どうか、なさいましたか?」

[メイン] スピレ : 「…………。
 寒いですから、お大事にしてくださいね!」

[メイン] 紫藤社 : 「はい。お気遣いありがとうございます」
「では、私はこれで。失礼しました」
彼はもう一度礼をし、あなたたちに背を向けて歩き去っていく。

[メイン] スピレ : おかしな様子に背筋に危機感が走るのを感じながら、一刻も早くその場から離れるように。
手加減も忘れて純子の腕を引いていく。

[メイン] 紺野 純子 : 「ひゃっ……す、スピレさん……!?」

[メイン] スピレ : もう気配も感じないくらい距離を置いたところで、小さく息を切らしてようやく足を止める。

[メイン] スピレ : 「あ、ごめんね……」
ぱっと手を放して。

[メイン] 紺野 純子 : 「いっ、いえ……」
「……あ、あの……ありがとうございました、引っ張っていただいて……」

[メイン] 紺野 純子 : ……さっきまで握られていた温かい感触がつぅ、と冷やされることが……なんだか、少し寂しい。

[メイン] スピレ : 「……先に、庇ってくれたし……
 あの紫藤って男、不気味ね……。大丈夫だった?」

[メイン] 紺野 純子 : 「……はい。ファンの方を大切にしなくては、とは常日頃から思っているつもりなのですが……なんというか、反射的に、私……」

[メイン] スピレ : 「『行くな』……って、紫藤の声で聞こえたんだけど。
 神事に来いって言ったのはあっちじゃないの?
 大きいお祭りだし、疲れでも溜まってるのかしら……」

[メイン] スピレ : 「ファンを大事にしてるからって……自分のことも大切にしなさいよ。
 何されるか分かんなかったんだから……」ブツブツ…

[メイン] 紺野 純子 : 「え……会長さんが、そんなことを……?」
「……私たちの方も、少々疲れが溜まっているのかも……」

[メイン] 紺野 純子 : 「……えっ?」

[メイン] スピレ : 「か、かわいいんだから自分の身に気を付けろって言ってんの……!」

[メイン] 紺野 純子 : 「……〜〜!?!?!?」

[メイン] 紺野 純子 : 「す、スピレさん……!?」

[メイン] スピレ : 「”一般的に見て”……だからね!?
 も、もういいでしょ! 荷物取りにいかないと!」

[メイン] スピレ : 来た時と同じように手首を握って引っ張っていく。

[メイン] 紺野 純子 : 「……! はっ、はいっ!そうですね……!」
……なんでしょう、かわいいだなんて……それこそ、ファンの方々には言われ慣れているはず、なのに……

[メイン] 紺野 純子 : ……顔が熱いのはきっとこの格好のせいです、なんて考えながら……
来た時と同じように、手首を握られて引っ張られていく。

[メイン] スピレ : その。普通に考えれば十人中十一人がかわいいと言うと思うし。
なんで顔を赤くされなきゃいけないっていうの。

[メイン] スピレ : こっちまで恥ずかしくなるし!

[メイン] スピレ : 音を立てながら廊下を踏む。
人気のない区画まで歩いてきたが、この辺りはライブが終わったこともあって、少しずつ照明が落とされているようだ。

[メイン] スピレ : 角を曲がった矢先に。
通りすぎたその道の照明が落とされ、二人の背後に闇が触れた。

[メイン] スピレ :

[メイン] スピレ :

[メイン] GM :  

[メイン] GM : 2.承:うたいのまちにて

[メイン] GM : 舞台を終えたあなたたちは、今から夜までは自由時間だ。
街をうろつくもよし、何か食べ歩きをするのもよし、海を見にいくのもいいだろう。
マネージャーには、「約束の時間の前、深夜1時半には戻っておくこと」とだけ言われている。

[メイン] 鏡音 レン :  

[メイン] 鏡音 レン :  

[メイン] 鏡音 レン : ─────そして金髪碧眼の少年、レンは街へと飛び出して行った。
……あの時、紫藤社さんと、そしてナツキちゃんの会話が今もずっと
頭の中に、まるで突っかかっているように、錆びた歯車が絡み合って動かなくなっちゃったみたいに、頭の中に残ってて。

[メイン] 鏡音 レン : 「………本当は、あの舞台に立っていたのは……ナツキちゃん
 ……だったのかな……?だとしたらオレ……
 ナツキちゃんに、申し訳ないこと……しちゃったかな……」

[メイン] 鏡音 レン : ハッ、ハッ、と白い吐息を出しながら、長閑な街中を
全力で走るレン。先程アイドルとしてコンサートを終えたばかりだというのに
底無しの体力で、汗を体中に浮かべながら、がむしゃらに走っていた。

[メイン] 鏡音 レン : 「………見なかったことにするのは、なんだか嫌だし!
 あとでちゃんと会って、それで………
 ………ど、どうしよう…………」

[メイン] 鏡音 レン : ………特に何も案は、無かった。
謝りたい、というような気持ちはあるものの
それが、果たして彼女のためになるのかというのもあり
レンは、頭がグルグル状態となっていた。

[メイン]   : 頭がグルグル状態となったレンは、考えるためにその場に立ち尽くしていた。
もちろん人通りが少ない場所であったため、歩行者が通る場所ではなかったが。

[メイン] エマ・ヴェルデ : ────もにゅん!

[メイン] エマ・ヴェルデ : 先ほどナツキとぶつかったときよりかは数倍柔らかく、しかし人と当たった感触がレンを襲う。

[メイン] 鏡音 レン : 「うわぁっ!?」

[メイン] 鏡音 レン : その圧倒的な弾力に、レンは突き飛ばされる。

[メイン] 鏡音 レン : 「あ、あいたたた……!……あ!また、ぶつかっちゃった……!?
 ご、ごめんなさい!!」

[メイン] 鏡音 レン : 慌てて立ち上がり、温かく、柔らかな感触のあった方へと向き
バッ!!と、勢いよく頭を下げると。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「うひゃああっ?! あたたた……きみ、大丈夫~?
 ……あれ、ん~~~」

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「……あ!」

[メイン] 鏡音 レン : 「……あ!」

[メイン] 鏡音 レン : ん?と、聞き慣れた声に、ゆっくりと顔を上げると、そこには……。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 頭を下げたレンの口の中に、チーズのお菓子を入れて。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「レンくん~!よかった~!もう会えないかと思ったよ!」

[メイン] 鏡音 レン : 「うぇっ!?エ、エマさん!?どうしてここに……!?」
目をグルグルとさせながら、慌てて。

[メイン] 鏡音 レン : 「………………………」

[メイン] 鏡音 レン : 「…………ん?」

[メイン] エマ・ヴェルデ : レンに会えたことが感慨深く、ぶんぶん!と両手を握りながら。

[メイン] 鏡音 レン : 瞬きを幾つかした後、眼前にいる仲間の衣装を、じっと見て。
しばらく、思考が停止をする。

[メイン] エマ・ヴェルデ : レンとの追いかけっこは何分にも渡った。
最初はレンの背中を追っていたが、男女の体力差もあり、次第に見失い。
やがて街中をあてなくさがしていたのだが、こうして見つけられた。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「……? どうしたの?」

[メイン] エマ・ヴェルデ : と、首を傾げると。

[メイン] 鏡音 レン : 「………へ?………あ、あれ……?」

[メイン] 鏡音 レン : 冬の寒空の下、冷たくなっていたレンの白い肌は
段々、段々と朱を帯びていき。

[メイン] 鏡音 レン : 「………エマさん、なんでまだその格好……あ、あれ?
 ……あれ!?ていうか、オレも……!?」

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「そうだよ~!!
 レンくんがいきなり飛び出したから、私も追いかけてきて……」

[メイン] 鏡音 レン : バッ!!!と、自分の姿を見る。

女性物の、際どい水色の水着を着た、自分がそこにいた。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 頬を膨らませながら、レンの目線を見て。

[メイン] エマ・ヴェルデ : そして街中にある姿鏡で、自分の格好を再認識する。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「……きゃっ、ひゃあああっ!!!?」

[メイン] 鏡音 レン : 「あ、あわわわわわわわわわっ………!?!?」

[メイン] エマ・ヴェルデ : 流石に……ライブ会場辺りでは慣れきってはいたものの。
ここは町中である。追いかけるのに夢中になるあまり、それすらも忘れていて。

[メイン] 鏡音 レン : 「ど、どどど、どうしようエマさんんんんんん!?!?」

[メイン] 鏡音 レン : 茹蛸のように、顔を真っ赤にしながら、縋るように
まるで捨てられた子犬のような目で、エマを見上げる。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「わ、わわわ!!?ど、どうしよ~~!?
 えっとえっと~~!!」

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「お、おしくらまんじゅう!!」

[メイン] 鏡音 レン : 「!!!!!!」

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「じゃなくて、えっと!せめてこれじゃあ寒いから~!
 せめて屋内に行かないと~!」

[メイン] 鏡音 レン : エマの言葉に、生卵がゆで卵になってしまうくらいに
脳みそに熱がこもってしまいながらも。

[メイン] 鏡音 レン : 「!! そ、そうだね!!外だと、まずいし……!!」

[メイン] 鏡音 レン : 「こ、こっち!!」
そのまま、エマの腕をガシッ!と掴んで。

[メイン] エマ・ヴェルデ : もう今の時点で結構寒く、肌が痛くって。
寒さで肌が痛い……という経験は、初めてだった。屋内と屋外の温度は段違い。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「うん、だから~……ひゃっ……!?」

[メイン] 鏡音 レン : レンは、細見で、女装させてしまえば女の子のような見た目に
なってしまうような、中性的な男の子ではあるものの。
アイドル活動をしているということもあり、意外にも筋肉質であり。

[メイン] 鏡音 レン : 女の子とは違う、ガッシリとした手つきが、エマの腕に伝わるだろう。

[メイン] エマ・ヴェルデ : その力強い掴み方は、普段みんなからかららわれているレンとは少し一致しなくて。
……なんだか、うぅ、新鮮なような……変に、意識しちゃうような……

[メイン] エマ・ヴェルデ : 温度のせいか、それとも。薄らと顔を赤く、熱っぽくしながらも、彼に先導されて歩いていく。
加えて、スピレに「レンは無事だった」というメールをお送りながら。

[メイン] 鏡音 レン : ─────そして、数奇な運命もあってか。

[メイン] 鏡音 レン : 二人が入っていった建物は、コンサート前に
紫藤社が説明をしていた、地域資料館であった。

[メイン] GM : [地域資料館]
街はずれにある小さな地域資料館。漁で身を立てた有力者の屋敷を改造して資料館にしており、昔このあたりの地域で行われていた祭事についての資料や、地域に残る伝承などについての資料を保管している。

[メイン] 鏡音 レン : 「はぁっ……!はぁっ……!こ、ここなら……!
 ………お、お邪魔しまーす……」
か細い、小さな声で、資料館に声をかけながら、中へと入っていく。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「お、お邪魔しまぁーす~……!チャオ~?」
と、レンに続くようにして、中に。

[メイン] 職員 : 「いらっしゃいませ…ええっ!?」
入り口すぐ近くに職員が立っていたためMB姿の2人をバッチリ目撃してしまう。

[メイン] 鏡音 レン : 「え゛っ………!……あ、えっと………これは………!」
目をぐるぐるにし、腕をあたふたと動かしながら。

[メイン] 鏡音 レン : 「……オ、オレ達!実はアイドルでして!!
 それで、色々あって、こんな格好になっちゃいまして!!」

[メイン] 職員 : 「えっ!?えっ!?」
思いもよらない来訪客に言葉が出ない。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「ひゃわあっ……!?……こ、これは……その……!」
恥ずかしさで、普段と同じ喋り方になれず。もじもじとしながら。

[メイン] 鏡音 レン : なんとか言い訳を見繕うとする。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「…………!」

[メイン] 鏡音 レン : APP対抗でゴリ押せたりしない?

[メイン] GM : わかった
APP*5成功したら

[メイン] 鏡音 レン : CCB<=85 APP×5 (1D100<=85) > 29 > 成功

[メイン] 職員 : 最初はびっくりしていたが、街にアイドルが来る話は聞いていたので次第に驚きの表情は薄くなっていった。

[メイン] 職員 : 「も、もしかして、フェスに呼ばれたアイドルの方?」

[メイン] エマ・ヴェルデ : 職員が納得していったことに、安堵の溜息をつきながらも。

[メイン] エマ・ヴェルデ : レンくん……話してくれてありがとう~……!と、近づき小声で語り掛けて。

[メイン] 鏡音 レン : 「あっ、はい!!オレ……鏡音レンって言います!
 なんか、その……いきなりの訪問、すみません!」
格好はアレなので、せめて態度だけでもということで、職員さんに頭を下げ。

[メイン] 鏡音 レン : へ、へへへっ!とエマに笑いつつ、その目は涙目であった。

[メイン] 職員 : 「ああいえ、お客様に失礼なことをしてしまったのはこちらの方なので…」
頭を上げるようにレンに促す。

[メイン] 鏡音 レン : 「………! あ、ありがとうござ……ふぁ……ふぁっ……!」

[メイン] 鏡音 レン : 「ふぁくしょんっ!」

[メイン] 鏡音 レン : くしゃみをしてしまう。当たり前ながら、こんな格好で
冬の寒い中走り回り、おまけに汗までかき、それが蒸発してしまえば……。

[メイン] 鏡音 レン : さ、さぶいっ……………!!

[メイン] 職員 : その様子を見て
「あの、これ、良かったら使ってください」
タオルケットと自分の上着を手渡そうとする。

[メイン] 鏡音 レン : 「あっ……!い、いいんですか!?……でもこれ、お姉さんのだし……
 わ、悪いから!オレは大丈夫ですよ!」

[メイン] 職員 : 「でもとても寒そうですよ?
 それに、その、目のやり場が…」
チラチラと見ながら俯いて

[メイン] 鏡音 レン : 「ア………………………………ハイ」

[メイン] 鏡音 レン : 顔を赤らめ、猫背気味になりながら、こくりと頷いた。

[メイン] 鏡音 レン : アイドルでなければ、こんな格好で公共施設に赴けば通報ものである。
そうならなかったのは、アイドルパワーのおかげだろう、きっと。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「私からもありがとうございます~……!すみませんっ!」
と、タオルケットを受け取り、レンの汗を拭きとりながら。
……さっき私の代わりに無理してくれたレンくんに……返したいから。

[メイン] 鏡音 レン : 「あ……むぐぅっ……!」
まるで姉と弟、といったような光景であり。
エマによって顔を、なすがままに拭かれる。

[メイン] 鏡音 レン : そうして二人とも汗を拭き終え、いい感じの上着を借りながらも。

[メイン] 鏡音 レン : 「この恩は、きっといつか返しますので!
 ………それにしても、ここって……?」
ニッ!と屈託の無い、少年の笑顔を向けながら。

[メイン] 鏡音 レン : 職員のお姉さんにお礼を改めて告げつつも、辺りを見渡す。
そこには、年季を感じさせるようなものが数多展示されており。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「なんだか、色々歴史がありそうな所ですね~……?」

[メイン] エマ・ヴェルデ : こちらもお礼を告げながらも、レンに頷き。

[メイン] 職員 : 「そうですね。この地に関する伝承やら何やらいろいろな資料が置いてあります」

[メイン] 鏡音 レン : 「伝承………あっ、ということは……!
 お姉さん!えーーと……あれ!あれを知ってますか!?
 ………うた……うた?うたの………」

[メイン] 職員 : 「うた…?」
「ああ、もしかしてうたいの祀りのことですか?」

[メイン] 鏡音 レン : 「!!! それです!!」
ぱぁぁ!と顔が明るくなり。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「おぉおお~!! 資料館の方は、やっぱりお詳しいんですね~!」

[メイン] エマ・ヴェルデ : 話に聞いていたものが効けそうで、少し嬉しくなりながらも。

[メイン] 職員 : 「仕事ですから。しかし、なぜアイドルの方々がうたいの祀りのことを?」

[メイン] 鏡音 レン : 「あ、それは……えーと…… ……エマさん!!」

[メイン] 鏡音 レン : 縋るように、甘えるような目を向け。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「あっ、うん!! 実はその……かくかくしかじかで~!」

[メイン] エマ・ヴェルデ : と、この後の祭りと、うたいの祀りの因果関係を話し。
その祭りで歌うことことが自分達が呼ばれた所以だと話す。

[メイン] 鏡音 レン : エマの説明に、知ったかぶりしているのか、そうそうそう!と
隣で、頷きながら。にへへ!ありがと!と言いたげな笑顔をエマに向ける。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「もちろん、知らなくっても歌う事は出来ます
 でも、この町で何が起きたか、みんながどんなことを思っていたのか……知っておくことで、歌に感情を込めることができるんです」

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「その方が、きっと……いい歌になるだろうし……
 ”うたいぼうず”さんも、聞いてくれるんじゃないかなって」

[メイン] 鏡音 レン : 「………うん!オレも、歌でみんなの役に立てるなら、って!」

[メイン] エマ・ヴェルデ : レンの笑顔に、こちらもえへへ~!と、笑い返しながら。
もっともこちらも受け売りが大部分でもあった。

[メイン] 職員 : 「なるほど。お仕事熱心なんですね」
「アイドルの方は煌びやかな世界で生きているものと思っていましたが、偏見は良くありませんね。少々お待ちください」
そう言って奥に引っ込むと、2冊の古い本を持って戻ってくる。

[メイン] 鏡音 レン : 「にへへへへ……!」
職員の言葉に照れたように笑いながらも、持ってきた本を見て。

[メイン] 鏡音 レン : 「それは……?」
小首を傾げながら。

[メイン] エマ・ヴェルデ : いえいえ~!と笑顔で、まんざらでもない様子だったが。
職員の本に覗き込むように、顔を向けて。

[メイン] 職員 : 「うたいの祀りの伝承について書かれた本ですね」

[メイン] 鏡音 レン : 「ふむふむ……!ありがとうございます!
 ……じゃあ!ちょっと、読んでみますね!」
どれどれ~?と、本に目を通してみる。

[メイン] エマ・ヴェルデ : ふむふぅむ?と、レンの後ろに引っ付き、これまた覗き込むようにして見る。

[メイン] GM : うたいの祀りについての伝承1
緑深市が生まれる前、小さな漁村がここにはあった。その村の近くの海では、漁にでた者が海から戻ってこなくなるというような事件が多発していた。
海から戻ってきた人間もいたが、すっかり気が狂っておかしなことしか話さなくなっていたという。
戻ってきた人間は「人が海に連れ去られてしまうのは、海に居る神が望んでいるためだ」と言った。
その話を受けて人々はうたいの祀りという儀式を始めた。
儀式とは、海辺の洞穴の底、海とつながる場所に訪れる神の使いへ供物の奉納を行うというものだった。
うたいの祀りを行うようになってから人々が海で行方不明になるという事象は激減し、村には平和が訪れたとされている。

[メイン] GM : うたいの祀りについての伝承2
うたいの祀りで捧げられていた供物とは人間である。人間を儀式の場である海辺の地下洞穴に閉じ込め、神への生贄としていた。
閉じ込められた人間は翌日には儀式の場から姿を消しており、そこからおおよそ一年ほどの間海での行方不明者が居なくなることから、毎年のように、うたいの祀りは行われていた。
ある時期から行方不明者が出ることがぱたりと止まったため、そこから儀式は形骸化し、緑深市歌唱祭というのど自慢大会のような行事へと変化した。

[メイン] 鏡音 レン : 「─────え……?」

[メイン] 鏡音 レン : 難しいことが書かれてあり、全部を把握した、というわけではないものの。

[メイン] 鏡音 レン : 「……供物……?」

[メイン] 鏡音 レン : レンの頬に、冷や汗が一つ、伝っていく。

[メイン] GM : アイデア振れるよ

[メイン] 鏡音 レン : 「あ、あれ……?紫藤社さんは、オレ達に……あれ……?」

[メイン] 鏡音 レン : CCB<=60 アイデア (1D100<=60) > 39 > 成功

[メイン] エマ・ヴェルデ : CCB<=25 アイデア (1D100<=25) > 10 > 成功

[メイン] GM : 「歌」で町おこしをしているため、こうした内容は外聞が悪いために隠されているのではないか、と思う。

[メイン] 鏡音 レン : 「………………」
訝しむような顔で、エマと顔を合わせながら。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「………………」
先ほど拭いたはずの汗が、つう、と一滴垂れるのを感じながら。

[メイン] エマ・ヴェルデ : レンと顔を合わせ、こくりとうなずく。

[メイン] 鏡音 レン : こくりと、頷き返し。

[メイン] 鏡音 レン : 「……ありがとうございましたお姉さん!これ、お返しします!」
そう言い、二冊の本を返し、アイドルの笑顔を向けながら。

[メイン] 職員 : 「わかりました。お仕事頑張ってくださいね」
本を受け取ってまた奥へと引っ込む。

[メイン] 鏡音 レン : はい!と溌剌と答えながら。

[メイン] エマ・ヴェルデ : グラッツィエ~!と、元気良く返しつつ。

[メイン] 鏡音 レン : 「………ね、ねぇエマさん、オレ達がこれからやるのって……」

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「…………」

[メイン] 鏡音 レン : 「……安全祈願……ていうのは、そうなのかもだけど……
 で、でも……これの再現なんか、しちゃったら……」

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「もし、この本通りなら……
 私たちを、神様の生贄にするってこと……?」

[メイン] 鏡音 レン : こくりと、頷く、深刻そうな表情で。

[メイン] 鏡音 レン : 「……わ、わかんないけど、もしかしたら……
 そう……なっちゃう、のかな……?
 ……でも!オレ……紫藤社さんの、あの笑顔が嘘だっただなんて!」

[メイン] 鏡音 レン : 拳を固く握り締めながら。

[メイン] 鏡音 レン : 「……そんなのは、信じたくない……!」

[メイン] エマ・ヴェルデ : レンに、強く強くうなづく。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「私だって、信じたくない……!!
 このお祭りも、今になってから変わったのかもしれない……もの」

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「”ファン”って、そう言ってくれる人を……疑うだなんて……」

[メイン] 鏡音 レン : 「!!……エマさん………!」
自分と同じ感情を抱く存在がいて、心強く思え。

[メイン] 鏡音 レン : 「……へへ!……オレ、エマさんと同じユニットで、良かった!」
ニッ!と、屈託の無い笑顔を向けた、その時だった。

[メイン] GM : 目星くれ

[メイン] 鏡音 レン : CCB<=80 目星 (1D100<=80) > 20 > 成功

[メイン] エマ・ヴェルデ : CCB<=75 スイスの少女は目がいい (1D100<=75) > 29 > 成功

[メイン] GM : 物陰からあなたたちを窺う人影を目撃する。

[メイン] 奥戸ナツキ : その子どもの姿に見覚えがある。それは、あの舞台袖の廊下で見かけた子どもだ。

[メイン] 鏡音 レン : 「………あっ!」

[メイン] 奥戸ナツキ : 彼女はあなたたちの視線に気づきはっとして駆け出す。
声をかける間もなく、走り去ってしまった。

[メイン] 鏡音 レン : 噂をすればなんとやら、そこには─────話をしたかった少女が。

[メイン] 鏡音 レン : 「あ!!ま、待って…………!!!」
そう叫ぶも、もう既にそこには、彼女はいなかった。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「ああっ~~!怖くないよ~~!?」

[メイン] 鏡音 レン : 「………すぅぅ~~~~~~……」
それでも、息を深く吸い。

[メイン] 鏡音 レン : 「………さっきは!!ぶつかって!!
 ごめんね~~~~~~~~~~~~!!!!」

[メイン] エマ・ヴェルデ : ばっと手を伸ばすも、それはもう背中に手を伸ばした後。

[メイン] 鏡音 レン : アイドルの声量で、ナツキに精一杯の謝罪を送るのだった。

[メイン] エマ・ヴェルデ : まあ街中でMB着てる人が怖いか怖くないかで言うと怖いが────

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「………わあっ!」

[メイン] 奥戸ナツキ : その大きな声に一度だけチラッとレン達の方を見るも、すぐに踵を返して去っていった。

[メイン] 鏡音 レン : ………!! 見てくれた……!!

[メイン] 鏡音 レン : ニッ!と笑い、手を大きく振るのだった。

[メイン] 鏡音 レン : 「…………あの子も、きっと……いい子なんだと、オレは思うんだ、エマさん」

[メイン] エマ・ヴェルデ : そんな世間の目があったとしても、レンは大きく叫んだ。
それが……レンくんのベリッシモなところ……じゃないかな。

[メイン] 鏡音 レン : 「歌が好きな子に、悪い奴なんていない
 ……そうは思わない?」
にへへ!と笑いながら、エマの方を向いて。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「────うん!私もそう思う!
 だって、純子ちゃんも、スピレちゃんも、ナツキちゃんも、紫藤社さんも……」

[メイン] エマ・ヴェルデ : そしてくるりと、目をレンに向けて。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「レンくんだって、いい子なんだもん!
 歌が好きな人は、みぃーんな良い人なはず!」

[メイン] エマ・ヴェルデ : ニコッ!と笑いながらも。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「ここの神様にも、歌が好きなら……気に入ってもらいたいけどなあ~……」

[メイン] 鏡音 レン : その言葉に、嬉しそうに笑いながら。
少し首を傾け、金髪の前髪を揺らし、ほんのりと碧眼を細めながら
エマを、じぃっと、中性的な顔で見つめながら。

[メイン] 鏡音 レン : 「こんなオレに着いてきてくれるエマさんだって、いい子でしょ?」

[メイン] 鏡音 レン : 「オレも………そうだね、神様に……オレ達の歌を気に入ってほしいな」
そう言い、ゆっくりと、エマが見上げる天井へと、同じように視線を移すのだった。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「……へえっ!?」

[メイン] エマ・ヴェルデ : ……そう言われるとは……思わなかったけどっ!
……いい子、かぁ……う、てか……その顔で見られるとっ……なんだか、どう思えばいいのか~~~!

[メイン] エマ・ヴェルデ : 神様とはまた別の問題を頭に抱えながらも。
ひとまずは、レンと同じく、天井を見つめるのだった。

[メイン] 鏡音 レン : 「……………」
しばらく、同じ場所を見つめ続け、そしてレンがゆっくりと口を開き。

[メイン] 鏡音 レン : 「………オレ達がもしも、夜の仕事を断ったら」

[メイン] 鏡音 レン : 「他の"誰か"が、その儀式をやることになる………だよね?」

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「…………!!!」

[メイン] エマ・ヴェルデ : レンに、思わず顔を向ける。
その顔は、いつもの少年のような笑みとは真逆の、真剣な眼差しで。

[メイン] エマ・ヴェルデ : それに、重々しくうなずく。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「きっと……そう
 今回はよそものの私たちだったけど、私たちが断ったら……」

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「今度は、この町の中の誰かが選ばれるかもしれないね……」

[メイン] 鏡音 レン : 「……………」
資料館内にある、年季を感じさせるソファに寄り掛かりながら。

[メイン] 鏡音 レン : 「………オレ、それはなんか、いやだなぁ」

[メイン] 鏡音 レン : 「オレは、オレの歌と踊りで感動してくれるみんながいるからこそ
 オレ自身に……すごく自信を持てるっていうか、なんていうか……
 ………でも、オレ以外の誰かが犠牲になることを、許しちゃうオレは……」

[メイン] 鏡音 レン : 「………ダサいなって」

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「……ふふっ!」

[メイン] 鏡音 レン : 「なっ……!?ち、ちょっとエマさん!なんで笑うんだよー!」

[メイン] 鏡音 レン : ぷくぅー!とほっぺを膨らませながら。

[メイン] エマ・ヴェルデ : レンのその言葉に、くすりと笑い。
同じくソファーへと背を預けながら。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「ごめんごめん、笑うつもりじゃなかったの~!
 ……だって、誰かの笑顔のためにアイドルやってるレンくんが……
 その笑顔のために、頑張ろうとするって……」

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「レンくんらしくって、カッコいいって思っちゃって」

[メイン] 鏡音 レン : 「………………!!」

[メイン] 鏡音 レン : その言葉に、目を開きながら、そして背筋も少し伸ばし。
顔色が徐々に、嬉しさ全開の色へと変わっていき。

[メイン] 鏡音 レン : 「………へへへへへっ!!」
鼻の下を指で擦りながら、少年のように笑い。

[メイン] 鏡音 レン : 「……ありがとう、エマさん!!……だからオレ、この仕事」

[メイン] 鏡音 レン : 「加藤さんに言って………」

[メイン] 鏡音 レン : 「─────オレ一人で引き受けることにするよ!」

[メイン] エマ・ヴェルデ : レンの両手を、ぎゅっと掴む。

[メイン] エマ・ヴェルデ : いつものような優しい手ではなく。
それは、レンを捕えるように。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「……レンくん」

[メイン] 鏡音 レン : 「だってさ」

[メイン] 鏡音 レン : 「供物は……一人なんでしょ?」

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「…………」

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「それは……そうかも、ね」

[メイン] 鏡音 レン : 「エマさん達を巻き込むわけにはいかないから、ね」

[メイン] 鏡音 レン : 「大事な仲間だもん!」

[メイン] エマ・ヴェルデ : あそこに書かれていたのは、あくまで一人。
もし生贄を用意するなら、無駄な犠牲を増やすわけにはいかない、という考え……なんだろうな。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「…………だから、一人で行くことにした、ってこと?」

[メイン] 鏡音 レン : その言葉に─────こくりと、深く頷いた。

[メイン] 鏡音 レン : エマの青い目を、じっと見ながら。

[メイン] 鏡音 レン : 「それにオレ、ダンス得意だしね~!」

[メイン] 鏡音 レン : 「いざとなったら、逃げられるし!自信あるよ!」

[メイン] 鏡音 レン : にへへっ!と、エマに屈託の無い笑顔を向ける。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「……もう……」

[メイン] エマ・ヴェルデ : レンのその屈託のない笑みに、まるで彼に安心してしまいそうになる。
低音のハスキーボイスは、心地よくさせてしまう。

[メイン] エマ・ヴェルデ : でも。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「でも、レンくんは~……嘘つきだから、ダメだよ」

[メイン] エマ・ヴェルデ : もう一度、両手を握り直す。

[メイン] 鏡音 レン : 「─────!!」

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「一人で抱え込んで、誰も傷つかないようにして……
 本当は自分が傷ついてるのに、それすらも嘘で覆ってしまう」

[メイン] エマ・ヴェルデ : そして、自分のマイクロビキニを引っ張りながら。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「これだって、そう。あのお姉さんと話すときも、涙目だったのに……
 ……ずっと!私のために、って……我慢してたもん!」

[メイン] 鏡音 レン : 「…………っ……!!」

[メイン] 鏡音 レン : ─────それらは全て、図星であった。
レンが抱えていた感情、全てを当てられてしまった。

[メイン] 鏡音 レン : レンは、このユニット唯一の男の子であり
そして家では、お兄ちゃんをしている。
だからこそだ、"我慢"するという行為はこれまでも多くしてきた。

[メイン] 鏡音 レン : それは自己犠牲の形でもあった。
歌やダンスの他にそれらしい取柄というものがなく
自分自身という存在が、電子の海に消えてしまわないか不安になってしまいそうになった夜も、幾つあっただろうか。

[メイン] 鏡音 レン : 存在証明のために、レンはアイドルをしている。
だからこそ……エマの言葉は、深く突き刺さった。
月面に着陸したアポロ11号のような震撼であった。

[メイン] 鏡音 レン : 「………エマさん……でも、それは……!
 ……オレが、涙を堪えることで……雨を、オレが受けることで!」

[メイン] 鏡音 レン : 「綺麗な"虹"を、みんなは見ることができるんじゃないの!?」

[メイン] エマ・ヴェルデ : レンの言葉に頭を横に強く、振る。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「レンくんっ……!!”虹”は……一色が欠けても、虹じゃないの!!
 あなたがいないと、私たちは、私たちじゃないの!!」

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「……だから、もう……大丈夫なの」

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「”我慢”するなら、私たちが一緒についてる
 あなたがいなくちゃ、虹が出来ないように……
 虹があるからこそ、あなたはそこにいるって、言えるから」

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「だから────安心して、レンくん」

[メイン] 鏡音 レン : 「…………!!!」

[メイン] エマ・ヴェルデ : 強くなっていた言葉が、段々と和らいでいく。
エマは、レンを写す鏡のように。彼の言葉に釣られ、強くなってしまった。
しかし今は、鏡に映るのはレンだけではない。……エマと、レンだ。

[メイン] エマ・ヴェルデ : それを証明するように。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 繋いだままだった手を伸ばして、レンを優しく抱きしめる。

[メイン] エマ・ヴェルデ : ゆっくり、頭を撫でながら。
それはまるで姉が弟に行うような、優しい抱擁で。

[メイン] 鏡音 レン : 「あ……………」

[メイン] 鏡音 レン : まるでそれは、二つの色がパレットで重なるかのようで。

[メイン] 鏡音 レン : 一つの色で描けるものなど、一つでしかない。
"虹"というのは、何色も必要なのだ。

[メイン] 鏡音 レン : 温かな、大自然の雄大さを感じさせるその抱擁は
レンを熱暴走させるには、十分過ぎるものであった。

[メイン] 鏡音 レン : 「………エマ、さん…………!」

[メイン] エマ・ヴェルデ : そうして、エマはゆっくりと紡ぎ出す。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「Tuta nana tgu e dorm' el num de Diu♪」

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「Il bab vegn zera,lunsch ei ius,la mumma era domisdus;
 tuta nana tgu e dorm' el num de Diu……♪」

[メイン] エマ・ヴェルデ : レンの視線に、にっこりと笑みを浮かべる。

[メイン] エマ・ヴェルデ : これは故郷の子守歌。よく、妹がぐずった時に歌ってあげたなぁ。
……弟のように思っちゃうなんて、ちょっと失礼かも。……でも、今は……ゆっくり、休んでほしいから。

[メイン] 鏡音 レン : 「……………」
─────その、柔らかな音色に、レンの激情はゆっくりと
羽毛の中で眠っていくように……。

[メイン] 鏡音 レン : 瞼も、閉じていき……。

[メイン] 鏡音 レン : 「……………ありがとう……エマさん、オレ……
 ……エマさんに、失礼なことを……言っちゃってた、みたい……」

[メイン] 鏡音 レン : 「…………エマさんに言わなくちゃいけない言葉は……
 オレ、一人に任せるなんてものじゃ……ないよね……」

[メイン] 鏡音 レン : ぎゅっ。
エマの背中に後ろで腕を回し、レンも甘えるように抱擁し。

[メイン] 鏡音 レン : 「………一緒に、来て……!」

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「わっ……!?」

[メイン] エマ・ヴェルデ : その抱擁に驚いたように目をぱちぱちとさせる。
しかしその声に、こくり。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「────グラッツィエ!」

[メイン] 鏡音 レン : えへへへっ……!と、純真な笑顔を向ける。
もうレンは、エマを守らなくちゃいけない存在だなんて
下に見るような目では見ない。

[メイン] 鏡音 レン : ─────共にステージに立ち、同じ星を見る……
信頼のできる、仲間だと。

[メイン] エマ・ヴェルデ : その笑顔に強く、しっかりとうなづいて。

[メイン] エマ・ヴェルデ : だからこそ────このステージに立ち、同じ海を見る。
信頼できる仲間と共に踊るには、どうすればいいのか。

[メイン] エマ・ヴェルデ : それは────知る事。

[メイン] エマ・ヴェルデ :  

[メイン] エマ・ヴェルデ : >海辺についての
これを資料館で調べたという事で、図書館とかどうかな?

[メイン] GM : 振ってくれ

[メイン] エマ・ヴェルデ : CCB<=75 スイスの少女 (1D100<=75) > 100 > 致命的失敗

[メイン] エマ・ヴェルデ : えぇ…

[メイン] GM : エマは資料館にある新聞の記事が目に入る。
それにはこう書かれていた。

[メイン] GM : ここのところ、海で頻繁に人が消える。
誘拐などが疑われているが、たしかなことは分かっていない。
海へ出た漁師も失踪したりしており、少し不穏な雰囲気がある。

[メイン] GM : もしかしたら自分も同じような目に遭うのではないかという不安が生まれてしまう。SANc(1/1d3)

[メイン] エマ・ヴェルデ : CCB<=55 SANc (1D100<=55) > 21 > 成功

[メイン] system : [ エマ・ヴェルデ ] SAN : 55 → 54

[メイン] エマ・ヴェルデ : …………っ。

[メイン] エマ・ヴェルデ : ……紫藤社さんが言ってたことは……嘘じゃない。
本当に、海で人がいなくなってる……

[メイン] エマ・ヴェルデ : ……それじゃあ、それに挑む私たちは……?
本当に、帰ってこれるっていう保証はあるの……?

[メイン] エマ・ヴェルデ : ……ない。

[メイン] エマ・ヴェルデ : ない……けど。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 拒んだって、変わらない。
そう決めたのは、さっきの私と、レンくんだから。

[メイン] エマ・ヴェルデ : だから、私たちが変えてみせるんだ……!

[メイン] エマ・ヴェルデ :  

[メイン] エマ・ヴェルデ :  

[メイン] エマ・ヴェルデ :  

[メイン] GM :  

[メイン] GM : 3.転(1):海辺の歌姫

[メイン] GM : あなたたちは夕食を終え、店を後にする。冷たい夜風が肌を撫で、ほんのりと火照った頬を冷やす。
その時ふと。何かが聞こえた。あなたたちは耳を澄ます。

[メイン] GM : 聞き耳くれ

[メイン] 鏡音 レン : CCB<=80 聞き耳 (1D100<=80) > 76 > 成功

[メイン] エマ・ヴェルデ : CCB<=75 スイスの少女 (1D100<=75) > 82 > 失敗

[メイン] GM : 風の音に紛れながら、歌が聞こえた。高く澄んだ、ソプラノの美声。
芸能の世界に身を置く人間であっても唸るような、見事な歌声に聞きほれる。
昼間の噂話が脳裏をよぎるが、不気味な印象はない。むしろ、心が満たされるような感覚に包まれる。

[メイン] GM : 声は海の方角から聞こえてくるようだった。
成功したレンはSAN+1

[メイン] 鏡音 レン : 「……………え……?……すごく、透き通った……綺麗な声」

[メイン] 鏡音 レン : 目を閉じ、そのメロディを頭に刻むようにして。
そして、真似るように、自分も小さく鼻歌を。

[メイン] system : [ 鏡音 レン ] SAN : 60 → 61

[メイン] 鏡音 レン : 「………いい歌……」
─────心が、洗われていくようだった。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「……えっ?」
エマにはその透き通るような歌は聞こえず、頭を傾げたものの。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 隣のレンの鼻歌の、口で奏でる声は聞こえて。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「あっ……! これ……いい歌だね」

[メイン] 鏡音 レン : 目をゆっくりと開き、碧眼をエマの方へと向け
静かに、にこりと微笑み。

[メイン] 鏡音 レン : 「……うん!……エマさん、少し……見に行こうか?」

[メイン] 鏡音 レン : 手のひらを差し出し。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「……うん!」

[メイン] エマ・ヴェルデ : その手に目を丸くしながらも、ふふっと微笑み。
手をしっかりと握って。

[メイン] エマ・ヴェルデ : レンの後を一緒に向かって行こうと。

[メイン] 鏡音 レン : そしてオレ達は─────海へと、歩き出す。
漣の音が、耳に心地よくて、夜の月明かりに照らされる地平線へと。

[メイン] 鏡音 レン : 二つのシルエットが、月光によって作られながら。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 時々、そのシルエットが光によって重なりながら。
夜海の音は、ざざあぁんと、迎えるように。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「なんだか、海から歌だなんて人魚みたいだね」
そんな事を呟きながら、微かに音のする方へと足を運んでいく。

[メイン] 鏡音 レン : あははっ、確かに、それはとても、ロマンチックだね!
と、楽しそうにけらけらと笑いながら。
歌声の聴こえる方へと目を向けると、そこには。

[メイン] エマ・ヴェルデ : もっとも人魚は、人を海へと引きずり込むために歌を歌っているとも言われている。裏もあるのかな、なんてぼーっと思っていたが。レンの笑顔に、笑っていれば、そこには。

[メイン] GM : 歌声を辿るなら、耳を澄ましながらあなたたちは歩を進め、海辺に辿りつく。

[メイン] GM : [夜の海辺]
風が吹きすさび、夜空の雲はちぎれて飛んでいく。
静かな浜辺の付近まで訪れたあなたたちは、目をやった場所に人影を見つけた。

[メイン] GM : 人影は、ステージ裏で、資料館で目撃した少女だった。聞こえていた歌声は、どうやら彼女のものらしい。
彼女の歌声は美しく、浜辺に広がり、夜を満たし、海の上を渡っていく。
麗しい歌声に、思わずあなたはため息をこぼすだろう。

[メイン] GM : そこに観客はいない。誰一人として。
月光に照らされたひとりきりの浜辺は、彼女のステージだった。

[メイン] 鏡音 レン : そして二人の男女は客として、そのステージに見入っていた。

[メイン] 鏡音 レン : レンは、腰に手を当てながらも、口角を緩ませ
─────あの時、出会った少女の綺麗な歌声を、静かに聴いていた。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「わぁああっ…………!」

[メイン] エマ・ヴェルデ : エマは彼女のステージを邪魔しないように。
しかし口からこぼれる感嘆の声は漏れてしまう。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 海と月光を背にする少女は、スイスでは見ることができないほどの、神秘にあふれていて。

[メイン] GM : 近づくあなたたちに気づくと、少女は歌うのをやめた。
夜の浜辺を、波の音が満たしていく。

[メイン] 鏡音 レン : ぱち、ぱち、ぱちと拍手を送る。
スタンディングオベーションだ。

[メイン] 鏡音 レン : にこっ、と微笑みながら、少女を見て。

[メイン] 鏡音 レン : 「……すごくいい歌だったよ、ナツキちゃん」

[メイン] 奥戸ナツキ : レンの賛辞にじろっと睨みをきかせるような視線を向け
「何。何の用?」
敵愾心を露わにするような口調で、あなたに言葉をかえすだろう。

[メイン] 鏡音 レン : 「あ、あわわっ!よ、用かー……うーん、それなら……」
狼狽しつつも、腕を組み、考えながら。

[メイン] 鏡音 レン : 「……君のステージを見に来た……ってところかな?」

[メイン] 鏡音 レン : にへへっ!と、人懐っこい笑顔を向けながら。

[メイン] エマ・ヴェルデ : そして、レンの隣に立つエマは、彼の言葉にこくこくと頷きながら。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「うん、とっても……ベリッシモだった!
 いつもあなたは、あんなに透き通るような綺麗な歌を響かせてるの~?」

[メイン] 奥戸ナツキ : 「呼んでないし、それにここはステージでもなんでもないし」
昼間のことを根に持つように、ぷいっとそっぽを向いて

[メイン] 奥戸ナツキ : 「あたしはこの街で誰よりも歌が上手いんだから褒め言葉になってないわよ」
褒められてもまったく意に介していない様子を見せる。

[メイン] 鏡音 レン : 「あははっ!いいねぇ~!その気が強いとこ!
 勝気なところ!うんうん!ウチの妹にそっくりだ!」

[メイン] 鏡音 レン : 「そのくらい、自分に自信が持てるならきっと、ナツキちゃんは
 ………次こそは、あのステージに立てるよ、絶対!
 ……なんて、オレが言っても、お世辞にしか聞こえないかもだけど」
あはは……と言いながら、頭の後ろを掻きながら。

[メイン] 鏡音 レン : 「………ねぇ、ナツキちゃん
 ナツキちゃんはどうして、オレ達のこと、着けてたの?」
ずけずけとナツキの隣に立ち、そして地平線に浮かぶ真っ白な満月を見ながら。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「うんうん。それに、私たちもあなたを探してたから……おあいこ、ってことだもんね~」
のほほんと、着けられていたこと自体を気にしない様子で。

[メイン] 奥戸ナツキ : しばらく黙っていたが、やがて口を開き
「先生があんたたちの話ばっかりするから、どんな人なのか気になっただけよ」
着けていたことがバレていたことに少しばつが悪そうにしながら。

[メイン] 鏡音 レン : 「なるほど……あははっ!じゃあ、ナツキちゃんから見て
 オレ達って、どう見えたかな?」
ナツキの視点に合わせるように、しゃがみながら、にこっ、と微笑み。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 紫藤社さんって、良い人だもんね~!私たちから見ても、とってもすごいファンな人なんだもん!と、彼女の言葉に頷きつつも。
レンと一緒に、しゃがんで目線を合わせる。

[メイン] 奥戸ナツキ : 「どうって…」
煮え切らない様子で、そのまま黙りこくる。
認めてしまったら負けたことになるからだろうか。

[メイン] 鏡音 レン : 「………あ、ご、ごめんっ、またオレ……なんか、気が障っちゃうような
 こと……言っちゃったかな……?」
黙ってしまうナツキに対し、申し訳なさそうな表情で、上目遣いで見て。

[メイン] 奥戸ナツキ : わざと視線を外してレンとエマの顔を見ないようにしながら
「…別にそうじゃないけど」

[メイン] 鏡音 レン : 「………!……えへへ、ありがとう、ナツキちゃん!
 ……そうだなぁ……うーん……あ、じゃあじゃあ!
 もう1回!ナツキちゃんの綺麗な歌……聴いてみたいな~?……なんてっ」
ちらちらっ、と。

[メイン] 奥戸ナツキ : 「はぁ?いやよ、なんであんたたちに聴かせなきゃいけないのよ」
相変わらず視線は合わせないままで

[メイン] 鏡音 レン : 「え~~?いいじゃん~!ねっ!エマさん!」

[メイン] エマ・ヴェルデ : レンの視線に、にこっ!と笑って。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「じゃ~、こうしよう!」

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「私たちはナツキちゃんに聞かずに歌っちゃったもの!
 だから、ナツキちゃんにそのお礼を返そう~!」

[メイン] エマ・ヴェルデ : 両手をぱちんと合わせて、そんな事を提案する。
彼女が先ほどまで歌っていた舞台は、今は誰も歌っていない。

[メイン] 鏡音 レン : 「あ、いいね!」
グッドアイデアだよ~!と付け足しながら、楽しそうに笑い。

[メイン] 奥戸ナツキ : その様子にイラついたような表情を見せ
「そんなこと頼んでないし!勝手なこと言わないでよ!」

[メイン] 奥戸ナツキ : ナツキの怒号が静かな海辺に響く。
それと同時に強い風が吹き、ナツキの長い髪が風になびき
今まで髪で隠れていた首の辺りに痣のようなものが見えるだろう。

[メイン] 鏡音 レン : 「……………!!」
月明かりに照らされた、その痣を見て、目を少し開き。
……夕食中に、純子ちゃん達から教えてもらった情報を思い出す。

[メイン] エマ・ヴェルデ : ナツキのその声に、あうっと、一瞬縮こまってしまったが。
その時、視線がズレたからだろうか。

[メイン] 鏡音 レン : 「……………ごめんね、ナツキちゃん」
しょんぼりとした顔で、少し俯き。

[メイン] 鏡音 レン : 頭の悪いレンであったも、それはすぐに分かった。
家庭の事情、それは……家庭内暴力だ、それもきっと……家族から。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「あっ…………」

[メイン] 鏡音 レン : ……そうか、だから……。
ふと、コンサートが終わった後の、ナツキちゃんと紫藤社さんの会話を思い出す。
必死に紫藤社さんに、ステージに出してほしいと願うナツキちゃんの姿。
あれは……きっと、ナツキちゃんにとって、紫藤社さんは………。

[メイン] エマ・ヴェルデ : その痛々しい痣は、ナツキの白い肌と対照的に、とても悲痛そうに見えた。
そう言ったこととは経験のないエマだからこそ、余計に。

[メイン] 鏡音 レン : ─────唯一の、心の救いだったんじゃ、ないのかな……。

[メイン] 鏡音 レン : 「………ねぇ、ナツキちゃん、ナツキちゃんにとって
 紫藤社さんって、どんな人かな?」
話題を変えるように、にこりと微笑みながら。

[メイン] 奥戸ナツキ : 2人の目線が痣の方を向いているのに気がついて、慌てて手で覆って痣を隠しながら
「先生はとっても優しいの。この街で、唯一あたしに優しくしてくれて…」

[メイン] 鏡音 レン : 微笑ましそうに目を細め。

[メイン] 鏡音 レン : 「……うん、だね!紫藤社さんはとっても、優しい人だよ
 それに、ナツキちゃんだって頑張り屋さんの良い子だし……ねっ!」

[メイン] 鏡音 レン : ………それにしても、家庭内暴力……か。
こればかりは、本当に難しい……。
たとえば、明らかに虐待されている痕がある児童を見かけたとして、通報しよう。
それでも警察は、残念ながら─────。

[メイン] 鏡音 レン : その家庭に立ち入ることは、できないって……MEIKOさんが
言ってたような……。だから、すごく、複雑だって……。
なんでも、一般家庭に入るには、タイホジョー……?が必要……だとか……?

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「…………唯一…………」
その言葉に、眉を曲げる。
もしかすれば、その痛みは誰にも言う事が出来ないものだったかもしれない。

[メイン] 鏡音 レン : ……それに、それ以前の問題だ!
もしも、ナツキちゃんのご家族が逮捕されちゃったとして
じゃあ、残されたナツキちゃんは、どうなるんだ。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「……嫌な事を聞いちゃうかもしれない、けど
 ……それも、お話に乗ってくれたの?」

[メイン] 鏡音 レン : 家族に逮捕者がいたってなったら……オレは、すごく悲しくなる。
それにきっと、周りの目だって、どうなるか分からない……。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 今はもう、小さな手によって隠されてしまったその痣。
その手の上から覆うように、手をかぶせる。

[メイン] 鏡音 レン : ナツキちゃんを、どうにか助けてあげたい、でも。
どうすることもできない自分に対し、無力感を抱いていた。
それが、悔しくて悔しくて……堪らなかった。

[メイン] エマ・ヴェルデ : …………小さい。見るのと触れるのじゃ、全然違う。
やっぱり……私よりも小さな手。
……それなのに、頑張ってこれをずっと隠そうとしてきたのかな……

[メイン] 奥戸ナツキ : 「先生はなにも聞かなかったわ。でも、代わりにあたしに歌を教えてくれた」
「あたしはそれまで楽しいことなんてなにもないって思ってたけど、先生が教えてくれた歌だけは違った。こんなに楽しいものがあるんだって気づかせてくれた」

[メイン] 鏡音 レン : 「…………!」

[メイン] 鏡音 レン : その言葉には、ハッキリと……ナツキちゃんの"強さ"が感じられた。

[メイン] 奥戸ナツキ : 「だから、あたしには……あんたたちと違って、ここしかないんだ。歌しか、ないんだ」

[メイン] 奥戸ナツキ : 「ここで認められたくて……ずっとずっと頑張って、あのステージで、って……!」

[メイン] 奥戸ナツキ : 「思ってたのに! どうしてあんたたちなの! 先生は最近ずっと、あんたたちのことばっかり言って……!」
一度気持ちを吐露してしまったためか止まらなくなってしまう。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「…………ナツキちゃん……」

[メイン] 鏡音 レン : 「……………」

[メイン] 鏡音 レン : その言葉に対しレンは─────全てを、受け止めた。
怒りを感じるのだって、ごもっともだ。

[メイン] 鏡音 レン : 「………どの立場だって、思うかもしれないけど
 オレ……分かるよ、ナツキちゃんのこと」

[メイン] エマ・ヴェルデ : 海に響いていく。これは歌声ではなく、彼女の存在証明として。
それが、たまらなく……エマには、心に響いてしまう。

[メイン] 鏡音 レン : 「オレも……歌とダンスくらいしか取り柄が無くてさ
 勉強とか、料理とかもそうだし、何から何まで
 オレは、これといったものがなくて……でも」

[メイン] 鏡音 レン : 「歌を歌って、そして踊ることが好きだから
 オレは今もこうして、アイドルをしてるけど……
 ………もしも、この立場を奪われちゃったら……」

[メイン] 鏡音 レン : 「……オレも、いやになっちゃうな」
困ったように、眉をハの字にしながら、あはは……と乾いた笑いを。

[メイン] 鏡音 レン : 「……………改めて、本当にごめんね
 部外者のオレ達がさ、ナツキちゃんのせっかくの晴れ舞台を
 奪っちゃうような真似をしちゃってさ……」

[メイン] 鏡音 レン : せめて、オレにできることは─────。

[メイン] 鏡音 レン : ナツキちゃんの怒りを全部、受け止めるくらいだ。

[メイン] 奥戸ナツキ : 「…それなら、もう、帰って」

[メイン] 奥戸ナツキ : 「あんたたち、神事に参加するんでしょ?
 行かなくていいよ。代わりにあたしがいくから」

[メイン] 鏡音 レン : 「………!神事……?……いや、それだけは……!!ダメだ!!」
目を開き、慌てるような表情で。

[メイン] 奥戸ナツキ : 「何よ!自分が相応しいって言うの!?」
レンの制止を自分を邪魔してるように受け取ったのか

[メイン] 奥戸ナツキ : 「先生が言ってた。神事は、一番歌の上手い人が儀式の洞窟で歌うものだ、って」

[メイン] 鏡音 レン : 「ち、違うっ!そうじゃないんだ……!?」

[メイン] 鏡音 レン : あーーー!!!な、なんて説明したらいいんだーー!?

[メイン] 奥戸ナツキ : 「『一番歌の上手いひとが参加する』ものなら……相応しいのはあたしに決まってる!」

[メイン] 鏡音 レン : 半ばパニック状態となり、目をグルグルとさせながら。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「……っ……!うん……! でも……ナツキちゃんが行くのは……」
レンの言葉に頷く。しかし、それを説明する術もなくて。
正直に話しても、ナツキちゃんを遠ざけるためのウソにしか聞こえない。

[メイン] 奥戸ナツキ : 「なんで先生は、こんな…あんたちみたいなのの方が上だって言うんだ!」

[メイン] 奥戸ナツキ : 「あたしの方があんたたちよりずっとずっと上手く歌える、あんたたちなんかよりずっと、ずっと……!」

[メイン] 奥戸ナツキ : 「あたしの方が! その舞台に相応しいんだ!」

[メイン] 奥戸ナツキ : 少女はあなたたちに向かって、吐き捨てるようにそういうと背を向けて走り去る。

[メイン] 鏡音 レン : 「あ……!!ま、待って!!ナツキちゃん!!
 エ、エマさん!!このまま行かせちゃったら……!?」

[メイン] 鏡音 レン : エマの方を振り向き、冷や汗を額に浮かべながら。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「だ、だめ……!あの子が、”生贄”になっちゃう……!!」

[メイン] 鏡音 レン : 頷き、そして直ぐにナツキが去っていった方向を遠く見据え。
強く、眉に力を込めながら、気合を入れるようにして。

[メイン] 鏡音 レン : 「………オレ達も、すぐに向かおう!エマさん!!」

[メイン] エマ・ヴェルデ : レンに頷き。ナツキに触れていた手も、簡単に払われてしまう。
それこそが、彼女の覚悟の所以だと感じる。
きっと……ナツキちゃんが抱えているものは、この海と同じくらい、広くて深いものなのかも……。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「うん────レンくん、行こう……!」

[メイン] GM : その時だ。

[メイン] GM : 聞き耳くれ

[メイン] 鏡音 レン : CCB<=80 聞き耳 (1D100<=80) > 11 > スペシャル

[メイン] エマ・ヴェルデ : CCB<=75 スイスの少女 (1D100<=75) > 14 > スペシャル

[メイン] GM : 遠くから。音が聞こえた。
波の音ではない。それに近いものの、明らかな違いを感じる。

[メイン] GM : それはほんの微かなもので、音なのかすら曖昧なほどだった。
判然としないその形を、あなたの耳が捉える。
それはどうも、海の方から聞こえた気がした。

[メイン] GM : アイデアくれ

[メイン] 鏡音 レン : CCB<=60 アイデア (1D100<=60) > 79 > 失敗

[メイン] エマ・ヴェルデ : CCB<=25 アイデア (1D100<=25) > 49 > 失敗

[メイン] GM : この音に対して何も思い浮かばないが、行動は取ることができる。
2人はこの事態にどうする?

[メイン] 鏡音 レン : ─────紫藤社さんの言葉を、ふと思い出す……。

[メイン] 鏡音 レン : 海で泳いだり、漁をしたりしているとどこからともなく歌が聞こえる……。

[メイン] 鏡音 レン :  

[メイン] 鏡音 レン : ─────その歌を聞いてはいけない。

[メイン] 鏡音 レン :  

[メイン] 鏡音 レン : 耳をふさいですぐ逃げなければならない。
その歌に魅入られてしまうと、うたいぼうずに海の底まで連れていかれてしまう。

[メイン] 鏡音 レン : 「………っ!!!」
ぶわりと、冷や汗が滲み出た。
物覚えの悪いレンであったが、直感でその危険性を感じ取り。

[メイン] 鏡音 レン : 「エ、エマさん!!!耳を塞いで!!!
 い、今すぐ!!!走るんだ!!!!!!」

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「────っ!」

[メイン] エマ・ヴェルデ : レンの、歌よりも響く声に────ハッと。
紫藤社さんからの言葉を思い出して。

[メイン] エマ・ヴェルデ : こくり、と頭だけで合図を送り。
耳を強く塞いで────駆けようと。

[メイン] GM : あなたたちは耳をふさぐ。海辺の冷たい風があなたたちの肌に吹き付け熱を奪う。

[メイン] GM : 音は、聞こえない。
聞こえない。聞いては、ならないのだから。
それでよいのだ。
背筋に冷たい汗を感じる。

[メイン] GM : SANc(0/1d2)

[メイン] 鏡音 レン : 1D100<=61 正気度ロール (1D100<=61) > 59 > 成功

[メイン] エマ・ヴェルデ : CCB<=54 SANc (1D100<=54) > 29 > 成功

[メイン] GM : 気づけば、海には再び静けさが戻っていた。

[メイン] GM :  

[メイン] GM : 4.転(2):此処は誰の舞台か

[メイン] GM : [ホテル]
地方都市の小さなホテルだが、内装は綺麗に整えられており居心地は悪くない。
大きめのベッドの上には清潔なシーツが敷かれており、ベッドサイドのランプが部屋を照らしている。

[メイン] GM : 目星くれ

[メイン] スピレ : ccb<=70 目星 (1D100<=70) > 56 > 成功

[メイン] 紺野 純子 : ccb<=80 目星 (1D100<=80) > 86 > 失敗

[メイン] GM : 窓からふと外を見下ろせば、人気のない通りを走っていくひとりの人影を目に捉えた。
奥戸ナツキだった。彼女は海の方角に向かって走っていったようだった。

[メイン] 紺野 純子 :

[メイン] 紺野 純子 : ────時を同じくして。

[メイン] 紺野 純子 : 「……あ……スピレさん。戻ってたんですね」

[メイン] 紺野 純子 : 部屋でかたん、と最後の荷物をちょうどキャリーケースに詰めていたところで……ちょうど入ってきた彼女と目が合う。

[メイン] スピレ : 「準備……出来てるみたいね」
静かに扉を閉めながら。1時半ももうすぐ近い。

[メイン] 紺野 純子 : 「仕事ですからね。こういうのは、私の領分みたいな部分もありますから」
そう言って微笑みかける。

[メイン] 紺野 純子 : 「あとのお二人は、夜風に当たってくると。……あの格好で、風邪引かなきゃいいんですが」
言いながら、また作業に戻る。

[メイン] スピレ : 「水着姿で街を走り回るなんて!
 何考えてるのかしら……まったく」
微笑みに顔を逸らしつつ。見続けると変な言葉が出そう。

[メイン] スピレ : 「……」
黙々と作業する様子を眺めて、躊躇いがちに口を開く。

[メイン] 紺野 純子 : 「……?」
手を止める。

[メイン] スピレ : 「気にしてないの……っていうか、信じる?
 あの、二人の話……」

[メイン] スピレ : 二人が資料館で聞いたという、この街の古い伝承。
神事の発祥と、それにまつわる暗い話。

[メイン] スピレ : 迷信と切って捨てることはできるけど、その舞台に今から上がるとなると穏やかな気持ちではいられない。
なんで純子は落ち着いて準備できてるんだろう……

[メイン] 紺野 純子 : 「…………。」

[メイン] 紺野 純子 : 小さく俯く。

[メイン] 紺野 純子 : 顔を見られないように。
「……そう言うスピレさんは、どうなんですか?」

[メイン] スピレ : 「ど、どうって……」

[メイン] 紺野 純子 : 「…………」

[メイン] 紺野 純子 : ふぅ、と溜め息をついた折に……ケースから小さなキーホルダーがからん、と転げ落ちる。

[メイン] 紺野 純子 : 「…………今の私は、落ち着いているように見えるでしょうか。」

[メイン] スピレ : 「……そ、それは……まぁ」
と。物静かな彼女に、肯定の言葉を返しかけて。

[メイン] スピレ : 「あっと」

[メイン] スピレ : 落としたキーホルダーを拾い上げて。

[メイン] スピレ : 「……落としたわよ?」
手の上にそれを乗せて……取られるまでの間、何の気なしに眺める。

[メイン] 紺野 純子 : 「…………。」
「……アイドルは」

[メイン] 紺野 純子 : しかして、依然そちらの方は見ないまま。
「アイドルというものは、ファンの皆さんに夢を届ける存在……どんな時も完璧な偶像を演じてみせなければならない、というのが私の考えです」

[メイン] 紺野 純子 : 「…………でも、どんなアイドルだって……完璧になることはできません。……スピレさんも見ましたよね……昼間……私が、紫藤さんの手を」

[メイン] 紺野 純子 : 様子を伺うように問いかける。
ぱしん……と、自分の手から鳴った音が耳に蘇る。

[メイン] スピレ : 「あんなの……し、仕方なかったって……!」
手を宙ぶらりんにさまよわせたまま。

[メイン] 紺野 純子 : 「……ありがとうございます。……それでも、失敗は失敗に変わりありません」

[メイン] 紺野 純子 : 目を背け、簡単に振り払ってしまうような……生半可な覚悟。

[メイン] 紺野 純子 : 「崩れるのは、どんな時だって一瞬なんです。コンサートの失敗も、アイドルの行き止まりも、たった一度の運命の悪戯で簡単に訪れてしまうものなんです」

[メイン] 紺野 純子 : 「…………」

[メイン] 紺野 純子 :
「──命の終わりだって。」

[メイン] スピレ : 「………………」
その言葉は”実感”としか言いようのない重みを持ってるように感じて、何も言えず。

[メイン] スピレ : 「……アイドルなんて、お客さんに笑顔を売ってればそれでいいんじゃないの。
 どうせ、ファンだって……そんなに、深いところまで見ることなんて、無いし…………」
作ったキャラでも、付くファンは付く。そんなスレた経験から出た言葉でしか慰めようとすることができない。

[メイン] 紺野 純子 : 「駄目なんです」
劈くように言い切る。

[メイン] スピレ : びくりと震えて。

[メイン] 紺野 純子 : ……少し、自分と彼女を落ち着けるように長い息を吐いて。

[メイン] 紺野 純子 : 「それをして成り上がる方を否定するわけではありませんが……私は、ずっとそれでやってきましたし……その信念が、私を支えてくれたことだってあります」

[メイン] 紺野 純子 : 「……だからこそ、わからないんです。」

[メイン] 紺野 純子 : 「怖い。」

[メイン] 紺野 純子 : 「死ぬんですよ。」

[メイン] 紺野 純子 : 「命を賭すということは……小さな紐の水着を着る程度の、小さな決心なんかとは比べものにならないんです。」

[メイン] スピレ : 「な、なに言って……」

[メイン] 紺野 純子 : 「…………」
「離れ離れになってしまうかも、しれないんですよ。」

[メイン] 紺野 純子 : 「それなのに、あの人たちは……どうしてあんなにはっきり、信念を持って……前に進めるのか、わかりません。」

[メイン] スピレ : 決して言葉を荒げられるわけじゃない。
ただ淡々と呟かれていく言葉がしかし一番深い悩みを意味しているように聞こえる。

[メイン] 紺野 純子 : ……最後の一呼吸を吐いて。

[メイン] 紺野 純子 : 「……だから、私は今もこうして……わからないまま、時間が過ぎるのを待っているだけ。」
「……アイドル失格、ですね」

[メイン] スピレ : 「そっか……」
その息の余韻も消えてから、ぽつりと呟く。

[メイン] スピレ : 「ごめんね」

[メイン] 紺野 純子 : 「……え」

[メイン] 紺野 純子 : 声の方をゆっくりと振り向く。

[メイン] スピレ : 自分で不安になってることが、純子にとっても不安じゃないわけがない。
それを、自分のことばかり考えて彼女のことを見れていなかったんだろう。
不安な時、誰だって簡単に口に出せるわけじゃなくて、逆に口を閉じて静かにすることで落ちつかない気持ちをやり過ごそうとする人もいる。

[メイン] スピレ : 後悔するように俯かせていた目を、向けられた顔に合わせて。

[メイン] スピレ : 「こんなこと言わせちゃって、本当に悪いって……ごめんなさいって思ってる。
 ……きっと、私の方にも不安が伝わないようにって仕舞い込んでくれてたんでしょ」

[メイン] 紺野 純子 : 「…………」

[メイン] スピレ : 「純子が抱えてたことを、気持ちも知らずに……
 吐き出しちゃうくらい辛くさせてごめんなさい」

[メイン] 紺野 純子 : 「……そ、そんなつもりは……」
慌てるように。……こんなスピレさん、初めて見ました……

[メイン] スピレ : ケースに向かっていた純子と、目線を合わせるように屈んで。

[メイン] スピレ : 「……私だって怖いの。この街に来てから、少しずつおかしなことが起きて。
 ただずっと、真剣に向き合ってなかったから……それだけの理由で、怖いなんて思わなかった。自分に関係ないことだって思ってた」

[メイン] 紺野 純子 : 「…………」
ひとつずつ、スピレの言葉を飲み込むように小さく頷く。

[メイン] スピレ : 「生きるとか、死ぬとか、どんなに危ないって急に言われても、だって遠い話みたいで……」

[メイン] スピレ : 「でも、純子はずっと正面から向き合ってたのね。怖くて怖くて仕方なくても」

[メイン] 紺野 純子 : 「……!」

[メイン] スピレ : 「…………」
こうしてまじまじと考えると、途方もない怖さが胸から湧き上がってくる。
海に住む怪異、生贄の伝承、そういうの全部と向き合ってどうすればいいの?

[メイン] スピレ : 「あの二人は……あの二人もきっと、本当は怖かったんでしょうね」

[メイン] 紺野 純子 : 「……っ」

[メイン] スピレ : なのに、二人はまだ足を止めてない。
その理由があるとすれば……。

[メイン] スピレ : 「それでも二人が前に進めている理由は、きっと純子も持ってると思う」

[メイン] スピレ : 「ナツキを……誰かを笑顔にしたいっていう気持ち一つなんでしょうね、どうせ」
多分、あの二人ならその程度の理由で危険も顧みずに走って行けるだろうと思った。

[メイン] 紺野 純子 : 「…………。」
言葉が……刺さり、響く。
レンさん、エマさんは……こんな状況であっても、自分のアイドルを貫こうとしているのに。……私、逃げてばかりで。

[メイン] スピレ : 「だから……だから、あー……」

[メイン] スピレ : イベントを控えてるのにぐしゃぐしゃ頭を掻いて。
純子の両肩を強く掴む。

[メイン] 紺野 純子 : 完璧を魅せようとして覆い隠してきた、自分の本心を見透かすようなスピレの言葉に耳を奪われながら……突然のそれに。

[メイン] 紺野 純子 : 「……ふぇっ!?」

[メイン] スピレ : 「……っ!」
薄い紺色の目を見て!

[メイン] スピレ : 「私が言いたいのは!
 辛いなら、悩んでなくたって……言って!」

[メイン] 紺野 純子 : 「…………っ……」
「…………スピレ、さん……」

[メイン] スピレ : 「純子には先に進める力があるの!
 それで、進むのが怖い時は私だって傍にいられるし!」

[メイン] スピレ : 「どう!? 私が、私たちが離れ離れになるってこれでも思う!?」
絶対に離れないくらい強く強く、華奢な体を掴む。

[メイン] 紺野 純子 : 「…………っ……!!」

[メイン] 紺野 純子 : 自分の不安も吹き飛ばしてしまうような力強さで……でも、どこか安心するような体温を、肌で感じて。

[メイン] 紺野 純子 : (……あった、かい)

[メイン] スピレ : それを見て、怒り顔で不満をぶつけるように。

[メイン] スピレ : 「ほら! 不安とか、怖いとかじゃ、なくて……
 今の純子は何をしてみたいの!?」

[メイン] 紺野 純子 : 「……っ!!!」
溢れ出ようとする恐怖、弱音、涙をぐっと堪え。

[メイン] 紺野 純子 : 「……私も……ッ!!」

[メイン] 紺野 純子 : 「一緒に、前へ……!進みたい!!」
「ナツキさんも、紫藤さんも……レンさんも、エマさんも、スピレさんも……!!皆さんと、笑顔で終われるように……!全力を尽くしたい!!」

[メイン] 紺野 純子 : 「だって、私は……私たちは!!」

[メイン] 紺野 純子 :
────アイドル、だから。

[メイン] 紺野 純子 : 吐き出して、はぁ、はぁ……と。スピレに甘えるように体重を預ける。

[メイン] スピレ : ────アイドル、だもんね。

[メイン] スピレ : ステージの上に立つのは、初めは誰だって皆を笑顔にしたくてやってるに違いない。

[メイン] スピレ : 体を支えて、とんとんと背中を叩きながら。

[メイン] スピレ : 「まだ、二人にだって間に合う……!」
そう言って、決意を固めるように窓の外を見ると。

[メイン] スピレ : 人気のない通りを走っていくひとりの人影を目に捉えた。
奥戸ナツキだった。彼女は海の方角に向かって走っていったようだった。

[メイン] スピレ : 「…………!」
思わず、背中を叩く手も止まって。

[メイン] 紺野 純子 : 「…………っ」
それを察し、ゆっくりと……それでも、スピレの方へ力強く頷き。

[メイン] 紺野 純子 : 「……行きましょう……!」
「私たちのために……私たちのことを、待ってくれている人のために!」

[メイン] スピレ : 「ええ……!」
「まだ、ライブの始まりはこれからだもの……!」

[メイン] 紺野 純子 : ……そう言って、二人玄関口の方へ足を向けたとき。

[メイン] スピレ : 時刻はAM1:10。本当なら、出発にはまだ早いはずの時間だった。

[メイン] スピレ : 例えここに、迎えが来るとしたらそれは、よっぽどのせっかちさんか……
もしくはアイドルのことなんて全部お見通しのマネージャーのどっちかくらいだろう。

[メイン] 加藤 : スピレの想像通り、良く見た顔をしたおっさんが玄関口近くに佇んでいた。

[メイン] 紺野 純子 : 「……いつから聞いてたんですか」

[メイン] 加藤 : 「…なんの話だ?」
素知らぬ顔で

[メイン] 紺野 純子 : 「…………。」
「……来てくれていたんですね。もう夜も遅いのに」

[メイン] スピレ : 「……冷えるのによくやるわね」

[メイン] 加藤 : 「昼の祭りの帰りからなんか深刻な顔してたしなァ…」
「レンとエマも上の空だったしよ」

[メイン] 加藤 : 「わかってるだろうが、アイドルは笑顔が資本なんだからもっと笑っていた方がいいぜ?」

[メイン] 加藤 : まあ今の表情を見るにわざわざいう必要はなさそうだけどな。と付け加えて。

[メイン] 加藤 : 「そろそろタクシーがくるんだろ?おれは招かれてないから一緒に行けないが、これを持ってけ」
そういってスペアのスマホを差し出す。

[メイン] 紺野 純子 : 「……!」
「……ありがとう、ございます……加藤さん」
小さく目元を拭う。

[メイン] スピレ : 「ま、私の笑顔はかわいいものね~?」
さっきまで感情的に言葉をぶつけていたとは思えないほど余裕に満ち溢れた笑み。

[メイン] スピレ : 「……ん、これは?」

[メイン] 加藤 : 「招かれてはいないが、ついて来てはダメと言われてないからなァ…」
にやっと笑って

[メイン] 加藤 : 「もしなんかあったら連絡すればすぐ飛んでいくぜ。
 だから安心していってこい!」

[メイン] スピレ : 「マネージャ………!」
後ろから支えてくれる人がいてくれる温かさに、素直な言葉が漏れそうになって。

[メイン] 紺野 純子 : 「……はい!……絶対に、成功させてみせます!」
その気持ちに大きく後押しされるように、しっかりした足取りで。

[メイン] スピレ : 進んでいく、夜の中へと。
立ち去る際に、一度振り返って。
……ありがと。

[メイン] 紺野 純子 : ふたつの足音だけが小さく響き……やがて、それも聞こえなくなる。

[メイン] 加藤 : 夜の闇へ溶けていく2人を見送りながら

[メイン] 加藤 : 「ったく。おれが知らない間に成長しやがって」

[メイン] 加藤 : 2人のアイドルとしての輝きが、サングラスをかけていてもわかった。

[メイン] 加藤 : 「…おれも準備するか」
ホテルの自室へと戻り、念のためにと救急箱などを用意して自分の車へと急ぐ。

[メイン] 加藤 : 自分の持つスマホが鳴ることはなく、4人が何事もなく戻ってくることを信じながら。

[メイン] 加藤 :  

[メイン] GM : 時刻は深夜1時半を過ぎた頃。
あなたたちの立つロータリーに、タクシーが音もなく滑り込む。

[メイン]   : 「どうぞ」と運転手が後部座席のドアを開ける。

[メイン] GM : あなたたちが乗り込むと、タクシーは静かに発車した。

[メイン] GM : 人気のない夜の暗い道を、ヘッドライトの灯りが切り裂いていく。
冷たい風が窓の外をびゅうびゅうと吹き抜けていくのを、あなたは音に感じるだろう。

[メイン] GM : 海辺の道をしばらく進んだところで、ブレーキ音が鳴った。
そこには古びた鳥居、朽ちて切れかけたしめ縄のかけられた、打ち捨てられた様子の小さな神社のような場所だった。

[メイン]   : 「ここまで送るように言われています。お帰りの際は、こちらにお電話ください。お迎えに上がりますので」
とだけ言いおいて、タクシーの運転手は名刺を渡し、去っていった。

[メイン] GM : 少しあたりを見渡せば、洞窟の入り口らしき場所が目に留まる。
赤色のペンキが剥げた『関係者以外立ち入り禁止』の看板は、脇に避けられて横倒しにされていた。

[メイン] GM : 純子とスピレはナツキを追ってきたレンとエマと合流し、洞窟内へと進む小さな足跡を発見したことから、この洞窟内へと進もうということになった。

[メイン] GM : 洞窟の天井は低く、圧迫感がある。閉鎖的な雰囲気のせいで、どこか重苦しい空気感だ。
あなたたちは、荒れた地面に転ばないように気を配りながら歩を進める。

[メイン] GM : 洞窟は平坦ではなく、少しずつ、少しずつ。地下の方へ下っていくようなかたちになっているようだ。
どれほど歩いただろうか。数メートル先の岩壁がほんのりと明るく見えることに気づく。

[メイン] GM : 角を曲がったところに照明がつけられているのだろうか。
そんな風に思い浮かんだ時、明かりの差す方向から声が聞こえた。

[メイン]   : 「先生」

[メイン]   : 「先生。どうして、あたしじゃダメなの」

[メイン] 鏡音 レン : ─────っ……!!こ、この声……!?
や、やっぱり、ナツキちゃんはもう、ここに……!?

[メイン] 鏡音 レン : 伝承にあったように、オレ達は今……洞窟の中にいる
もしも、そこに書いてある通りのことが起こるのだとしたら
オレ達は、ここに閉じ込められることとなる……。

[メイン] 鏡音 レン : ……そんなことをお構いなしに、オレは、オレ達は、中へと
駆け足で入っていった……!
どうか、ナツキちゃんがここに来てないことを祈りながら、でも……!

[メイン]   : 「あたし、頑張ったんだよ。たくさん、たくさん歌を練習して。誰にも負けないくらい、上手になったんだよ」

[メイン]   : 「先生も一緒に歌を練習してくれたじゃない」

[メイン]   : 「歌声を皆に聞いてもらえば、きっとみんな見直してくれるって。何度も励ましてくれたじゃない」

[メイン] 鏡音 レン : 話声が聞こえる方へと、冷や汗を垂らしながら、声を押し殺し
蒼い瞳を、暗い中、じっと見つめながら─────。
洞窟ということもあり、外よりもずっと、肌が寒く感じられ。

[メイン]   : 「なのに、なのに……どうして。どうして、あたしの出場を勝手に取り消したの?
 どうして、あたしのことを一番だっていわずに。あの人達が一番だっていうの?」

[メイン] GM : 少女の高く、悲痛な声が聞こえる。それに対して返される言葉は、冷たくあしらうような低い声色だった。

[メイン]   : 「あなたではないからです」

[メイン]   : 「あなたではいけないから」

[メイン]   : 「あなたはいけません。あなたはだめです」

[メイン]   : 「だめなんです」

[メイン]   : 「これは、私の命令です。従いなさい。帰りなさい、ナツキ」

[メイン]   : 「あなたのいるべき場所は、ここではありません」

[メイン]   : 「……っ、先生……」

[メイン]   : 「どう、して……」

[メイン] GM : 声は、奥戸ナツキと紫藤社のものだった。
どさりと膝をつき、すすり泣くような小さな声が耳に届くだろう。

[メイン] 鏡音 レン : 「─────ナツキちゃん!!」

[メイン] GM : あなたたちは足を踏み出す。
角を曲がれば、少し開けた広間に出た。

[メイン] GM : 岩や小石が散らばっているものの、最低限整えられた様子がある。
目を惹くのは、広間の前方に見えるゆらゆらと灯りを反射して揺らめく水面だ。

[メイン] GM : どうやら海と繋がっているようで、洞窟の中は潮の香りが濃く漂っている。
広間の真ん中あたりで、奥戸ナツキが膝をついてうなだれ、紫藤社が彼女を無表情で見下ろしている。

[メイン] 鏡音 レン : その泣き声に、居てもたってもいられなくなった。
─────オレは、体がもう、勝手に動いていた。

[メイン] 鏡音 レン : そして、膝を着き、涙を洞窟の染みにするナツキの方へと駆け寄り。

[メイン] 奥戸ナツキ : 「な、なんであんたが…」
しゃくり声を上げながら、レンの方に視線をやる。

[メイン] 鏡音 レン : 「……ご、ごめんね、今後はオレ達が、君のことを追って……」
申し訳なさそうな顔をしながら。

[メイン] 鏡音 レン : 「………でも、ナツキちゃん!一つ……聞いてほしいんだ!」

[メイン] 鏡音 レン : ナツキの肩を強く掴み、碧眼をじっと見ながら。

[メイン] 鏡音 レン : 「……紫藤社さんは、決して……ナツキちゃんのことを
 見放してるわけじゃ……ないんだ!……
 だって、この儀式は……… ………ん?……あ……?」

[メイン] 鏡音 レン : この儀式が危険なものであるということを伝えようとして、引っかかる。

[メイン] 鏡音 レン : ……危険なものだとして、ナツキちゃんのことを思って
さっきのように言っているとして……。
あ、あれ?……紫藤社さんは、オレ達の、ファンじゃ………?
ど、どう、して─────?

[メイン] 鏡音 レン : 頭がこんがらがりながら、首をゆっくり、ゆっくりと
ナツキを見下ろす青年─────紫藤社の方へと、向ける。

[メイン] 紫藤社 : あなたたちを目に留めると、紫藤は華やいだ表情を浮かべた。

[メイン] 紫藤社 : 「来てくださってありがとうございます。ああ、よかった。これで神事を行うことができる」

[メイン] 鏡音 レン : 「えっ……あ、え………」
しどろもどろになりながら、何を言葉として紡げばいいのか分からず
目をグルグルとさせながら。

[メイン] 紫藤社 : 「この舞台にはあなたたちこそふさわしい、あなたたちでなければならないのです」

[メイン] 紫藤社 : 「長らく儀式がなかったために、彼の方は素晴らしい歌い手を求めているのです」

[メイン] 紫藤社 : 「あなたたちのうたを聞いて、彼の方もとてもよろこんでらっしゃいました」

[メイン] 紫藤社 : 「あの場で歌を歌った人間の中で、あなたたちが最上の歌い手であったのですから」

[メイン] 紫藤社 : 男はふらふらと歩く。その足が、ぱしゃん、と海水を踏んで飛沫を立てた。

[メイン] 鏡音 レン : 「……か、かの……かた……… ……えっ!?」

[メイン] 紫藤社 : 「あなたたちが求められているのです。あなたたちが舞台に立たなければならないのです。
 あなたたちこそが最も、あなたたちが、あなたたち、で、あなた、た、たちが、あなた、たち、は……?」

[メイン] GM : あなたの言葉に、男は何一つとして意味のある言葉をかえさない。
こちらの反応に構わず次々に言葉を捲し立てる男から感じるのは、狂気だ。

[メイン] GM : 焦点の合わない目に、彼の理性が失われていることを見取るだろう。
どろりと濁った色の中、その瞳はうつろにあなたたちを映す。

[メイン] 鏡音 レン : 「っ………!?!」
ぞわりと、その狂った姿に、背筋が凍るような思いに。

[メイン] 紫藤社 : 冷えた声で、男は呟いた。

[メイン] 紫藤社 : 「ちがう」

[メイン] 紫藤社 : 「ちがう」

[メイン] 紫藤社 : 「違うだろう。何を言っているんだ」

[メイン] 紫藤社 : 「相応しいのはナツキだ」

[メイン] 鏡音 レン : 「し、紫藤社、さん…………?」
何がなんだか分からず、ただ男を見ることしかできず。

[メイン] 紫藤社 : 「ナツキ、ナツキでなければ、ナツキは素晴らしいカナリアになる。彼の御方もそれを望んでおられる。
 ああ、私は何を言っていたんだ。一番はナツキだろう。お為ごかしは通用しないというのに。
 だって、だってこの街で誰よりも素晴らしい歌声は彼女だ、彼女、で、だから、私は、ナツキを、捧げ……」

[メイン] 紫藤社 : 彼の口から獣のような唸り声が零れる。「なにか」に抗うように、彼の顔が歪む。

[メイン] 鏡音 レン : 「………………………!」

[メイン] 紫藤社 : 「嫌、だ、ナツキ、……ナツキを守る、んだ、……捧げたくない、だから。
 ……だから、あなたたちを捧げなくては? ……違う、それ、っは」

[メイン] 紫藤社 : 男は頭を掻きむしり、苦しむように振り回す。引きちぎられた髪が地面に落ちる。
血走った瞳があなたたちをとらえた。

[メイン] 鏡音 レン : ─────その言葉と、そして彼の姿に、反発する葛藤。
何かと戦う、紫藤社の姿が、レンにも感じられて。

[メイン] 紫藤社 : 「ああ、ああぁ、嫌だ、ダメだ、なにも、かも、いけない、いけない、したくない、いや、だ」

[メイン] 紫藤社 : 「嫌だ、嫌だ、やめてくれ、とめてくれ!!!! う、うぅ、……うぅぅうあぁぁあぁああ!!!!」

[メイン] 鏡音 レン : 「─────しっかりしてくださいッッッ!!!!」

[メイン] 紫藤社 : 彼は口から泡を吹きながら、半狂乱の様相であなたたちへ拳を振りかぶり、襲い掛かかろうと───

[メイン] 鏡音 レン : CCB<=24 回避 (1D100<=24) > 20 > 成功

[メイン] 鏡音 レン : ─────顔を、スッ、と横に動かし、紫藤社の拳を避けた後。
その腕を掴み、その場から動けないようにし。

[メイン] 鏡音 レン : そして─────仲間達の方を見て、眉に力を込めながら
強く、頷く!

[メイン] エマ・ヴェルデ : 駆けだした背中を追って、レン、ナツキの方へと駆けだそうとしたが────びくり、と。
その狂気の表れの姿に、踏み出す足が止まりかけるが。

[メイン] 紫藤社 : レンに拘束されながらも、もがき、また襲おうと手足を暴れさせる。

[メイン] エマ・ヴェルデ : その頷きに、頷き返して。

[メイン] 鏡音 レン : ぐっ……!!つ、つよ、いっ………!!!
こ、こんなにも……!!……今、紫藤社さんは……!!

[メイン] エマ・ヴェルデ : CCB<=75 精神分析 (1D100<=75) > 84 > 失敗

[メイン] 鏡音 レン : 自分が、分からなくなっちゃっているんだ………!!!

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「…………っ……!!!!」

[メイン] 紺野 純子 : 「……ッ……!」
がしり……と、暴れる手をもうひとつ、必死に押さえつけようとする手。

[メイン] 紺野 純子 : 「レンさん……ッ!」

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「落ち着いてくださ……ッ………う、ぅうう……!」

[メイン] 奥戸ナツキ : 恩師の変わりようになにもできず、その場で震えている。

[メイン] 鏡音 レン : 「!! あ、ありがとう純子ちゃんッ!!」
こくりッ!と、強く頷き。

[メイン] 鏡音 レン : 「!!! だ、大丈夫!!ナツキちゃん!!
 ─────オレを、オレ達を!!!信じてッッ……!!!」

[メイン] 紫藤社 : エマの言葉は届かない。狂気を宿した瞳はそのままだ。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 冷静にしようと宥めかせるため、近づこうとするも────その狂気の表情には、どんな言葉すらもかすれてしまうような気さえして。

[メイン] エマ・ヴェルデ : たらりと、エマの顔に冷や汗が流れる。

[メイン] 鏡音 レン : 額に冷や汗を幾つも浮かべながら、純子と共に暴れる紫藤社を
強く、強くっ!押さえ付けるも……。

[メイン] スピレ : 「……紫藤……!」

[メイン] 紺野 純子 : 頷きを返す。
「──こちらは任せてくださいっ! あなたたちは、ナツキさんを……!!」

[メイン] 鏡音 レン : 精神のリミットが外れてしまった人間というのは、かくも恐ろしい。

[メイン] 鏡音 レン : 人は、筋肉を100%も使っていないと言われている。
それは、己自身を壊してしまうからだ、脳がそう制御している。

[メイン] 鏡音 レン : せいぜい30%程度しか、使われいない。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「…………っ、は……!!!
 ……ナツキちゃん、大丈夫……?」

[メイン] 鏡音 レン : ─────しかし、今の紫藤社は、脳が正常に働いていない。
筋肉を……30%以上の力で、使っているッ!
歌って踊るアイドルであるレンと純子であっても、押さえ付けるには苦労が想像以上であり。

[メイン] 奥戸ナツキ : レンのエマの言葉に、はっとなりながら

[メイン] エマ・ヴェルデ : 純子の言葉に狂気の鏡から我に返り。
彼女の方へと体を動かす。
この状態に一番怯えているのは、私でも、誰でもない────ナツキちゃんなのだから。

[メイン] 奥戸ナツキ : 「…お願い…!先生を、助けて…!」
ポロポロと涙を流しながらあなた達に願い求める。

[メイン] 鏡音 レン : 「…………………!!」

[メイン] スピレ : 「……! 紫藤、アンタの教え子が泣いてんのよ!
 アンタのために!」
二人が抑えている、紫藤の肩を揺さぶりながら。

[メイン] 鏡音 レン : ─────ナツキちゃんの願いに……レンは、強く、頷いて応えた。
……そうだ、ナツキちゃんにとって紫藤社さんは、唯一心を許せる人なんだ!
だから、だから………!!

[メイン] エマ・ヴェルデ : ナツキの傍にいてあげられるように、しっかりと彼女の手を握りながら。
涙と、汗。冷たいそれらが混じる手は、ひやりとしていたが。
けれども……彼女を守れるように。

[メイン] スピレ : 「アンタも……ナツキを助けたかったんでしょ!
 そんな調子でどうすんのよ……っ!」
スピレはエマと違って、狂気に陥った人間を宥めるような言葉は言えない。

[メイン] 紫藤社 : 「ああ、ああぁ、う、うぅ、……うぅぅうあぁぁあぁああ!!!!」
もがき苦しむ。

[メイン] スピレ : 出来ることはいつもほんの少しだけ、本人の持ってるはずの心を引き出すことだけだ。

[メイン] スピレ : ccb<=90 スピリットブレス(精神分析) (1D100<=90) > 9 > スペシャル

[メイン] 紫藤社 : スピレの言葉に、プツンと、糸が切れたようにうなだれる。

[メイン] スピレ : もし、本当にナツキを大事に思ってるってんなら……!!

[メイン] 鏡音 レン : 「おっとっとっ……!!」
なんとか倒れないように、強く下から支えながら。

[メイン] 鏡音 レン : 「…………!……ありがとう、スピレちゃん……!!」
ニッ!と、白い歯を見せながら笑いつつ。

[メイン] 鏡音 レン : ……良かった……!本当に、良かった………!!

[メイン] 紺野 純子 : 「わわっ……」
なにも、かも、いけない、いけない、したくない、いや、だ……
……きっと彼も、私と同じ……だったのでしょうか。

[メイン] 紺野 純子 : 「……う……助かりました」

[メイン] スピレ : 「……押さえてくれたおかげよ。それより、ナツキを……!」
笑顔から顔をそむけるように首を振って。

[メイン] スピレ : レンに代わるように、純子と二人で紫藤を支え。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「…………ナツキちゃん、大丈夫……!
 紫藤さんは……少し、疲れてただけだから……
 あなたを怖がらせるためじゃ、絶対……ないよ……!」

[メイン] 鏡音 レン : 「…………!……そうだね!ありがとう、二人とも!」

[メイン] 鏡音 レン : ─────そして、エマの隣に立ち、共にナツキに寄り添う。

[メイン] 紺野 純子 : 頷いて、その様子を見守る。

[メイン] エマ・ヴェルデ : ぐっと、レンと共に支えるように。

[メイン] 鏡音 レン : こくこくこく!と、エマの言葉に続くように、頷きながら。

[メイン] 鏡音 レン : 「……落ち着いて、聞いてほしいんだ……!
 今の、紫藤社さんは、多分……きっと………この洞窟内にいる
 "何か"によって……おかしくさせられちゃっているんだ
 ………だから、ナツキちゃんのことを嫌いになったわけじゃ、ないんだ」

[メイン] 奥戸ナツキ : 「先生!先生!」
エマやレンの自分への心配の言葉よりも、紫藤の身を案じている。

[メイン] 鏡音 レン : 途中、洞窟内を警戒するように見渡しながら
しっかりと、ナツキの瞳を見て。

[メイン] 奥戸ナツキ : 「…?なにか…?」
赤くなった目でレンの方を見て

[メイン] 鏡音 レン : 「大丈夫……!……紫藤社さんは今、スピレちゃんのおかげで
 なんとか気を取り戻せたみたい……命に別状はないよっ!」

[メイン] 鏡音 レン : そして、ナツキの問いに、ゆっくり、静かに頷き。

[メイン] 鏡音 レン : ─────この街の伝承を、ナツキに全て話す。

[メイン] 奥戸ナツキ : 「そんな…嘘、迷信でしょ…?」
信じられないといった顔をしながらレンの方を見る。

[メイン] 鏡音 レン : 「……オレも、迷信だと、嬉しいんだけどね」
にへへ、と困ったようなハの字の眉で笑いながら。

[メイン] 鏡音 レン : 「でも、今はとにかく、ここから出よう……!」

[メイン] 鏡音 レン : ナツキに、掌を差し出し。

[メイン] エマ・ヴェルデ : そして、レンに合わせるように。
にこりと微笑み、もう片方の手に掌を差し出す。

[メイン] GM : レンとエマがナツキに掌を差し出した時

[メイン] スピレ : (はぁ……上手くやってくれたみたいね)

[メイン]   : 「そうです。ナツキ、あなたは行きなさい。この人達と」

[メイン] 紺野 純子 : 「…………っ!」
少し警戒する素振りを。

[メイン] 鏡音 レン : 「…………!」

[メイン] スピレ : 「……紫藤!」

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「…………!」

[メイン] 紫藤社 : その言葉を発したのは意識を取り戻した紫藤だった。

[メイン] 奥戸ナツキ : 「…先生!」

[メイン] 紺野 純子 : ……しかし、その意図に気付いてしまう。

[メイン] 紺野 純子 : 「……あなたは……」

[メイン] 紫藤社 : 「お見苦しいところをお見せしてしまいましたね。もう大丈夫です」
ふらふらとよろめきながら立ち上がり、頭を抑えながらあなたたちに向き直る。

[メイン] 紫藤社 : 「っう……痛たた……」

[メイン] 紫藤社 : 「みなさん……すみません、巻き込んでしまった、ようですね」

[メイン] 紫藤社 : 「ありがとうございました、目を覚まさせてくださって」

[メイン] スピレ : 「ちょっと……待って!」
純子に続けるように。

[メイン] スピレ : 「アンタはどうする気なのよ……!」

[メイン] 鏡音 レン : こくこく!と、頷き、そして眉に力を込めながら
真っ直ぐと、紫藤社を見つめ、その答えを待つように。

[メイン] 紫藤社 : 「……私が、ナツキと、そしてあなた達の代わりになるだけです」

[メイン] 奥戸ナツキ : 「えっ…?なに言ってるの…?先生…?」

[メイン] 紫藤社 : 「ひとつずつ説明しましょうか。その方がこの子も決心も出来るでしょうし」
優しげなまなざしをナツキに向ける。

[メイン] 鏡音 レン : 「………………ここにいる"何か"……
 神様について、ですか?」

[メイン] 紫藤社 : レンの言葉にこくりと頷いて

[メイン] 紫藤社 : 「……ここは神事の場。深海の神からの使者、悍ましい怪物の訪れる場所です。
 ……ここは旧くから伝わる儀式の場。生贄を閉じ込め捧げる場所。ここにいては危険です」

[メイン] エマ・ヴェルデ : 紫藤の言葉に、ごくりと息を呑み。

[メイン] 紫藤社 : 「……私は支配、されていたのだと思います」

[メイン] 紫藤社 : 「あの日、ここで歌を聞いてから。その時から、私はきっと洗脳されて……」

[メイン] スピレ : 「あの『来てはいけない』って言うのは……!」
ライブ後の異常な様子を思い出し。

[メイン] 紫藤社 : 「…恐らくですが、一時的に支配が薄れていたんだと思います。だからあなた達に警告をしたのだと」

[メイン] スピレ : 狂気に囚われている意識の中でも、人を危険から遠ざけることを第一に考えていたなんて……とんだお人よしね、と思いつつ。
……そんな人を不気味なんて思っちゃって悪かったわね。

[メイン] 紺野 純子 : 絞り出すように。
「……他に……他に、方法はないのですか……?」
「ただ生きているだけで、なんの罪もない人間を、こんな……っ!」

[メイン] 紫藤社 : 純子の言葉に首を左右に振り
「それしか方法はないのです。逃げようとするならば……きっと誰かが犠牲にならなければいけません」

[メイン] 紫藤社 : 「最近は海の行方不明者が多い。私も、その一人に数えられてしまうでしょう。
 それで。それでよいのです」

[メイン] 紺野 純子 : 「…………っ……!!」

[メイン] 紫藤社 : 「歌は……。はは、みなさんたちほどは上手くありません。ですがそれなりには歌えます。
 生贄としては十分ではないでしょうか。
 過去も生贄を捧げ『あれ』は鎮められていたのです、ならば。
 これ以上の犠牲が出ないように、だれかが、犠牲にならなければならないのです。
 きっと、そうしなければならないのです」

[メイン] スピレ : 「……ナツキはどうすんのよ! 紫藤、アンタのためにこんなとこまで来たのよ! 放って一人で行くっての!?」

[メイン] 紺野 純子 : 「そうです……!……そんな、理不尽な……ことって……!」

[メイン] 紫藤社 : スピレと純子の顔をしっかりと見て
「だから、あなた達にナツキのことをお願いしたいんです。
 それだけが、それだけが私の望みです」

[メイン] GM : 決然と言い切る紫藤の声を聞き、ナツキはぐっと唇を噛む。
彼女は、紫藤から離れたくない、というように、彼の方へと歩みだそうとしている。

[メイン] 紺野 純子 : ……自分が代わりに……とは、言えなかった。
今度は恐怖からではなく……生半可な気持ちでは、そこに掛けようとする覚悟を……ここにいるみんなの気持ちを、冒涜してしまいそうで。

[メイン] 鏡音 レン : 「─────ダメだッッッ!!!!」

[メイン] 奥戸ナツキ : 「先生……。あたしは、あたしは……。先生がいなきゃ、……」

[メイン] 鏡音 レン : ぐちゃぐちゃな感情の中、レンは、叫んだ。
……誰か一人が犠牲にならなくちゃ、きっと他の誰かが
何も知らない人が、犠牲になってしまう………それは、分かっている。
でも─────こんな、誰かのために思いやれる人が、犠牲になるだなんて。

[メイン] 鏡音 レン : 「ナツキちゃんは……ずっと、一人だったんだ……
 辛い悩みを、抱え続けて……そんな時に出会ったのが……!!」

[メイン] 紫藤社 : 「…レンさん」

[メイン] 鏡音 レン : 「あなたじゃないか!!紫藤社さんッ!!!」

[メイン] 鏡音 レン : レンは、その碧眼に涙を浮かべていた。
ずずっ……!と、鼻水を啜りながら。

[メイン] 鏡音 レン : 「なのに!こんなところで行っちゃうだなんて!」

[メイン] 奥戸ナツキ : レンの言葉にこくこくと頷きながら、紫藤の方へと駆け寄る。

[メイン] 鏡音 レン : 「………もしも、紫藤社さん、あなたが行くなら
 オレは─────オレはっ……!!」
恐怖、手が震え、脚も震え、今にも叫び出してしまいそうになりながらも。

[メイン] 鏡音 レン : 「オレは!!………ボッコボコにしてでも、止める!!
 そ、それで……!!オレは、誰もが、犠牲にならない道を……探す!!
 ………無理だって、分かってるけど、でも……!!」

[メイン] 鏡音 レン : 拳を、ギュッ!と握り固めながら。

[メイン] 紫藤社 : 「しかし、誰かが犠牲にならなければ…それなら未来あるナツキやあなた達は相応しくない」

[メイン] 紫藤社 : 「……っ!」

[メイン] 鏡音 レン : 「……オレの歌を、ダンスを、好きと言ってくれた
 紫藤社さん、あなたを死なせたくないんだ!」
─────それは、少年のエゴであった。

[メイン] 紫藤社 : 「ファン失格ですね。推しにこんなことを言わせてしまうなんて」

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「……っ……だからって、そんな……!
 ……あなた一人が、背負う必要だって……ない……!
 レンくんの言う通り、他の道もあるかもしれない……のに……!」

[メイン] エマ・ヴェルデ : 叫びながらも、声が段々と弱弱しくなる。
ずっと昔から彼女のことを、ナツキちゃんを見守ってきた、彼女にとっては身内のような存在。それが紫藤さん……なのに。
……でもその彼が、責任を負って全てを背負うとしたのだから、他の手段……は……。

[メイン] 紫藤社 : 「…本当にみなさんお優しいんですね。もっと早く出会うことができていれば、別の道を探せていたかもしれません」

[メイン] 奥戸ナツキ : 「あたしは、行かない!先生が残るなら、ここにあたしも残る!」

[メイン] GM : そう言いながらもナツキの目は葛藤で揺れていた。紫藤社の真摯な思いが響いている、と感じるだろう。

[メイン] GM : 彼女の感情が揺らいでいることが目に見えて分かる。
あなたたちの思いが彼女の心に響けば、彼女はここを離れて地上に戻ることを決断するかもしれない。

[メイン] 紺野 純子 : 「……そうですよ。馬鹿げています」

[メイン] 紺野 純子 : ざ、と……場の静寂を破るように踏み出す。

[メイン] 鏡音 レン : 「…………!……純子、ちゃん……」

[メイン] 鏡音 レン : 静かな、そして……怒りの感情もどこか、感じられるような
そんな言葉に反応し、顔をそちらへと、ゆっくりと向け。

[メイン] 紺野 純子 : その顔を、きっ……と。

[メイン] 紺野 純子 : 「…………。紫藤さんが長年、思い悩んで……悩み抜いたその末の答えが、自己犠牲なんですよ」
「それが……レンさんには、それを蹴ってまでその気持ちを継いで……何十、何百もの命を死ぬまで背負って……!」

[メイン] 紺野 純子 : 「……いえ、死んでもなお重くのしかかるほどの重責を!! 」
「そんなものを背負い続けられるほどの覚悟が!!」

[メイン] 紺野 純子 : 「あなたには、あるとでも言うんですか!!?」

[メイン] 鏡音 レン : 「…………………………」

[メイン] 鏡音 レン : 純子の言葉に、レンは眉を顰めながら、徐に俯いた。

[メイン] 鏡音 レン : ……純子ちゃんの言葉は、とっても正しい。
きっと、紫藤社さんは、あの言葉を出すために、一体どれだけ
自分の中にある恐怖心と戦い、そして口にすることができたんだろう……。

[メイン] 鏡音 レン : オレは、物分かりが悪いし、バカで、アホで
人の気持ちも、あまりよくわかっていないかもしれなくて。

[メイン] 鏡音 レン : 深く突き刺さったその言葉は、レンをしょげ返らせながらも……。

[メイン] 鏡音 レン : 「……そう、だね……紫藤社さんは……勇気を出して、ああ言ったんだと
 オレも、思う……ナツキちゃんを助けるために……
 それに、オレと、エマさんと、スピレちゃんと……」

[メイン] 鏡音 レン : ゆっくりと顔を上げ。

[メイン] 鏡音 レン : 「─────純子ちゃんを」

[メイン] 紺野 純子 : 「…………っ……!!!」

[メイン] 紺野 純子 : …………わたし、を……

[メイン] 鏡音 レン : 「………あはは……オレってば、いつも……本当に
 何も考えずに突っ走りがちで、前もこうして怒られちゃったりとか
 したよね………純子ちゃんには、本当に、敵わないな……」
困ったように笑いながら、頭の後ろを掻き。

[メイン] 鏡音 レン : 「……でも」
一歩、踏み出し。

[メイン] 紺野 純子 : 「……!!」
その動きに、釘付けになるように。

[メイン] 鏡音 レン : 「………確かにオレは、オレが気持ち悪いって思うから
 そうしたくないっていう、我儘でしか、動いていないんだと思う
 ……これはきっと、多くの人に迷惑をかけちゃう行為だとも、思う……」

[メイン] 鏡音 レン : 「─────だからっ!!」

[メイン] 鏡音 レン : 強く、碧眼を純子の瞳に写し。

[メイン] 鏡音 レン : 拳を、キュッ……!と、握り固めながら。
己を鼓舞するように……!!

[メイン] 鏡音 レン : 「オレは……!!みんなが、生き延びる方法を、探したいんだ!!
 ─────ここにいるみんなもそうだし!!
 オレ達のことを応援してくれるファンも!そうじゃない人達も!!
 みんなみんな!!……大切な、存在なんだ!!!!」

[メイン] 鏡音 レン : 「だ、だからッッッ………!!!」

[メイン] 鏡音 レン : 目を、ギュッと閉じ─────次の瞬間には。

[メイン] 鏡音 レン : 純子に、頭を深く下げていた。

[メイン] 紺野 純子 : ……え。

[メイン] 鏡音 レン : 「………みんなの力が、必要なんだ……!
 オレは、全然しっかりしてないから………!
 だから……!純子ちゃんの力も、貸してほしいんだ……!!」

[メイン] 鏡音 レン : 「オレには……みんなを温かく包み込める優しさもっ
 アイドルという職に対し、直向きに自分を作ったりも……!
 そんな、すごいことは、何もできなくて……!!」

[メイン] 鏡音 レン : 「─────純子ちゃんみたいに、"完璧"でも、ないんだ……!!」

[メイン] 鏡音 レン : 「でも、オレ……!!!
 ─────完璧に、みんなを……笑顔にっ、したいんだ……!!!」

[メイン] 紺野 純子 : 「………………」
────ああ、実感します。

[メイン] 紺野 純子 : あまりにも馬鹿げていて、愚直で、ストレートで、理想論で。
……それなのに、眼前に立つ彼の姿が、どうして──こうも、眩しいのでしょうか。

[メイン] 紺野 純子 : ……力を貸してもらっているのは、私の方なのに。

[メイン] 鏡音 レン : 「─────お願い、しますっ……!!」

[メイン] 鏡音 レン : ハキハキと、純子に─────みんなに、叫ぶのだった。

[メイン] 紺野 純子 : 「────はい。私からも、ぜひ。」

[メイン] 紺野 純子 : ふわり、と……その手を包み込むように取る。

[メイン] 鏡音 レン : 「……………!!!」
─────その手は、冷たかった、きっと、冬の寒さのせいだろう。

[メイン] 鏡音 レン : でも……。

[メイン] 鏡音 レン : すごく、暖かった。

[メイン] 鏡音 レン : ぱぁぁっ!と顔を明るくさせながら、面を上げ。

[メイン] 紺野 純子 : にこり……と、笑みを返す。

[メイン] 鏡音 レン : 「……ぐすっ……!……あ、ありがどっ……!純子ぢゃんっ!!」

[メイン] 鏡音 レン : 鼻水を垂らしながら、なんとも締まらない顔で
白い歯を見せ、ニッ!と笑う。

[メイン] 紺野 純子 : 「ち、ちょっと……!……そんな……!」
焦るようにしつつ、次の表情でほ、と安堵する。

[メイン] 紺野 純子 : 「……あなたのおかげです。私だって諦めきれなくて、どうすることもできない局面で……酷いことを言ってしまって、ごめんなさい」

[メイン] 鏡音 レン : 首をブンブン!と勢いよく振りながら、鼻水も揺れながら。

[メイン] 鏡音 レン : 「ううんっ!!……それも、純子ちゃんの優しさだって……
 オレ………知ってるし!!」

[メイン] 鏡音 レン : にへへ~!と、呑気に笑うのだった。
ぐすっ、ぐずっ、と未だに涙を垂らしながら。

[メイン] スピレ : 「ま、まず拭いなさいよ……」
ポケットティッシュを差し出す。

[メイン] 紺野 純子 : ふふ、と笑いかけて。

[メイン] 鏡音 レン : ぢぃぃいいいいい~~~~~~~~~~~ん!!!と
すごい大きな音で、スピレからティッシュを受け取り、鼻をかんで。

[メイン] 鏡音 レン : へへへっ!ありがと、スピレちゃん!!
と、キラッキラな少年の笑顔を向け。

[メイン] スピレ : スレた少女は顔を背けた。

[メイン] 紺野 純子 : 「……私も、レンさんのまっすぐな気持ちに、勇気をもらえて……それで、気付けたんです」
「たとえそれが理想論だったとしても……そんな夢や理想を叶えるのが、私たち……アイドルの役目だってことに!」

[メイン] エマ・ヴェルデ : そして残った涙を横から、ぐしぐしとハンカチで拭き取るようにして。

[メイン] 鏡音 レン : あうあうぅ~、とエマにまるで、姉にあやされる弟のように
情けない声を漏らしながら、拭き取られつつも、純子を見て。

[メイン] 鏡音 レン : しゃっきり!と、気合の入った"アイドル"の"鏡音レン"の顔を向け。

[メイン] 鏡音 レン : ニッ!と笑い、そして強く頷いて……グッジョブサインを、向けた。

[メイン] 鏡音 レン : 「─────そう!オレ達は……"アイドル"だもんね!」

[メイン] 鏡音 レン : 同意を求めるように、スピレ、エマへと視線を向けながら。

[メイン] 紺野 純子 : 「────はい!」
それに応えるように、ぐ……と、両の手を握りしめ。

[メイン] エマ・ヴェルデ : …………答えが出たわけじゃない。むしろ、答えなんて一生出ないかもしれない。
どちらか選べばどちらか失う、だなんて。それが……他人の命だなんて……
そんなの、選べるわけが無い。

[メイン] 紺野 純子 : 「我儘は百も承知ですが……私からも、お願いします。」

[メイン] スピレ : 「私はアンタたちほど理想とか夢とか信じてないけど」
巻き込まれそうになったので睨むように目を細めて。

[メイン] スピレ : 「犠牲とか、生贄とか……そんなの、たくさんなの!」

[メイン] 鏡音 レン : 「……………!……スピレちゃん……!」

[メイン] 紺野 純子 : 「……っ!!」

[メイン] スピレ : 一番我儘な意見を投げた。
先のことも何も考えてないし、何なら今どうするかさえ考えてない。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「…………!」

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「……みんな、気持ちは同じみたいだね」

[メイン] 紺野 純子 : 「……エマ、さん……!」

[メイン] 鏡音 レン : 「エマさん…………!!」

[メイン] 鏡音 レン : ぱぁぁっ!と顔が、さらに明るくなり。

[メイン] エマ・ヴェルデ : そして、ニッ!と笑ってみせて。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「これから探すのは、紫藤さんももちろん、この街の人々も見つけられなかった答え……
 …………でも、私たちが少しでも変えていけるなら……」

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「私だって、こんなドロローゾなこと……変えて見せたいから……!」

[メイン] 鏡音 レン : その言葉に─────強く頷き、ニッ!と笑い返す。

[メイン] 鏡音 レン : ああ……オレ、このユニットのメンバーで、本当に……良かった。

[メイン] エマ・ヴェルデ : そして……それを見せてくれた、純子、レン。
二人のやり取りが、こんな暗い洞窟の中でも輝く────アイドルだったから、なんて……。

[メイン] 鏡音 レン : ……こんなにもあったかくて、頼もしい仲間がいるんだ。
誰もが犠牲にならない方法なんて、もしかしたら無いのかもしれない。
それでも─────みんながいれば……!オレは………!!

[メイン] 鏡音 レン : 見つけられるという方法に賭けたい……いや、違う!!

[メイン] 鏡音 レン : ─────必ず、見つけるんだ!!

[メイン] 鏡音 レン :  

[メイン] GM : あなた達が決意を新たにしている一方で

[メイン] 紫藤社 : 「ナツキ、こちらへ来てはいけません。ワガママを言っていないで、あの人たちと一緒に早く逃げるんです」

[メイン] 奥戸ナツキ : 「……そんな、こと……言ったって……」

[メイン] 奥戸ナツキ : 「……先生がいなかったら、あたしは、どうやって生きていけばいいの」

[メイン] 奥戸ナツキ : 「……あたしは……ひとりぼっちなんだ、誰も一緒に居てくれない」

[メイン] 奥戸ナツキ : 「……あたしの手を最初に取ってくれたのは、先生なんだよ」

[メイン] 奥戸ナツキ : 「たとえ、たとえ死んじゃうとしても……あたしは先生と一緒に居たい。先生はあたしの夢なの。憧れなの。
 先生のようになりたくて、あたしは……」

[メイン] 奥戸ナツキ : 「……先生、おねがい」

[メイン] 奥戸ナツキ : 「一緒に居てよ」

[メイン] 奥戸ナツキ : 「先生がここに残るのなら……あたしが居る場所は、ここ。
 ここがいいの」

[メイン] 奥戸ナツキ : あなたたちに背を向けて、奥戸ナツキは紫藤社の隣に立ち彼に手を伸ばした。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「……そんなことはないよ、ナツキちゃん」

[メイン] 奥戸ナツキ : 背後から聞こえたエマの声に振り返る。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 向けられた背だとしても、口からの言葉を投げかける。

[メイン] エマ・ヴェルデ : ナツキちゃんの言葉は、エマに深く響いていた。
優しく家族がおり、妹と不自由ない生活を続けてきたエマだからこそ。

[メイン] エマ・ヴェルデ : ナツキと、自分との差に溝があるように思えてしまう。

[メイン] エマ・ヴェルデ : ……だけど、そんな溝は、越えてしまいたい。
チーズ片手に、ぴょんと踏みこんで、飛んでしまいたい。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「街の人はあなたの事をわかってないだけ……!
 ナツキちゃんは、とってもいい子だって知る機会がなかっただけなの……!」

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「……だって、あの歌は……海みたいに綺麗で透き通るような歌は……そんないい子じゃないと、出せないもん……!」

[メイン] 奥戸ナツキ : 「…あんたに、なにがわかるのよ」
先生を助けてくれたことに感謝はしているものの、にらみつけるような視線は変わらず。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「…………わからないよ」

[メイン] 奥戸ナツキ : 「…だったら、ほうっといてよ!」

[メイン] エマ・ヴェルデ : ナツキの言葉に、そう声を返すも。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「でも……これから”わかりたい”の!」

[メイン] エマ・ヴェルデ : 睨みつけるようなナツキの手を、ぎゅっと両手で握り締める。

[メイン] 奥戸ナツキ : 「…!?」
思わず手を引っ込めようとするも、エマの思いのこもった手を振りほどくことができず

[メイン] エマ・ヴェルデ : そしてじっと、緑色の瞳に目を見つめて。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「私はスイス生まれの、エマ・ヴェルデっていうの」

[メイン] 奥戸ナツキ : 「………」
視線をはずそうとしたが、思わず見入ってしまって

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「私の国では……アイドルなんてものはなかったし、ただただ山に囲まれてるだけの国。日本とは全く違うような場所……」

[メイン] エマ・ヴェルデ : ナツキと目を合わせながらも、故郷を思い出すように。
遠くを見つめるような仕草をした後。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「スイスは、とっても暖かいところだった
 家族も妹も優しくって、毎日も楽しかった……けど」

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「……私にも、それぐらいしかなかった」

[メイン] 奥戸ナツキ : 優しい家族という言葉がチクリと胸に刺さる。自分の家族とはほど遠いものだから。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「歌も上手な人はいるし、踊りだってもっと上手な人はいる
 ……世の中は、思ったよりも辛い所。
 それなのに、優しさだけじゃ生きていけない……って」

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「日本に来て、”ひとりぼっち”だ、って思ってしまったの」

[メイン] 奥戸ナツキ : 「…あっ」

[メイン] 奥戸ナツキ : それって…あたしと同じ…
はっと目を見開き、エマの顔をしっかり見て

[メイン] エマ・ヴェルデ : みんなに出会うまでは、ずっとそうだった。
慣れない異文化、わからないコミュニケーション。
歌うだけじゃ、誰も認めてくれはしない。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 私は、ナツキちゃんのことはわからない。
でも、彼女の境遇を聞いた時、なんだか……レンくんと一緒に。
彼女を、自分に合わせてしまって。

[メイン] エマ・ヴェルデ : ナツキの目線に、にこりと微笑んで。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「……加藤さんと、純子ちゃんと、スピレちゃんと、レンくん
 みんなに出会えて、そうじゃないって思えたから」

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「だから、あなたも……そうじゃないって、街の人に、ううん!
 世界中の人に、届けたいの……!」

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「もちろん……その歌も紫藤さんに聞いてもらって、ね!」

[メイン] エマ・ヴェルデ : これも、我儘でしかない。
スイスの、異文化特有の思いやれない甘い心と言われるかもしれない。
こんなことを言って、困らせるだけなのはわかってた……けど。

[メイン] エマ・ヴェルデ : エマはナツキを掴むように。ぎゅっと、手を握りしめた。

[メイン] 奥戸ナツキ : 「…先生にも…」

[メイン] 奥戸ナツキ : 「あ、あたしは…」
エマに手を握られたまま、困ったように紫藤の方に顔を向ける。

[メイン] 紫藤社 : ナツキに優しく微笑みかける。
「私だけではなく、あなたをわかってくれる人はたくさんいるんですよ」

[メイン] 紫藤社 : 「現にあなたの手を取ってくれてる人が、人たちが、今あなたの目の前にいるじゃないですか」
そのまま視線をエマ、レン、純子、スピレの方に向けて

[メイン] 奥戸ナツキ : 「………先生………」

[メイン] 奥戸ナツキ : 溝を作っていたのは、もしかしたらあたしの方だったのかもしれない。
先生だけが認めてくれる。先生だけいればいい。その思いに固執していて。

[メイン] 奥戸ナツキ : あたしのために必死に言葉をかけたり、褒めてくれたり、優しくしてくれる人が今、目の前にいる。
もしかしたらこの人たち以外にもそうしてくれる人がいたのかもしれない、だけどあたしは気づこうとしていなかった。

[メイン] 奥戸ナツキ : あたしは………

[メイン] 奥戸ナツキ : 「………」
少女は俯き、何も言葉を返さない。

[メイン] 奥戸ナツキ : しかし、震えるように伸ばされたもう片方の手が、縋るようにエマの手を握った。
ともに地上へ行くことを望むように。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「……頑張ったね」

[メイン] 奥戸ナツキ : コク、コクと無言でうなずいて

[メイン] エマ・ヴェルデ : そう、また微笑んで。
エマの手を握り、前へと向く。地上へと向かうために。

[メイン] 紫藤社 : そんな様子を見て、紫藤社は微笑んだ。

[メイン] 紫藤社 : 「……ナツキ、……いいんです。それで。
 ───いきなさい。君がいるべきところはここじゃない。
 君には未来がある。君が思っている以上に、君の未来は素敵なものになる。
 もっと、もっと君には相応しいステージがある。だから、この人達と」

[メイン] 紫藤社 : 「私は、ここでいい。ここに居なければならない」

[メイン] 紫藤社 : 「私は守りたい。それが私の願いだ」

[メイン] 紫藤社 : 「───ここが、私の立つべき場所です」
紫藤社の浮かべる笑みには、決意が込められていた。

[メイン] GM : ふと、空気が緩んだ。

[メイン] GM : 刹那

[メイン] GM :  

[メイン] GM :  

[メイン] GM : 小さく
音が
聞こえる。

[メイン] GM :  

[メイン] GM :  

[メイン] GM : それは海で聞いたうたごえ。

[メイン] GM : それは支配の音色。

[メイン] GM : それは魂を縛る恐怖の調べ。

[メイン] GM : 広く閉じた地の底に

[メイン] GM : ───その歌が、響く。

[メイン] GM : POW85との対抗ロール

[メイン] 鏡音 レン : 「─────!!ま、まずい……!!みんな、耳を………!!!」
冷や汗を浮かべながら、勢いよく仲間達へと振り返るも。
警告を鳴らす前に、深淵へと誘うその歌は………"そこ"に。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「……っ……! ナツキちゃん、耳を塞いでッ……!!!!」

[メイン] 鏡音 レン : RES(12-85) (1d100<=-315) > 自動失敗

[メイン] エマ・ヴェルデ : 夜の海の歌を思い出し、耳を塞ごうとするも────
もう既に、海の歌は聞こえてしまった。耳に、頭に、響いてしまっている。

[メイン] エマ・ヴェルデ : RES(11-85) (1d100<=-320) > 自動失敗

[メイン] 奥戸ナツキ : 「…えっ!?う、うん!」
エマの声にすぐに耳を塞ごうとするも、既にその歌声は聞こえていた。

[メイン] スピレ : 「──ッ!?」
まさか、二人が海辺で聞いたっていう……!?

[メイン] スピレ : RES(9-85) (1d100<=-330) > 自動失敗

[メイン] 紺野 純子 : 「…………ッ!??」
咄嗟に近くの紫藤を庇うように動く……ことにすら、音の速さは待ってくれない。

[メイン] 奥戸ナツキ : res(15-85) (1d100<=-300) > 自動失敗

[メイン] 紺野 純子 : res(16-85) (1d100<=-295) > 自動失敗

[メイン] GM : それは海から姿を現した。

[メイン] GM : その悍ましい怪物はずるり、ずるりとその触手を伸ばす。

[メイン] GM : 海から這い上がり、あなたたちににじり寄る。

[メイン] 緑の深淵の落とし子 : 時に「緑の深淵の落とし子」と呼ばれるその怪物の名を、あなたたちが知ることはない。知るはずはない。

[メイン] 緑の深淵の落とし子 : それは旧く昔、人を海へと攫った怪物。そして「うたいぼうず」と人が呼ぶ、海より来る緑の恐怖。

[メイン] 鏡音 レン : 「ぐッ……………!?!」
─────目をかっぴらき、その冒涜的な存在を、眼の奥に捉える。
蠢くそれ、精神を掻き減らすそれ、人の存在がちっぽけに思えてしまうくらいに。

[メイン] 鏡音 レン : ─────オ、オレにできることは……!!

[メイン] 鏡音 レン : みんなの前に、先んじて駆け走りッ!!
心臓の激しい脈動、そして命の危機に対し竦む脚を鼓舞し、前へ、前へ!

[メイン] 鏡音 レン : 「………み、みんなッ!!!先に……!!!逃げて!!!」
強く叫んだ声は、洞窟内で反響し。

[メイン] スピレ : 「レ、レン……っ!?」

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「うっぅううぅっ……!! ……なっ……!?
 でも、そしたらレンくんは……どうなるの!!」

[メイン] 紺野 純子 : 「……だ、ダメです……! そんな……ッ!」

[メイン] 鏡音 レン : どうにか、みんなが生き残れる方法を……勝ち取るためにッ!

[メイン] 鏡音 レン : 「─────大丈夫ッ……!!オ、オレを……!!信じて……!!!」
涙目で、それと相見えながらも、眉に力を込め、両手を広げた。

[メイン] エマ・ヴェルデ : そんな事を言っている暇は、ない。
頭の中が冒涜的な事象で埋め尽くされるほど、すでに脅威は迫っている。
果たして、その中を一人でレンを置いていけるのか……

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「…………っ……!!」

[メイン] 紺野 純子 : 「…………っ……」
そんなレンの立つ影を見て……みんなが生き延びる方法を探したい、と。
そんな力強い言葉が、耳をよぎって。

[メイン] 紺野 純子 : ……私に……わたしに、できることは……?!と、視線を落としたすぐ後ろに。

[メイン] GM : あなたたちを海へと呼び招く、緑の悍ましき怪物の全貌を目撃したことによる正気度ロール。(1d6/1d20)

[メイン] 鏡音 レン : 1D100<=61 正気度ロール (1D100<=61) > 6 > 成功

[メイン] 鏡音 レン : 1d6 (1D6) > 2

[メイン] エマ・ヴェルデ : CCB<=54 SANc (1D100<=54) > 44 > 成功

[メイン] system : [ 鏡音 レン ] SAN : 61 → 59

[メイン] エマ・ヴェルデ : 1d6 (1D6) > 1

[メイン] system : [ エマ・ヴェルデ ] SAN : 54 → 53

[メイン] 紺野 純子 : ccb<=80 SAN (1D100<=80) > 83 > 失敗

[メイン] スピレ : ccb<=45 (1D100<=45) > 67 > 失敗

[メイン] 奥戸ナツキ : CCB<=75 (1D100<=75) > 15 > スペシャル

[メイン] 紺野 純子 : 1d20 (1D20) > 13

[メイン] スピレ : 1d20 (1D20) > 18

[メイン] system : [ スピレ ] SAN : 45 → 27

[メイン] 奥戸ナツキ : 1d6 (1D6) > 6

[メイン] system : [ 紺野 純子 ] SAN : 80 → 67

[メイン] GM : 脳を歌が満たす。脳を歌が支配する。この世とも思えぬ旋律が、すべてを塗り替えすべてを支配していく。
あなたたちの脚が前へ出る。抗うことはできない。

[メイン] GM : 歌の満ちる脳のうち、込み上げる恐ろしさが精神を蹂躙する。
逃げなければ、そう思う。

[メイン] GM : けれど、その足は進む。
抗えない。自らの身体が既に、恐るべき怪物の支配下にあることを否応がなしに感じる。

[メイン] GM : どうすることも、できない。

[メイン] GM : うつろに、うつろに。
ゆらり、ゆらり

[メイン] GM : ふらり、ふらりと。

[メイン] GM : あなたたちは

[メイン] GM : 一歩一歩

[メイン] GM : 海へ

[メイン] GM : そこへ

[メイン] GM : 死の縁へと、足を

[メイン]   :  

[メイン]   : 「──────」

[メイン]   :  

[メイン] GM : あなたの耳が、誰かが息を吸う音を拾う。
脳をひたひたと侵す歌声に漣が立つ。

[メイン] GM : 揺らぎの隙間に音を聞く。
それは歌だ。それは恐怖に震えながらも、尚も響く声だ。
うつろな瞳、曇る視界に人の背を見る。

[メイン] 紫藤社 : 紫藤社があなたたちに背を向け、海を、怪物を見据えるように立っている。

[メイン] 紫藤社 : 彼は肺に息を吸い込む。両の足で地を踏む。
そして前を見据え、すべてを呑みこもうとする歌を、打ち消すように掻き消すように声を張り上げる。

[メイン] 紫藤社 : それは祈りだった。願いだった。
あなたたちを、そして彼の教え子を、守ろうと張り上げた声。それはほんの少しの正気を齎す。

[メイン] GM : 彼が開いた空隙、それはほんの小さいものだ。
だが、それを。つかみ取ることができなければ。

[メイン] GM : そこに待つのは、おわりだけだ。

[メイン] GM :  

[メイン] GM : 恐怖が痺れのように身体に満ちても、脚が竦んだとしても。屈するな。息を吸え。喉を震わせろ。

[メイン] GM : 暗い、暗い、海へと続く地の底深く。
岩まみれの舞台に観客はいない。歓声はなく熱狂もない。大気が孕む恐怖が背を撫でる。
ここは恐るべき、緑の死が満ちる深き淵。
だが。

[メイン] GM : ここに立った理由を忘れるな。

[メイン] GM : 歌え。高らかに。抗え。恐怖に。
あなたたちが望み、選び、訪れたここはたしかに。
あなたたちが輝くべきステージだ。

[メイン] GM :  

[メイン] スピレ : 「────歌って!!」

[メイン] スピレ : 足が竦む。体は動かない。
頭の中で響く……背筋が凍るような音。これは歌だ、あれの歌だろう。
それで考えることすらままならない。

[メイン] 鏡音 レン : 「─────っ……!!!」
スピレの声で、ハッ!と意識を取り戻し、そして……強く叫んだ彼女の方へと目を。

[メイン] スピレ : こんな中で辛うじて出来ることは……喉を震わせることだけ。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「────あっ……!!」

[メイン] スピレ : 叫ぶことしか出来ないなら叫ぼう!
歌うことしか出来ないなら歌おう!
私たちは諦めてないって、そうやって教えてやるんだ!

[メイン] 奥戸ナツキ : 先生の歌声と、スピレの言葉に、海へと向かっていた足が止まる。

[メイン] 紺野 純子 : 「…………あ……!!」
同じだ……今日のコンサートの時と……!!

[メイン] 鏡音 レン : ……そ、そうか……!紫藤社さんの歌で、オレ達は……
あの怪物に向かう足が、止まった……!
歌に対抗するなら………歌!!

[メイン] エマ・ヴェルデ : スピレの言葉に、思い出す。
誘われていくように進んでいく足が止まる。
なんで……気づかなかったんだろう!
私たちは────アイドル……なのに!

[メイン] 鏡音 レン : 「─────うん!!!」
強く頷き、そして……こんな絶望的な状況ながらも少年は、ニッ!と笑った。

[メイン] スピレ : 「私たち、ずっとこうしてきた! アイドルだもの……!」

[メイン] 紺野 純子 : そう、私たちは、アイドル──なんだもの!
どんな深い深い恐怖だって、私たちの歌声で……掻き消してしまえばいい!

[メイン] 鏡音 レン : 胸が、熱くなる……!!!
頼もしい言葉が、冷えた蝋燭に鮮やかな炎を灯した。

[メイン] 紺野 純子 : 「はいっ!!」
そして……二度も。
迷う私に、それを気付かせてくれたのは……まぎれもなく!

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「うんっ!!!」

[メイン] スピレ : 息を深く吸うために前を見れば、怖い。
目の前にいるものは胸が縮むくらい怖くて怖くてたまらない。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 暗い音が反響する、常闇の洞窟────だと言うのにも関わらず。
ふわりと、エマの頬を風が撫でる。
それはアルプスの、故郷の風であり。

[メイン] 奥戸ナツキ : 自分はアイドルではない、だけど、ここに歌いに来た。
だったら、あたしにやれることはひとつだけだ。

[メイン] 鏡音 レン : 「……ファンの前にいるんだから、ね!」

[メイン] エマ・ヴェルデ : その風は────みんなの方から、流れてきた。

[メイン] 鏡音 レン : 「カッコ悪いところ……」

[メイン] 鏡音 レン : 「見せらんないよね!」

[メイン] スピレ : それでも──
「ええ!」

[メイン] 奥戸ナツキ : あたしに手を差し伸べてくれた人たちのために、あたしも───歌う!

[メイン] エマ・ヴェルデ : レンの言葉に────こくり。

[メイン] スピレ : ステージがここにある!

[メイン] エマ・ヴェルデ : そしてナツキちゃんにも手を伸ばす。
今だけでもあなたも────アイドル、仲間だから!!

[メイン] 紺野 純子 : 「……当たり前です。アイドルってものは……」
頷いて。

[メイン] 紺野 純子 : 「──いつの時代も、歌で皆に夢を届ける存在ですから!」

[メイン] 奥戸ナツキ : 差し出されたエマの手と、彼女の顔を交互に見て、こくりと頷きその手を取った。

[メイン] スピレ : ……すぅ。

[メイン] スピレ : 「歌って!」

[メイン] スピレ : 「響かせて!!」

[メイン] スピレ : 「──ここで!」

[メイン] スピレ :

[メイン] 紫藤社 : CCB<=70 【芸術(歌唱)】 (1D100<=70) > 97 > 致命的失敗

[メイン] 奥戸ナツキ : CCB<=90 【芸術(歌唱)】 (1D100<=90) > 62 > 成功

[メイン] 鏡音 レン : CCB<=95 芸術(歌唱) (1D100<=95) > 79 > 成功

[メイン] 紺野 純子 : ccb<=95 芸術(歌唱) (1D100<=95) > 75 > 成功

[メイン] スピレ : CCB<=90 芸術(歌唱)  (1D100<=90) > 35 > 成功

[メイン] エマ・ヴェルデ : CCB<=95 芸術:歌唱 (1D100<=95) > 47 > 成功

[メイン] GM : POW*1+15+(10*4)で精神対抗判定

[メイン] 紫藤社 : CCB<=15+55 【精神対抗判定(POW15+補正値)】 (1D100<=70) > 62 > 成功

[メイン] 奥戸ナツキ : CCB<=15+55 【精神対抗判定(POW15+補正値)】 (1D100<=70) > 47 > 成功

[メイン] 鏡音 レン : CCB<=12*1+15+(10*4) 【精神対抗判定(POW15+補正値)】 (1D100<=67) > 34 > 成功

[メイン] 紺野 純子 : ccb<=16+55 【精神対抗判定(POW15+補正値)】 (1D100<=71) > 32 > 成功

[メイン] エマ・ヴェルデ : CCB<=11+55 【精神対抗判定(POW15+補正値)】 (1D100<=66) > 100 > 致命的失敗

[メイン] スピレ : CCB<=9+55 【精神対抗判定(POW15+補正値)】   (1D100<=64) > 37 > 成功

[メイン] GM : 精神対抗判定に成功したものは支配から逃れることができるので逃走フェーズに移るか宣言できます

[メイン] 紫藤社 : 逃げません

[メイン] 奥戸ナツキ : 逃げます

[メイン] 鏡音 レン : CCB<=60 アイデア (1D100<=60) > 6 > スペシャル

[メイン] エマ・ヴェルデ : CCB<=25 アイデア (1D100<=25) > 27 > 失敗

[メイン] GM : 怖ろしき怪物との精神の抵抗に抗うには、歌だけではたりない。もっと、もっと強く、彼の怪物の支配から逃れる術が必要だ。
狂気に呑まれそうな中、閃光のようにアイデアが浮かぶ。

[メイン] 鏡音 レン : ─────……!!ま、まずい……!!
エマさんが、まだ………!!
……ナツキちゃんを逃げるために、身を挺して……!?

[メイン] 鏡音 レン : みんなが迷わないように、いつもこうやってエマさんは……!
………オレは……オレは………!
まだ……逃げない………!!!

[メイン] 鏡音 レン : CCB<=85 APP×5 (1D100<=85) > 34 > 成功

[メイン] 鏡音 レン : 「─────エマさんッ!!!」
踵を返し、そして駆け出し……エマの腕を、強く掴み。

[メイン] 鏡音 レン : 碧眼で強く、エマの瞳を捉え。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「────っ……!!!」

[メイン] 鏡音 レン : 「言ったじゃないか!!」

[メイン] エマ・ヴェルデ : 頭の中が、冒涜的な理解のできない何かに埋め尽くされそうになった────その時だった。

[メイン] 鏡音 レン : 「一つの色じゃ、"虹"は描けないって!!!」

[メイン] エマ・ヴェルデ : 目の前に、見知った仲間の顔が。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「……ぁ、っ…………!!」

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「……私、ひとりぼっちになろうとしてた……」

[メイン] 鏡音 レン : 「─────フ、フォルツァ!!!」

[メイン] エマ・ヴェルデ : ────一つの色じゃ、"虹"は描けない。
そんなこと、自分が言ったのに……!
みんなのことを、私……

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「…………!」

[メイン] 鏡音 レン : 「ナツキちゃんが一人じゃないように!エマさんだって、一人じゃない!!」

[メイン] 鏡音 レン : 「ここはオレ達みんなのステージだ!!!だから………!!」

[メイン] 鏡音 レン : グイッ!とエマの腕を引っ張り。

[メイン] 鏡音 レン : 「─────アンコールだ!!!」

[メイン] エマ・ヴェルデ : レンくんから故郷の声が────聞こえた。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「────オ カピート!」

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「レンくん、一緒に……歌おうっ!!!」

[メイン] 鏡音 レン : ニッ!と笑い。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 引っ張られたその腕で、レンの手を握りしめて。

[メイン] 鏡音 レン : 「チェルト!!」

[メイン] エマ・ヴェルデ : その言葉に────にっこりと微笑んで。

[メイン] エマ・ヴェルデ : CCB<=11+55+20 【精神対抗判定(POW15+補正値)】 (1D100<=86) > 88 > 失敗

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「っ………………!」

[メイン] エマ・ヴェルデ : 声が震える。
まだ…………あの化け物に跳ね返せるくらいの音が出せない。このままなら、飲み込まれてしまうような。

[メイン] 奥戸ナツキ : エマと繋いでいる手から彼女の震えが伝わってくる。
はっとして彼女の顔を見ると、口をパクパクとさせていて上手く歌えていないようだった。

[メイン] 奥戸ナツキ : そのさらに隣でレンがなにかを叫んでいる。
エマを励ましているんだろうけど、まだ足りない…?

[メイン] 奥戸ナツキ : エマは、あたしを助けようと、あたしの手を引いてくれた。
そんな彼女が、こんなところで終わっていはずが…ない!

[メイン] 奥戸ナツキ : 「エマさん!」
強く強く彼女の手を握る、それは痛みを伴うくらいの強さ。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「……っぁ!?」

[メイン] エマ・ヴェルデ : その痛みに、視線が逸れる。その、金の髪を持つ少女は────。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「ナツキ、ちゃんっ……!?」

[メイン] 奥戸ナツキ : 「ご、ごめんなさい!
 でも、しっかりして欲しくて」
顔をゆがめる彼女へ謝罪する。

[メイン] 奥戸ナツキ : 「しっかりあたしを見て、あんなやつのところに行っちゃダメ!」

[メイン] 奥戸ナツキ : CCB<=35 【APP * 5】 (1D100<=35) > 81 > 失敗

[メイン] 奥戸ナツキ : 「あたしの歌を聴いて!」

[メイン] 奥戸ナツキ : CCB<=90 【芸術(歌唱)】 (1D100<=90) > 53 > 成功

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「…………!!!!」

[メイン] エマ・ヴェルデ : 隣で歌う、金髪の少年が奏でるのは透き通るような鈴の音。鏡に反響していくような、けれどどこか力強い声は、エマの心を震わせて。

[メイン] 奥戸ナツキ : 「そしてエマさんの、エマさんだけの歌をあたしにも聴かせて!」
彼女の青い目をしっかりと見てそう強く叫ぶ。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 対して────隣で歌う、金髪の少女が奏でるのは透き通るような波の音。強気な少女とは思えない、繊細で安らぐような歌は、エマの心を揺るがして。

[メイン] エマ・ヴェルデ : ……私は…………こんなにも……!いい、仲間がいてくれる……!!!

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「っ、うんっ!!!!!
 レンくんも、ナツキちゃんも────聞いて!!!」

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「これがっ……!!!」

[メイン] エマ・ヴェルデ : CCB<=11+55+20+20 【精神対抗判定(POW15+補正値)】 (1D100<=106) > 17 > スペシャル

[メイン] エマ・ヴェルデ :
            トリオ
「────私たちの、三重奏!!!」

[メイン] エマ・ヴェルデ : 二人の旋律に合わせて、歌を紡いでいく。

[メイン] スピレ : ──そして、その歌が響く中で。

[メイン] スピレ : 「…………紫藤っ!!」
呪いの歌と三重奏がぶつかる、その矢面に立つ紫藤の元にスピレは走り寄っていた。

[メイン] 紫藤社 : 歌を歌いながらも近づいてくるスピレに向かって首を左右に振る。
こちらに来てはダメだと。

[メイン] 紺野 純子 : 「……っ!!」
スピレの動きに一瞬戸惑いを見せるも……すぐに察して息継ぎし、後を追う。

[メイン] スピレ : 「イ ヤ!」

[メイン] 紫藤社 : 「…!あなた達には帰りを待っている人たちがいます!ワガママを言ってはいけません!」
ナツキを叱りつける時と同じような言葉をスピレにも投げかける。

[メイン] スピレ : 後ろから誰かが走ってくる音……
3人の中では、一番歩幅の小さな足音が聞こえる。

[メイン] スピレ : 純子も付き合わなくていいのに。
でも、一人でこんなことするの心細かったからありがとね。

[メイン] スピレ : 「待つ人なら紫藤、アンタにもいるでしょ!!」
紫藤の前では取り繕って顔も正面から捨てて叫ぶ。

[メイン] 紫藤社 : 「……!」
スピレの言う通りだ。ぐうの音も出ない…が

[メイン] 紫藤社 : 「だから、あなた達に、あの子を託したんです!私がいなくなっても、居るべき場所、帰るべき場所となるように!」

[メイン] スピレ : 「なれるかもね! 友達くらいになら!」

[メイン] スピレ : 「でも紫藤社は……
 ナツキの人生を変えた先生は、アンタしかいないの!」

[メイン] スピレ : 変えの利かないものはある。
どれだけ変えの利くようなアイドルの外面を取り繕っても、ここにいるスピレという一人の人間は偽れないように。

[メイン] 紫藤社 : 「…しかし、私がこの場からいなくなったら、"アレ"は緑深に住む人たちを、何の罪もない人を襲い続けるんです!」

[メイン] 紫藤社 : 今も恐ろしい歌を奏でる怪物の方にちらりと視線を向けて

[メイン] スピレ : 「……っ…」
紫藤にも覚悟がある。人々の命を背負って、自分の命を賭けている覚悟。

[メイン] 紫藤社 : 「だから!あなた達を騙してここまで連れてきた罪人の私が、罪を償うべき!」

[メイン] 紺野 純子 : 「──それでも……ッ!!!」

[メイン] スピレ : 気迫に小さく息を呑んで、目を瞑りそうになって。

[メイン] スピレ : 「……!」

[メイン] 紫藤社 : 「…!」
スピレの背後から現れた純子の方に目を向ける。

[メイン] 紺野 純子 : 息を投げる。
「──どうしてそれを、あなた一人で抱える必要があるんですか……!!」

[メイン] 紫藤社 : 「…私一人の犠牲で済むなら、それが一番なんです。わかるでしょう?」

[メイン] 紺野 純子 : 「それは、あなたの本心ですか!!?」

[メイン] 紺野 純子 : 「……紫藤さん。あの楽屋で最初に会った時から、そうでした。単なる主催者と参加者、ファンとアイドル……それだけの関係じゃなくて」
「……似てる、って、思ってしまったんです。」

[メイン] 紺野 純子 : 「──そうやって、一人で全部、抱え込もうとするところが!!」

[メイン] 紫藤社 : 「…!?」
似てる?私と純子さんが?

[メイン] 紺野 純子 : はぁ、はぁ……と、荒れる呼吸をなおも乱しながら。

[メイン] スピレ : 「…………」
その体を小さく支えるように。全部言っちゃなさい。

[メイン] 紺野 純子 : 「はい。……聞きました、あなたがここのところずっと……疲れたような顔で何かを抱えているように見えたことも。」
「……ついさっきまでの私も、そうでした。……何が正しいのかもわからず、どうしていいのかもわからず……ただ、真っ暗な道で責務を果たすことしか考えられなくて。」

[メイン] 紺野 純子 : 「──でも!!」
「いつだって……私のそばには、そんな私の声を聞いてくれる……仲間がいたから!!」

[メイン] 紺野 純子 : ────

[メイン] 紺野 純子 : 『私が言いたいのは!
 辛いなら、悩んでなくたって……言って!』

[メイン] 紺野 純子 : ────

[メイン] 紺野 純子 : 「……だから……吐き出したって、いいんです……!!」
「紫藤さんだって、私の……私たちの、大切な仲間……なんですから!!」

[メイン] 紺野 純子 : ……そう吐き出して、スピレの方を振り返る。

[メイン] 紺野 純子 : あなたのおかげで、歌えているんです……ここで。

[メイン] スピレ : ゆっくりと頷いて。

[メイン] スピレ : それはお互い様……ね。

[メイン] スピレ : 「まだしたいこと、あるんじゃないの?
 自分を偽って、それで良くなればいいって思ってても……!」

[メイン] スピレ : 「”完璧”目指しちゃってもいいんじゃない? 正直な気持ちで!」
ずっとやりたいようにやって、完璧なんて別に目指そうなんて思ってなかったけど……こんな風に思えるのは、アンタのおかげだし。

[メイン] 紫藤社 : 「ははっ…」
こんな状況ながら思わず笑みがこぼれてしまう。まさか憧れの存在から『仲間』だなんて言葉をかけてもらうとは…

[メイン] 紫藤社 : だけどそれでわかってしまった。自分は立派な人間ではなく、彼女たちのファンの1人なだけだと。

[メイン] 紫藤社 : 「それは…私だって、まだやりたいことくらいありますよ」

[メイン] 紫藤社 : 「あなた達の今後の活動も気になりますし、ライブにだって参加したい。サイン会や握手会にだって」

[メイン] 紫藤社 : 「…それに、ナツキにもっと歌を教えたい。あの子は普通の子供とは違う。それこそあなた達のようになれる逸材なんです」

[メイン] 紫藤社 : そうつらつらと本心を述べるが

[メイン] 紫藤社 : 「…だけど、それは無理なんです。私の都合のために緑深の人々を犠牲にはできない。完璧なんてほど遠いんです…!」
絞り出すようにそう訴える。

[メイン] スピレ : 「”こちらの思いってのは、中々伝わらないものね”」

[メイン] 紫藤社 : 「…!」
その言葉にはっとなる。それは数時間前に自分が発した言葉だったからだ。

[メイン] 紺野 純子 : 「……っ……!」
それでもなお、言葉を紡ごうとするスピレの方を見る。

[メイン] スピレ : 「……やりたいこと、あるんじゃない。やればいいでしょ!」
ファンに合わせて、柄でもないキャラをやり続けてきて……。
だからもう、そんなのと同じように窮屈に”こうするべき”とか”しなきゃいけない”で行動を歪めるなんてごめん。自分のことでも、他人のことでも。

[メイン] スピレ : 「犠牲って言うならね。アンタがここで死んだらどうするの!」

[メイン] スピレ : 「何度も、何度でもこんなことが起きる。
 今のアンタと同じように自分から犠牲になるかもしれないし、事故にあうかもしれないけど……犠牲は出続ける」

[メイン] 紫藤社 : 「……っ!」
たしかにその通りだ。今ここで自分が犠牲になったとして、それで全てが終わるとは決まったわけではない。

[メイン] 紫藤社 : そう、何も変わらない可能性だってあるのだ。

[メイン] スピレ : 「本当に街が大事なら、ナツキを愛してるなら、私たちのファンだって言うなら……!」

[メイン] スピレ : 「生きてよ! 生きて、こんなの変えちゃってよ……!!」
叫ぶ内に視界が滲み出して。

[メイン] スピレ : それでも紫藤の顔を睨みつけるようにして。

[メイン] スピレ : 「勝手に諦めて、一人で終わらせようとしないで……!」

[メイン] 紫藤社 : 声を荒げるスピレの顔をしっかりと見る。その目にはきらりと光る雫が見えた。

[メイン] 紫藤社 : …私は、なにをやっているのでしょうか。彼女のファンなのに、アイドルを笑顔ではなく泣かせてしまって

[メイン] 紫藤社 : 「…そんな顔をさせてしまうとは、私はファン失格ですね」

[メイン] 紫藤社 : 「私はアイドルは歌やダンスで人々に笑顔を、元気を与える存在だと思っていました」

[メイン] 紫藤社 : 「それなのに、こんな石頭な私にそんな顔をして必死に声をかけてくれる。前を向けと、別の道を探せと」

[メイン] 紫藤社 : 「私の思っていたものとは全然違うのに、不思議ですね。今、とっても胸の奥が熱いんです」

[メイン] 紫藤社 : 大多数の人々を見てるアイドルが、自分だけに向けてくれた言葉が強く心に響いていた。

[メイン] スピレ : ……その言葉に最初にアイドルになった理由を思い出した。

[メイン] スピレ : 最初はやっぱりステージに上がりたいからでも、歌いたいからでも、ファンがついてほしいからでもなくて。ただ、人に笑顔になってほしかっただけだったって。

[メイン] スピレ : 涙を拭いながら。
「……っ、ぐずっ。失格なんて。
 間違ってたって思うなら、今からでもやり直して……」

[メイン] スピレ : 私は間違いなんて、取り返しがつかないって思わない。

[メイン] スピレ : 純子の手を握る。

[メイン] 紺野 純子 : それを分かっていたように、ぎゅ…と支えて、引き上げる。

[メイン] 紺野 純子 : 言葉を繋げる。
「……そうして、これからも指導者として、ファンとして……大切な仲間として。」
「私たちのこと……きっと、支えてください!」

[メイン] スピレ : 紫藤の目を見つめて。
そのまま、重ねた手を差し出す。

[メイン] 紺野 純子 : 紫藤の呼吸を聴いて。
そのまま、重ねた手を差し出す。

[メイン] 紫藤社 : 「………」

[メイン] 紫藤社 : 私の目の前に輝く2人の存在。
それが眩しすぎて、差し出された手を取るのに一瞬躊躇してしまう。
だけど、それでも……

[メイン] 紫藤社 : 「…本当にあなたたちがきて下さってよかった。あなたたちが居て下さるなら、きっと」
そういって一歩身を乗り出すと、彼女たちの手を取った。

[メイン] GM :  

[メイン] GM : あなた達は怪物の歌声を振り切り、奥戸ナツキ、紫藤社と共にこの洞窟から脱出することにした。

[メイン] GM : そして入り口の方へと足を踏み出すが、緑色の怪物はそれを許すわけはなかった。

[メイン] GM : 怪物から触手が伸び、逃走を図るあなた達を襲う!

[メイン] GM : …が、冒涜的な歌声をかき消すようにエンジン音が洞窟内へと響いた。

[メイン] GM : そしてその音を発するものがあなた達の前へと回り込み、触手を払いのける。

[メイン] GM : あなた達を間一髪のところで救ったのは、いつもあなた達が移動している時に使っている……そう、加藤の車だった。

[メイン] 加藤 : 「お前ら!平気か!?」
血相を変えて運転席から顔を出し、6人の無事を確認する。

[メイン] 加藤 : 何事もないことを確認すると
「早く乗れ!」
助手席と後部座席のドアを開けてあなた達を押し込む。

[メイン] 加藤 : 「ちょっと荒いがガマンしてくれよ!」
そう言葉をかけると、全速力でその場から退散する。

[メイン] 加藤 : 加藤はかつてその運転技術からMB加藤と呼ばれていた。
MBの意味は各々で考えてくれ。

[メイン] GM : 襲い来る触手を掻い潜り、あなたたちを乗せた車は駆け出す。

[メイン] GM : 外へ。外へ。
荒れた岩を踏みしめ、必死で。

[メイン] GM : 外へ。

[メイン] GM : 洞窟の外へ飛び出せば、あの音はもう届かない。
ガラス窓から後ろを確認しても、そこにはもう迫りくる恐怖はなかった。

[メイン] GM : 星空が、月が。あなたたちを静かに照らす。
恐るべき夜は、幕を下ろした。

[メイン] GM :  

[メイン] GM : 5.結:それぞれのステージで

[メイン] GM : 恐るべき夜は終わった。

[メイン] GM : 一夜明けた後、あなたたちは街を後にした。

[メイン] GM : 街ではその後もたまに行方不明者が出ているらしい。

[メイン] GM : 何をしても、抗えないものはある。

[メイン] GM : どうしても、解決できないことがある。

[メイン] GM :  

[メイン] GM : 今、あなたたちが立つのは舞台袖。ライブの開演まで、のこり数分だ。

[メイン] GM : あなたたちは笑い合う。その笑顔はお互いを励ます。
気づけば、緊張は高揚に変わっていた。

[メイン] GM : あなたの言葉とともに、曲のイントロが流れ始める。

[メイン] GM : 手を取り、あなたたちは舞台に向かって走り出す。
あなたたちは歌う。舞台の上で。
うたがひびく、そこは。

[メイン] GM : あなたたちが輝く、あなたたちのためのステージだ。

[メイン] GM :  

[メイン] GM :  

[メイン] GM : ───これは数年後の話。定かではない未来の話。

[メイン] GM : 街を歩いていたあなたたちは、どこかに据え付けられたスピーカーから流れる音楽を耳にする。

[メイン] GM : 最近頭角を現した、新進気鋭の覆面歌手の新曲らしい。

[メイン]   : 「私この人の歌、好きなんだ」

[メイン]   : 「今度どっかのフェスで歌うらしいよ?」

[メイン]   : 「え、どこのどこの?」

[メイン]   : 「えーっと。たしか、緑深市───」

[メイン] GM : すれ違った人々は、華やいだ声で呟いている。

[メイン] GM : 耳を澄ます。

[メイン] GM : それは、心を癒す高く美しいソプラノ。

[メイン] GM : それは、あの夜。地の底に響いた歌声。

[メイン] GM : あの日あなたたちが差し伸べた手が、守ったもの。

[メイン] GM : 彼女はうたい、その声はひびく。
彼女の望んだ、そこで。

[メイン] GM :  

[メイン] GM :  

[メイン] GM : 5.結(1):

[メイン] GM : 静かな冬の夜をあなた達を乗せた車は進む。

[メイン] GM : ホテルに向かっているが、その前にその格好では寒いだろうと加藤の提案で、カイロなど暖になるものを買いにコンビニへと向かっていた。

[メイン] GM : その道すがら、自宅が近い紫藤とナツキとをそれぞれ降ろした。
あなた達は2人が大丈夫か心配したが、両者ともしっかりと前を向いて生きるという意志を持っていたため、明日帰る時にまた会おうと約束して別れた。

[メイン] 加藤 : 「…ほらよ。これで多少は寒さをしのげるだろ」
後部座席で押しくらまんじゅうのように固まる担当アイドル達へカイロやらお茶やらを投げ入れる。

[メイン] 加藤 : つかなんでそんな格好してるんだこいつら…
口には出さず、なるべく見ないようにしながら運転席へ戻る。

[メイン] 紺野 純子 : 「…………っと……あ、ありがとうございます」
手を滑らせるようにしながら受け取り、チームの仲間に配ろうとするも……既にすうすうと……或いは、もぐもぐと……?いくつかの寝息が聞こえる。

[メイン] 紺野 純子 : 「…………。」
今更、恥じ入るようにゆっくりと身体を隠し、バックミラーを小さく睨む。

[メイン] スピレ : 「寝ちゃったみたいね」
不承不承助手席から追い出されていたスピレ。囁くような声で隣の寝顔を見つつ。

[メイン] 加藤 : その視線がミラー越しに目に入り
…おーこわ。
なんかあいつたまにおれより年上に感じる時があるんだよな…

[メイン] 紺野 純子 : ふと、そちらに視線を移す。
「……まあ、時間も時間ですし。スピレさんは平気なんですか?」

[メイン] スピレ : 積んであった毛布を眠っている二人にかけるようにして。

[メイン] スピレ : 「私は二人と違ってオ・ト・ナなの」
本当は目を瞑るとさっきの光景がよみがえって寝るに寝れなかっただけ。

[メイン] 紺野 純子 : 「おっ、おとな……!?」
少しどきり、とさせられたかのように居住まいを正し、誤魔化すように。

[メイン] 紺野 純子 : 「そっ、そういえば、加藤さん……!」
「なんであの時、私たちの場所がわかったんですか?」と。

[メイン] スピレ : 「純子が連絡したんじゃないの?」
いぶかし気にしつつも、自分と純子用の毛布を探してる。

[メイン] 加藤 : 「…?いや、お前から連絡してきたんじゃないのか?」
自分のスマホに純子に渡したスマホから連絡が来て、変な歌声が聞こえて直感的に危険だと判断して向かったと話す。

[メイン] 紺野 純子 : 「え……そ、そう……でしたっけ……?」
……生憎、意識してスマホから連絡を掛けられるほど…機械に精通してはいなかった。

[メイン] 加藤 : 「まあ実際やばかったみたいだから良かったじゃねぇか。無事で良かったって今は思っておくのが一番だろ」
ゲラゲラと笑いながら。

[メイン] 紺野 純子 : 「う……そうですね。もしあの時、加藤さんが来てくれていなかったら……」

[メイン] スピレ : 「純子ったら機械に疎いのに、よく咄嗟に連絡できたわよね~」
からかい交じりに。
……あ、残りの毛布一枚しかない。

[メイン] スピレ : ちょっと詰めて、と純子との距離を縮める。

[メイン] 紺野 純子 : んっ、と……それに応え、身体を寄せる。

[メイン] スピレ : 二人で一枚の毛布に包まって。

[メイン] スピレ : 「……ありがとね」
最後の時、すぐ背後まであの怪物が迫って……
加藤が来ていなければどうなっていたか分からない。

[メイン] 加藤 : 「マネージャーの役目を果たしてるだけだから礼はいらねぇよ。
 それに、なにかあったらおれが社長にどやされるしな」
ミラー越しに毛布にくるまる2人を見て軽く微笑む。

[メイン] 紺野 純子 : 「…………。本当に、私たちのマネージャーが加藤さんで……良かったです」
……そんないつもの口調に安心したのか。

[メイン] 紺野 純子 : 「加藤さん」と、続けて呼びかける。

[メイン] 加藤 : 「うん?どうしたよ?」
ミラー越しの視線を純子の方に向ける。

[メイン] 紺野 純子 : 「……その。今回、……この衣装のこともそうですが……私たちにとって、たくさんの初めての経験や……気付いたこと、感じたことがあって。」

[メイン] 加藤 : 「そ、そうなのか」
改めてそう言われると先ほどまでの姿を想像してしまい返答に困ってしまう。

[メイン] スピレ : 投げ渡されたホット飲料に口をつけて、純子の顔を横目で見る。

[メイン] 加藤 : 「ゴホン!それで、どうしたよ?」
咳払いひとつして、落ち着きを取り戻す。

[メイン] 紺野 純子 : 「…………。」
「…………は、はいっ!……とにかく、ですね」

[メイン] 紺野 純子 : 「私たち、今回の経験で……人間としても……アイドルとしても、大きく成長できたんだと思っています。……でもそれはきっと、ファン、夢、想い……今まで以上に多くのものを背負っていかなければならないんだ、と感じました」

[メイン] 加藤 : ふんふんと話を聞く。
相変わらずというか、完璧を求めるやつだなぁ。なんて思いながら。

[メイン] 紺野 純子 : 「……。」
それを察するように、頷いて。

[メイン] 紺野 純子 : 「でも、私たちはまだ子供……完璧なんかじゃありません。今日みたいに、たくさんの壁にぶち当たってしまうことだってあります。」
「……だから。」

[メイン] 紺野 純子 : 落としていた目線を、バックミラー越し、さらに……サングラスの奥に覗く温かい瞳へと。

[メイン] 紺野 純子 : 「……ずっと、私たちのマネージャーでいてくれますか?」
「私たちのことを、側で支えてくれる……そんなマネージャーで。」

[メイン] 加藤 : 純子の薄い紺色の瞳と目が合う。グラサン着けてるのに器用だなと思いつつ
「ずっとは…難しいかもしれねぇなぁ」

[メイン] スピレ : 「……けほ、けほっ! ど、どういうことよ?」
思いもよらない言葉に咽せて。

[メイン] 加藤 : 「おれも雇われの身なわけだし」
今回のことだってそうだ、こんな雑な仕事を取ってきた責任がおれにもあるわけで

[メイン] 紺野 純子 : 「う……それは、まぁ……」

[メイン] 加藤 : 「どうもこうも社長次第だろ。おれが強く願ったところで逆らえないものは逆らえないしな」

[メイン] スピレ : 「…………」
運転席を後ろからげしげし蹴り込む。

[メイン] 紺野 純子 : 「…………。」

[メイン] 加藤 : 「おわァアアア~~~!!!!」
事故りたいのか!?と小さくスピレに怒鳴る。

[メイン] スピレ : 「……加藤は、続けたいって思ってるの。私たちのマネージャー」
じゃあ弱めにげしげし。

[メイン] 紺野 純子 : (す、スピレさん……!?)

[メイン] 加藤 : 蹴ること自体やめろっての!と思いつつ

[メイン] 加藤 : 「そりゃ当然だろ」
はっきりとそう告げる。

[メイン] スピレ : 二人から目を背けるように窓の外を見る。

[メイン] 紺野 純子 : 「!」

[メイン] スピレ : 「……じゃ、じゃあ。なんでそんな簡単に辞めるなんて言えるの」

[メイン] 加藤 : 「だからおれの思いひとつじゃどうにもならないことだってあるわけで…」

[メイン] 加藤 : 「でもな、せめておれが必要なくなるまでは、お前たちが一人前になるまでは続けたいと思ってるよ」
柄にもなく優しげな声でそう後部座席へと声をかける。

[メイン] 紺野 純子 : 「…………っ……!」

[メイン] スピレ : 「……純子だって。」
優し気な声に我儘を一人で言ってるという気にはなっても聞きたくない、と言わんばかりにとげとげしく。

[メイン] スピレ : 純子だって簡単に……ではないけど、飲み込むみたいに返事した。

[メイン] 紺野 純子 : 「……え?」

[メイン] 紺野 純子 : 加藤さん……と声を漏らしかけたところを、その台詞に奪われる。

[メイン] スピレ : 「離れ離れになっていいの……って、言ってるの」

[メイン] 紺野 純子 : 「そっ……そんなわけ、ないじゃないですか!」

[メイン] 紺野 純子 : ……一応、声のトーンは落としたまま主張する。

[メイン] スピレ : 「それなら、じゃあ二人とも……。なんでイヤって言わないのよ」

[メイン] 紺野 純子 : 「……!」

[メイン] スピレ : 自分が言いたいことで、言ってほしいことでもあった。
だから、あっさりと話が進もうとしていたことが受け入れにくくて。

[メイン] 加藤 : 「おれは仕事でやってることだからな。
 それに、仮におれが辞めても二度と会えなくなるわけじゃないだろ?」

[メイン] 加藤 : 「呼べばすぐ車を飛ばしてくるぜ?」
今日みたいにな!と笑いながら。

[メイン] 紺野 純子 : 「…………っ!」
スピレの言葉をゆっくり、反芻して。

[メイン] 紺野 純子 : 「……いや、です」
子供みたいにあしらわれて、子供みたいに答える。

[メイン] スピレ : 「…………!?」
窓から純子の方を振り向いて。

[メイン] 紺野 純子 : 「……わかりました! 仕事だって言うんなら……仕事じゃ済まないくらい、きっと……私たちの魅力で、虜にしてあげますよ……!」

[メイン] 加藤 : 純子のその弱々しげな声を聞いて、さっき睨まれた時に感じたのとは逆に今は彼女が年相応の少女に見えた。

[メイン] 加藤 : 「…いうじゃねぇか」

[メイン] 紺野 純子 : 小さく頷く。
「…………だから……そんな寂しくなるようなこと、言わないでください。」

[メイン] スピレ : ぱちぱちと瞬きする。
純子が仕事に関係することで我儘を言うなんて。

[メイン] 紺野 純子 : 「…………。」

[メイン] 紺野 純子 : 不意に……寄り添うように、スピレの向かい側の手首を掴み……身体を寄せる。

[メイン] スピレ : 「ちょっ!?」
叫んでから慌てて口を閉じる。

[メイン] 紺野 純子 : 「…………スピレさんが悪いんですよ。……私、こんなふうじゃなかったのに」
ぽつり、ぽつり。

[メイン] 加藤 : 純子がこういうこと言うの珍しいなと思いつつ。
つい茶化してしまいそうになる口を閉じ、無言のまま車を運転する。

[メイン] 紺野 純子 : 「こんなに、我儘じゃなかったのに。……加藤さんだけじゃなくて、一緒に私たちを支えてくれる、レンさん、エマさん。……今回のことで通じ合えた、ナツキさんや紫藤さんだってそうです」

[メイン] スピレ : 「そ、そんなこと言われてもぉ……」
顔を赤くしてしながら、身体は純子を支えるようにしている。

[メイン] 紺野 純子 : 「このまま、ずっと離れたくない……一緒に歌を、響かせたいって。」
「……スピレさん。」

[メイン] スピレ : 「……う。な、なによ?」

[メイン] 紺野 純子 : 簡単な返事なんて無しだと咎めたのは……あなたなんだから。

[メイン] 紺野 純子 : 「…………ずっとずっと、私と一緒に……歌ってください。」

[メイン] スピレ : 『初めからその気だったけど』  『今更どうしたの?』
   『ハッ、そーんなにスピレちゃんと歌いたい?』
 『あぁ……かわいいって言うのも辛いわね~』

[メイン] スピレ : 返事は色々思い浮かんだけど、どれも口から出すまえに「あー」とか「うー」とかいう呻きに変わってしまい。

[メイン] 紺野 純子 : 「…………。」
ただじっと、返事を待つ。

[メイン] スピレ : 顔を逸らすのも許されず。
結局口から出せたのは……これだけ。

[メイン] スピレ : 「…………は、はい。」

[メイン] 紺野 純子 : …………。

[メイン] 紺野 純子 : その言葉を聞けて、今度こそ満足したように……身体の緊張を解く。

[メイン] スピレ : ほっと。つられるように身体の緊張が解けた。

[メイン] スピレ : 「……そ、そういうことだから」
赤らんだ顔でバックミラーを睨みながら。

[メイン] スピレ : 「加藤も、純子も、末永く、よろしく……」

[メイン] スピレ : 毛布の下で心臓がドキドキと言ってる。……聞かれてないよね?

[メイン] 加藤 : あいよー。お姫様!といつもと変わらぬ調子で返事をした。

[メイン] 紺野 純子 : こくん、と揺らす首を肌越しに伝える。

[メイン] 紺野 純子 : ……そうやって徐々に闇が更け、すべてが元通りになるまでの一晩きりの車内で。
名も知らない古いナンバーの歌が、カーステレオから静かに響いていた。

[メイン] 紺野 純子 :

[メイン] スピレ : 5.結(1):

[メイン] スピレ : 秘密の────

[メイン] 紺野 純子 : ───ステージ

[メイン] 紺野 純子 :

[メイン] エマ・ヴェルデ :  

[メイン] エマ・ヴェルデ :  

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「────うん、それじゃあ、ア・ドマーニ~!
 ナツキちゃん!」

[メイン] エマ・ヴェルデ : エマはこちらに手を振る彼女に笑顔で手を振り返す。
体は汗にまみれた理由としては、彼女の歌の練習に手伝っているからだろう。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 奥戸ナツキは、ぐんぐんと成長している。
紫藤さんが鍛え上げていたということもあるが、それでも彼女は源石のようで。
磨けば磨くほど彼女は光っていた。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「うぅ、これじゃあ私なんて追い越してそうだよ~……」

[メイン] エマ・ヴェルデ : とは零しながらも、エマの顔は明るい。
……彼女がいてくれることが、嬉しいからだ。

[メイン] エマ・ヴェルデ : その犠牲は……もっとも、大きいが。

[メイン] エマ・ヴェルデ : エマは、眉を顰める。

[メイン] エマ・ヴェルデ : ……二人を助けた代償は、何もない。
なぜならば海はまだ歌い、囁いているから。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 私たちの見ていない所で、虜になっている人がいるかもしれない。
あるいはもう、すでに……。

[メイン] エマ・ヴェルデ : ……………。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「…………はぁ」

[メイン] エマ・ヴェルデ : 暗い顔をしていたエマの元に、ピコン、と。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 顔が下がったまま、スマホに視線を落とすと────そこには。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「……うん、そうだったね」

[メイン] エマ・ヴェルデ : こくりと頷き、エマは前を見つめる。

[メイン] エマ・ヴェルデ : だからといって、手招いているだけじゃない。
私たちが出来ることは、何もないわけじゃない。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 犠牲者は出てしまっている。
なら、次はどう減らせばいいか。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 私が考えたのは、私たちのグループのファンに呼びかけて、海に入る事を減らすこと。街中にも呼び掛けてはいるものの、まだまだ浸透は薄い。
……だからといって、効果が0なわけではないはずだ。

[メイン] エマ・ヴェルデ : そして────エマは立ち上がる。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「今日はそのために行くんだ、そうだったね、レンくん!」

[メイン] エマ・ヴェルデ : ニコッ、と笑って。

[メイン] エマ・ヴェルデ : とある、一つのライブ。
毎月緑深市で開催される、レンくん考案のあるライブ。

[メイン] エマ・ヴェルデ : そのために、私は立ち上がる。アイドルはみんなに笑顔を振りまくもの。
だから────とびっきりの笑顔で迎えられるために!

[メイン] エマ・ヴェルデ : 「それじゃあ────グラッツィエ~!」

[メイン] エマ・ヴェルデ : エマは、扉を開く。

[メイン] エマ・ヴェルデ : 待っているであろう、3人の所に。

[メイン] エマ・ヴェルデ : そう、私たちのグループの名前は────

[メイン] エマ・ヴェルデ :  

[メイン] エマ・ヴェルデ :  

[メイン] エマ・ヴェルデ :  

[メイン] 鏡音 レン : ───あれから、いくつの日数が過ぎただろう。
オレ達は、今もアイドルとして活動を続けている。
都心で、地方で、そして、カメラの前で。
色んな場所でオレ達は、笑顔を向け続けている。

[メイン] 鏡音 レン : 腹から突き出す声は、ボールに響き回る。
そして踊り終わり、体に沁みる汗は、どこか心地よくて。
みんなから送られる歓声も、オレの原動力になった。

[メイン] 鏡音 レン : だからこそ───やっぱり、ずっと頭から離れないことがある。

[メイン] 鏡音 レン : ……緑深市での、あの出来事だ。
今もずっと……行方不明者が出続けているらしい。

[メイン] 鏡音 レン : そのことを聞くたびにオレは、果たしてこれで良かったのかと……自問を繰り返す。

[メイン] 鏡音 レン : ……いなくなっちゃった人には、帰りを待っている人がいた。
その人には、明るい未来があったのかもしれない。
ひょっとしたら、オレ達のファンになってくれるような人だったのかもしれない。
あるいは、友達になってくれるような人だったのかもしれない。

[メイン] 鏡音 レン : 可能性を挙げたら、キリが無くて。

[メイン] 鏡音 レン : ………あの後もオレ達は、ここ、緑深市に訪れては、ライブを開催している。
あの出来事を忘れないように、そして……亡くなってしまった人達を弔うために。

[メイン] 鏡音 レン : 「…………………」
それでも、無力感を抱く。
できることなんて、これっぽっちだ。

[メイン] 鏡音 レン : ……オレのワガママのせいで。

[メイン] 鏡音 レン : 後悔が尽きない。

[メイン] 鏡音 レン : だからこそ、オレは足掻き続ける。
………どうにかして、あの悲劇を終わらせる方法を、探さなくちゃ。

[メイン] 鏡音 レン : 「……すみませーん!」

[メイン] 鏡音 レン : そしてオレはまた、あの資料館にやってきた。
書物を読むのは苦手だけど、でも苦手だからやらないのは、それは嫌だ。
少しでも、手がかりを探すんだ。諦めたらそれこそ……犠牲になってしまった人、そして。
紫藤社さんにも……面目が、立たない。

[メイン] 鏡音 レン : 紫藤社さんは、オレ達のことを信じてくれたんだ。
だから、応えなくちゃいけない。

[メイン] 鏡音 レン : そしてオレは、とある古い本を、手にするのだった。

[メイン] 鏡音 レン : ────タイトルは。

[メイン] 鏡音 レン :  

[メイン] 鏡音 レン : うたい ひびく そこで

[メイン] 鏡音 レン :  

[メイン] 鏡音 レン :  

[メイン] 鏡音 レン :